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イベントレポート

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イベントレポート
公開日:2017/08/16

【イベントレポート】第9回 新宿クラシックカメラ博 新宿高島屋

Photo & text 大村祐里子

本日8月16日(水)から22日(火)まで、新宿高島屋11階の催事場にて、第9回「新宿クラシックカメラ博」が開催される。主催は写真機商振興会。新宿クラシックカメラ博の前身は2001年に銀座松坂屋で始まった銀座中古カメラ市だ。2009年松坂屋の改装のため新宿高島屋に会場を移し、今年で9年目となる。

今回の出展社数は全部で18店。普段なかなか足を運ぶことのできない全国各地の名店18店が新宿に集結しているところが魅力だ。会場には、博物館に飾られてるような珍品から、これからフィルムカメラを始めてみたいという初心者に優しい手頃な商品まで、幅広く取り揃えられている。

もともとクラシックカメラショップの店員であり、自身もフィルムカメラをこよなく愛する筆者が、独断と偏見で、会場で見つけたオススメカメラを紹介する。

*これらの商品は、8月16日の取材時に販売していた商品です。現在の店頭在庫を保証するものではありません。

ニコンF3/T MD-4(35mmフィルム一眼レフカメラ)
ハットリカメラ


ニコンF3/T MD-4 50,000円
ニコン F、F2に続くフラッグシップ機「F」シリーズの3代目として、初めて電子制御式シャッター・絞り優先AEを搭載し、20年の長期にわたって製造された名カメラ。当機は、外装をチタン(T)としたモデル。F3専用のモータードライブMD-4も付属しており、最高約6コマ/秒の連続撮影が可能だ。露出計も搭載している。フィルム初心者が購入するカメラで悩んだら、まずF3を選択しておけば問題ないと思う。価格的には、チタンモデルではないノーマルのF3、F3HPのほうが安価だ。


 

オリンパス PEN-FT ブラック ズイコー38mm/1.8
オリンパス PEN-FT  HズイコーオートS42/1.2付(35mmフィルム一眼レフカメラ)
カメラのヤマゲン


オリンパス PEN-FTブラック ズイコー38mm/1.8 純正フード、アクセサリーシュー付 45,000円
オリンパス PEN-FT  HズイコーオートS42/1.2付 65,000円
PEN-Fは、オリンパスが1963年に発売した世界初のハーフ判(18×24mm)レンズ交換式一眼レフカメラ。ハーフとは、通常の35mmフィルムの1コマを半分にしたサイズを指し、36枚撮りフィルムを入れれば倍の72枚撮影できる。PEN-FTは、TTLメーターを内蔵しているので露出の感覚に不安がある人も安心だ。レトロで可愛らしい外観、女性でも扱いやすい小型・軽量さが魅力。交換レンズも豊富に用意されており、お散歩カメラにおすすめだ。もちろん初心者は、TTLメーターの動作を確認すること。

 


キヤノン 旧F-1 後期 50/1.8付き(35mmフィルム一眼レフカメラ)
U.C.S(ユー・シー・エス)


キヤノン 旧F-1 後期 50/1.8付き 26,800円
キヤノンF-1は、1971年に誕生し、1976年までの5年間生産が続けられた、名機として名高い、キヤノン初のプロ用一眼レフカメラ。F-1には前期型と後期型がある。明らかな違いはASA感度の設定で、ASA3200まであるのが後期型だ。露出計が内蔵されており、酷使に耐えうる高い堅牢性も備えている。部品さえ手に入れば修理が可能。カメラと長く付き合っていきたい人にはオススメだ。

 


ライカ M2/ライカ M3 ワンストローク改造/ライカ M6チタン(レンジファインダーフィルムカメラ)
愛好堂カメラ


ライカ M2 99,000円/ライカ M3ワンストローク改造 98,000円/ライカ M6チタン158,000円
すべてのフィルムカメラファンの憧れ、M型ライカ。ステータスと実力を兼ね備えたM2、M3は、いつの時代でも輝きを失わない。電子部品を使っていないフルメカニカルの機構は、メンテナンスすることで世代を超えて使い続けることができる。初めてライカを買う人には露出計付きで、Mマウントレンズが使えるライカM6がオススメだ。

 

ライカ R6.2ライカ Elmarit Elmarit R 24mmF2.8 3カム
(35mmフィルム一眼レフカメラ)
ステレオカメラ


ライカ R6.2 69,000円/ライカ Elmarit R 24mmF2.8 3カム 89,000円
ライカの一眼レフが「R」シリーズだ。中でも、このR6.2は機械式シャッターを搭載したモデルだ。小型軽量で、ファインダーも明るく綺麗にみえる。電池がなくてもシャッターは作動する点も魅力だ。個人的に、ライカは使いやすい「R」シリーズが好きだ。レンジファインダーがどうも苦手だがライカは使ってみたい、という方にはRシリーズがおすすめ。ちなみにレンズはものすごく良い写りをするが、カメラ本体よりも高いことが多い。昨今のオールドレンズ流行りで人気があり、価格が高騰してしまっているためだ。

 

レクタフレックス・リヒテンシュタイン
アンジェニュー50/1.8付(35mmフィルム一眼レフカメラ)
藤井商店/フジイカメラ


レクタフレックス・リヒテンシュタイン アンジェニュー50/1.8 985,000円
1947年から1953年までイタリアに存在したカメラメーカー"レクタフレックス社"が生産した一眼レフカメラが"レクタフレックス"だ。レクタフレックス社は1953年に倒産したが、その後、リヒテンシュタイン公国の会社にライセンスを移行してからトップカバー、巻き上げレバーなどに変更が加えられたモデルが、「レクタフレックス・リヒテンシュタイン」。リヒテンシュタイン公国の紋章が格好いい。生産台数も少なく、とても珍しいカメラだそうだ。博物館級に希少で非常に高価なため、実用性からは離れてしまうが、機械として美しいので取り上げてみた。クラシックカメラ博ではこのような珍品にも出合うことができる。


ローライフレックス SL66 HFTプラナー80/2.8(中判フィルムカメラ)
鈴木特殊カメラ


ローライフレックス SL66 HFTプラナー80/2.8 ケース、ストラップ、フード付 168,000円
フランケ&ハイデッケ社の製造した6x6cm判一眼レフカメラ。クラシカルなデザインが美しく、HFTプラナー80/2.8との組み合わせで使うと、コッテリとしたいい写りをする。光軸を上下8度まで動かせるので、簡単に「アオリ」撮影ができる。また、レンズを裏返すとマクロ撮影ができる点も魅力のひとつ。いつまでも撮影者を飽きさせない良いカメラだ。筆者はSL66とSL66Eの2台を所有している。カメラマン・福島裕二氏の愛機でもある。

 

ハッセルブラッド500CM  プラナーC80mm/F2.8 A12(中判フィルムカメラ)
カメラの大塚商会


ハッセルブラッド500CM  プラナーC80mm/F2.8 A12 148,000円
スウェーデンのカメラメーカー、ハッセルブラッドが製造したカメラ。500CMはハッセルブラッド Vシステムのなかでも最も生産数が多く人気だ。プラナーC80mm F2.8との組み合わせは、まさに王道。プロダクトとしてのクオリティも非常に高く、使用者にカメラを使う「愉しみ」をもたらしてくれる。この先もずっと撮影で活躍してくれること間違いなしだ。


 

キエフ60 ビオメター80/2.8(中判フィルムカメラ)
日東商事


キエフ60 ビオメター80/2.8 43,200円
キエフ60はソビエト連邦のアルセナルが開発した6x6cm判一眼レフカメラ。大きく、重く、まるで鈍器のようなカメラであるが、堅牢性が高い。アイレベルかつ6x6フォーマットのカメラが欲しくなったらキエフ60が良いと思う。なによりもその魅力は、優れたレンズ性能を誇るペンタコンシックス(P6)マウントのレンズをつけることができる点だ。中でも、ビオメター80/2.8は使いやすく、描写力も優れているので、キエフ60との組み合わせではおすすめだ。

 

 

ローライフレックス 2.8F クセノター80mm/F2.8
ローライフレックス 3.5F プラナー75mm/F3.5
元町カメラ


ローライフレックス 2.8F クセノター80mm/F2.8付ケース付 268,000円
ローライフレックス 3.5F プラナー75mm/F3.5付 165,000円
フランケ&ハイデッケ社の傑作二眼レフカメラ、ローライフレックス。筆者はたくさんのカメラを所有しているが、最も好きなカメラをあげよと言われたらこの「ローライフレックス2.8F クセノター80mm/F2.8」を挙げる。クラシックカメラの名にふさわしいレトロな外観と、使い勝手の良さ、適度に優しさの残る描写は、唯一無二のものである。2.8Fはボケ味が大きく、色も鮮やかな印象。3.5Fはプラナーらしく、キレのある描写が特徴だ。


 

マミヤ C330 DS105mm/F3.5(中判フィルムカメラ)
カメラのゴゴー商会


マミヤ C330 DS105mm/F3.5 55,800円
マミヤ C330 プロフェッショナルfは、レンズ交換式二眼レフ。サイズがやや大きめなのがたまにキズだが、抜群の描写力と、接写フィルターをつけなくてもバリバリ被写体に寄れる点がなによりの魅力。価格もお手頃なものが多い。イチオシレンズは105mm。このレンズの切れ味鋭い描写は、デジタル全盛・解像力命のこの時代でもたまに恋しくなる。筆者はマミヤC330を2台所有している。


 

コーワシックスMM(中判フィルムカメラ)
スズキカメラ商会


コーワシックスMM(中判フィルムカメラ)35,000円
コーワシックスMMは、カエルの「ケロちゃんコロちゃん」でおなじみの興和が製造した、6×6センチ判レンズシャッター式一眼レフカメラ。第一号機であるコーワシックス1型と比べ、ミラーアップと多重露出の機能が追加されている。ボディは、縦型の個性的なデザインだが、中判カメラにしてはコンパクトで、写りも良い。さらに、価格もお手頃だ。作品撮りに必要な機能をすべて揃えているので、個人的にかなり好きなカメラだ。




 

【編集後記:取材時の大村祐里子氏】
↓↓↓


クラカメ女子を公言する大村祐里子氏は、会場につくなり興奮する。



サンアイブースでローライの新製品フィルム「VARIO CHROME」を購入。
昨年、クラシックカメラ博でのトークショーに登壇したときは、ギャラをすべて使ってフィルムカメラを購入したというから、今年は自己投資は軽微であったようです。大村祐里子氏もエキサイトする新宿クラシックカメラ博。ぜひ皆さんもお気に入りのカメラやレンズに出合って下さい。


 

【イベント情報】



新宿高島屋にて、写真機商振興会主催の中古カメラ販売イベント「新宿クラシックカメラ博」が開催されます。カメラファンの加盟店も多く出店いたします。
 

第9回 新宿クラシックカメラ博

開催日時:2017年8月16日(水)〜22日(火)
開催時間:10:00〜20:00 

*8月18日(金)・19日(土)20:30 閉場
最終日 22日(月)16:00 閉場

会場:新宿 高島屋 11階催会場
主催:写真機商振興会 
企画協賛:ワールドフォトプレス(モノ・マガジン)

★かくたみほ MOIMOIそばにいる 刊行記念 作品展示
★ジャンク品コーナー開設:8月19日(土)・20日(日)
★クイックメンテナンスコーナー開設
★センサー清掃コーナー開設(ニコン・キヤノン)

 

<トークショー>

●8月19日(土)13:00〜
辺銀 暁峰「クラシックカメラとコンディション」 

●8月20日(日)13:00〜
上野 隆「フィルムとデジタル、それぞれの魅力」 

※出演者及び演題は予告なく変更する場合がございます。


写真機商振興会
http://www.camera.jp/

新宿タカシマヤ| 催し一覧
http://www.takashimaya.co.jp/shinjuku/event/




【参加店・五十音順】
愛好堂カメラ / 大塚商会 / Okadaya / カメラのゴゴー商会 / カメラのハヤシ商事  / カメラ.ヒラノ / サンアイ/スズキカメラ商会 / 鈴木特殊カメラ / ステレオカメラ / セキ写真 / 日東商事 / ハットリカメラ / 藤井商店 / 元町カメラ / カメラのヤマゲン / ユー・シー・エス / ワカイカメラ   (五十音順)


*2017年8月16日 訂正:キエフ60の開発元に誤りがあったため訂正いたしました。
 著者プロフィール  
大村 祐里子(おおむら ゆりこ)

1983年東京都生まれ
ハーベストタイム所属。雑誌、書籍、俳優、タレント、アーティスト写真の撮影など、さまざまなジャンルで活動中。
著書「フィルムカメラ・スタートブック」、「身近なものの撮り方辞典100

ウェブサイト:http://omurayuriko.jp/
ブログ:http://shutter-girl.jp/
Instagram:@yurichayuricha
 
 

大村祐里子・著書


身近なものの撮り方辞典100


フィルムカメラ・スタートブック
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