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オールドレンズ・ライフ

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オールドレンズ・ライフ
公開日:2012/07/10

Q&A・その1 オールドレンズ購入時のチェックポイント

photo & text 澤村 徹

オールドレンズビギナーにとって、レンズコンディションの見極めは難しいものだ。ここでは中古レンズのチェックポイントをまとめてみよう。


Question  1

中古レンズの失敗しない買い方

まず、外観の汚れは気にせず、あくまでもレンズの状態をチェックすることだ。前玉の傷は写りにあまり影響しないが、後玉の傷は影響することが多い。後玉の状態は念入りにチェックしよう。カビと曇りは写りに影響しやすいので、極力クリアなレンズを入手したい。ピントリングと絞りリングは、多少動きが渋くても運用でカバーできる。ただし、極端に動きが重かったり引っかかりがある場合は、故障や素人修理品という可能性も考えられるだろう。意外と見落としがちなのは絞り羽根だ。絞り羽根に油がのっていると、使っているうちに固着してしまう場合がある。美品クラスは値が張るので、懐具合と相談しながら程度のよい良品を狙いたい。



後玉の傷は要注意
後玉の傷は写りに影響しやすい。特にレンズ中央部の傷やチリは写り込みやすいので、安価でも値段に釣られないように気をつけよう。
フィルター枠をチェック
フィルター枠や鏡胴に凹みがあるレンズは、落下歴がある可能性も。こうしたレンズは光軸がズレている場合があるので注意しよう。



Question  2

同じマウントなのに値段がちがう?

現在日本国内で購入できるマウントアダプターは、日本製と海外製に大別できる。日本製は加工精度が高く、またロットによるバラつきも少ない。価格は高めになるが、初心者でも安心感のあるマウントアダプターだ。一方、海外製のマウントアダプターは、日本製よりもかなり安い価格設定になっている。レンズの本数分、まとめ買いしたいときなどに魅力的だ。また、オーバーインフ気味に設計した製品が多く、レンズコンディションを問わず、無限遠が出しやすい。いわゆる通好みなマウントアダプターだ。ただし、海外製マウントアダプターはロットによってバラつきがあり、無限遠が出ない、レンズの着脱がきついといった製品もある。外観からは見分けづらいので、購入時には注意が必要だ。海外製マウントアダプターを買うときは、検品体制の整った信頼できるショップを選ぶとよいだろう。



安心感で選ぶなら国産品
日本製のマウントアダプターは加工精度が高く、無限遠がピタリと出て気持ちいい。取り付けもレンズが吸い付くように滑らかだ。
海外製は安さが魅力
中国などの海外製マウントアダプターは、日本製よりも安価なものが多い。信頼できるショップで購入すると安心だろう。



Question  3

傷やカビは写りに影響する?

オールドレンズは中古品なので、傷、チリ、カビ、曇りは避けて通れない。まずカビや曇りが発生したレンズは、紗をかけたようにコントラストの低い写りになる。いわゆるフレアっぽい写真だ。多少のカビは写りに影響しないものの、一緒に保管しているレンズにカビがうつる可能性がある。カビ付きレンズは他のレンズから隔離するなどの気配りが必要だ。傷、チリ、ホコリについては、微細なものであれば写りに影響しない。わずかな傷で安くなっているオールドレンズは、お買い得品ということになる。ただし、後玉の傷、レンズ中央部のチリやホコリは写りに影響しやすく、写真上にボンヤリとした斑点などが写ってしまう。また、前玉が拭き傷だらけのレンズは、曇り玉と同じくフレアっぽい写りになる。多少の傷、曇りは容認し、カビは極力避けるというのがセオリーだ。



カビはレンズの大敵だ
多少のカビは写りに影響しないが、それ以上に他のレンズにうつることの方が問題だ。カビ付きレンズの取り扱いは慎重にしたい。
これがフレアっぽい写り
前玉に拭き傷の多いレンズや曇り玉は、写真のようにコントラストの低い画になる。シャドウの締まりが弱く、メリハリに乏しい。



Question  4

レンズフードは必要か?

設計の古いオールドレンズは、現行レンズと比べて逆光性能が低い。逆光はもちろん、半逆光程度でもフレアやゴーストが発生する。そのため撮影時はレンズフード必須と考えた方がよいだろう。ただし、一部のオールドレンズは純正フードがコレクションアイテム化しており、けっこうな値段がする。特にライカレンズ用フードは値が張り、並品クラスでも1〜2万円という価格帯だ。また、レンズによっては純正フードの数が極端に少なく、この手のフードはプレミアプライスが付いている。こうした状況を踏まえると、オールドレンズ購入はフード付きか否かがポイントだ。フード付きレンズはレンズ単体よりも当然高くなるが、フードの追加購入を加味すると、結果としてお得になるケースもあるはずだ。事前にレンズとフード、それぞれの単体価格を調べておこう。



ライカRはフード付きを
ライカRレンズはフード単体の出物が少ない。このようなレンズは、多少値が張ってもフード付きのものを購入した方が安心だ。
ライカ用フードは高額商品
ライカL/Mレンズの純正フードは、どれも造形にこだわったものばかりだ。そのため中古相場は1〜2万円と高値安定している。

<プロフィール>


澤村 徹(さわむら てつ)
1968年生まれ。法政大学経済学部卒業。オールドレンズ撮影、デジカメドレスアップ、デジタル赤外線写真など、こだわり派向けのカメラホビーを得意とする。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線写真、オールドレンズ撮影にて作品を制作。近著は玄光社「アジアンMFレンズ・ベストセレクション」「オールドレンズを快適に使うためのマウントアダプター活用ガイド」、ホビージャパン「デジタル赤外線写真マスターブック」他多数。

 

<著書>


アジアンMFレンズ・ベストセレクション



オールドレンズを快適に使うためのマウントアダプター活用ガイド



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