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ただいま往診中〜赤城写真機診療所〜

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ただいま往診中〜赤城写真機診療所〜
赤城写真機診療所の院長 赤城耕一が、カメラ病にかかった患者たちのために西へ東へ往診治療する。
公開日:2017/08/25

緊急往診・リニューアルした「三宝カメラ」で若い患者さんを助けるの巻

photo & text 赤城耕一


東京は目黒区にある三宝カメラ。読者には説明無用なお店だろうと思うけれど、いちおう説明をしておきますと、珍品のクラシックカメラから、廉価なフィルム、デジタルの中古カメラ、最新の新品デジタルカメラまで品揃えする超有名老舗中堅中古カメラ店なわけです。創業は1975年(昭和50年)になるが、同じ場所でリニューアルを繰り返し、店舗を拡大してきたのだ。


1975年(昭和50年)創業時の店舗

このたび、8月初旬にリニューアルを敢行、新開店したという報せを受け、視察をしてきましたぜ。当赤城写真診療所としても、三宝カメラさんは患者さんを癒す重要な存在であると認識している。視察をしないわけにはいくまい。
ただしである。三宝カメラのような店に行くと、ミイラ取りがミイラになる可能性があるので本当は視察は断りたかったのだけど、まーほかならぬいつもお世話になっているカメラファンさんからの依頼ということで今回出かけてみましたよ。
電車での最寄駅は東急東横線の学芸大学駅で、急行とか特急とかは当然のよーに停まらない。ざけんなよ、ったく。だいたい学芸大学なんか、もうこの地にはなくて、名前だけの駅なんだからいっそのこと「三宝カメラ前」とか、「お好み焼きのらくらく」前とかにすりゃいいのによ。
で、駅から歩いて15分、全力疾走で5分47秒ほどのところに三宝カメラはあるわけで、まーお世辞にも地の利がいいとは言えず、残暑の中、デブにはかなーり過酷な距離である。でも、店に着く頃には1キロくらいは痩せているのではという期待もなくはないので私と同じ境遇な人は健康のためにも早歩きでお店まで行くことを推奨しておきたいが、この距離の長さこそ、物欲を収めることのできる最後のチャンスかもしれん。引き返すなら今だぜ。




で、商店街の途中で何度も心が折れそうになりながら、やっとの思いで店頭にたどりついたんだけど、なんだか私の知る三宝カメラと雰囲気が違うではないか。場所を間違えたんじゃないかと思いましたね、まぢで。
エントランスは宮古島にある一部上場企業から脱サラしたおっさんがやっている小洒落た民宿みたいな雰囲気なのである。かっちょいいライトなんかつけちゃってさ。場所から見ても雰囲気からしても、これでは「Dr.コトー診療所」だろうが。(知らない人はググってね)赤城写真機診療所としてもこれは見過ごせないスタイルである。今度パクってやるぜ。




診療所じゃなかったお店に入ると、おおっと、素晴らしく明るい。昭和な雰囲気が多い個人経営の中古カメラ店とは一線を画する。入店したと同時に、いきなり怖い店主のおじさんに睨まれるというあの緊張感は皆無である。
新鮮だなーと思ったのはショーケースの位置関係がこれまでとまったく違うことだ。どうしたんだこれはっ!店内が見通しよく明るく広く感じるのは、店員さんがいるカウンターの位置が奥にあるからですな。しかも店員さんはみなさんカジュアルなスタイルである。これまでの硬直したスーツ姿と異なるわけで、とても接しやすいわけです。患者さんは店員さんの視線を気にすることはなく、ゆっくりブツを吟味することができるってえのも気が利いているぜ。



店舗入り口にて。オサレな看板とライト。店長の山口さん(左)と社長の飯塚さん。二人とも若いイケメンなところがミソ。ダイビングショップのインストラクターじゃないよ。若い女性客が増えたのはこの辺りに理由があるのだろうな。


新品元箱ぎっちりのウィンドー。実物を飾ったりするのは素人な店である。中身が見えないという妄想が物欲を掻き立てることを三宝カメラさんはよく知っているのである。

品揃えはこれまでとかわらず、素晴らしく豊富です。かなーりすごいですね。入り口すぐのところにあるショーケースには新品元箱がスキマなくぎっちり詰まっている。ちなみに視察した日はなぜかニコンF5とEOS3の“新品” デッドストックとかありましたぜ。すげー。

仕事があれば欲しいぜ新品カメラとレンズ。どなたかもっと仕事くださいお願いします。中古カメラもメーカー別そして、ミラーレスなど、タイプ別に分けられていて、アブないアクセアリー類の専用ショーケースまであるぜ。
とても見やすいけれど、最近始めたという委託販売の専用ショーケースも目立つ位置にあるのはいいよね。ちなみに委託販売の手数料は2万円以上は15パーセントというから見逃せない。
奥に歩いてゆくと、右手のカゴにはジャンク品が籠の中にたくさんありました。本当は丹念に見たいところだが、そんなことをすると仕事にならなくなるので我慢しました。エラいぞヲレ。



談話スペースではお茶(無料)が提供され、ゆっくりくつろぐことができる。店長の山口さんとドクター赤城。

その先には白いテーブルと椅子が2セット置かれている。ここは今回リニューアルして新しくできた談話スペースなのだ。こいつは贅沢だぜ。
患者さんはここで、仲間とお互いの病気自慢をすることができるし、下取り品を査定している間にお休みすることができる。しかもですよ、ダータで、コーヒーとかお茶が飲める販売機も設置しているわけ。すげーサービスいい診療所じゃないですか。うちも見習わねばならんのう。



Nゲージのディスプレーね。結構楽しい。自分で操作できます。またカメラの動体予測AFのテストに使うことができる(嘘)。

さらに店内の一番奥にはですね、あなた、Nゲージのかなりデカいジオラマが設置されており、鉄の方々ではなくても、だれでも遊ぶことができます。癒しの空間ですぜこれは。ただし、みなさん順番を守って仲良く操作してくださいね。ちなみにここで鉄ウィルスに感染しても、当診療所では治療は受け付けておりませんので念のため。



ガキ、じゃなかったお子様づれの患者様は、Nゲージでお子様を遊ばせておき、そこで夢中になっているスキに自分はニコンF2フォトミックの74万台と77万台を違いをじっくりと検証し、どちらにするか時間をかけて真剣に悩むことができるわけです。これはかなり重要なことです。
カウンター前にはライカやハッセルなどの高級品もあるんだけど、目を惹くのは、「初めての方におすすめ!フィルムカメラ」っていう大型のショーケースが鎮座していることである。うーむ。なかなかやるぜ三宝カメラ。




ちなみにこのショーケースの効果はかなりありそうだ。だって、この日も若い女の子ふたりが、コンパクトカメラを品定めしていたんだけど、商品は10〜20年ほど前のAFコンパクトカメラを主流としているところがいいわけ。価格は500〜1500円くらいと超廉価だ。
ビギナーにメーターなしの初代オリンパスペンとか、ニコンFのようなフルメカニカルのクラシックカメラを強くオススメするお店もあるけど、これはかなり危険な治療であり、患者のスキルを見極めてからの方がいいのだ。現代の若者は、結論を急ぎたがるので、最初から失敗なく写真が撮れないと、せっかく興味を持ったフィルムカメラ、銀塩写真が嫌になります。だから最初は簡単なカメラを使うのが一番いいわけ。取っ掛かりという意味でも、最初はキレーに写るのが大事です。
ちなみにこの女の子たちは「写ルンです」を最初に使って、銀塩写真、カメラに興味を持ったそうです。いいですねー。飽きないことを祈りたいぞ。フィルムカメラビギナーの方はわからないことがあればどんどんお店の人に質問しましょう。それにしても、いいですねー着々と患者予備軍が増えていて、三宝カメラとしても私としてもたいへん喜ばしいことです。中古カメラ店に若い女の子がいるというのは、明るい店内がさらに華やかになりますし、診療所としてもこれは理想的だよなー。




あ、あとびっくりしたのは、フィルムも売っていて、カラーネガからモノクロまでそれなりの種類が用意され、その場で購入したカメラに装填できちゃうことです。中古カメラ店でちゃんとフィルムを販売しているところは少ないですね。弾がない銃は戦場では何の役にも立たないことを、お店も患者さんもよーく知るべきだよね。

 

ドクター赤城が処方する”カメラ病”に効く処方箋


オリンパス OM-D E-M5 MarkII
E-M1 MarkIIとかPEN-F登場以降は影が薄いけどしかたない。手ブレ補正は素晴らしく強力で、写真がウマくなったのではと勘違いさせる出来のよさである。低予算でOMの真髄を知りたい人のために。あ、像面位相差AFは不採用だけど、純正レンズを使うぶんには特に問題はなさそう。装着レンズのMズイコーデジタル17mmF2.8はロングセラー。全群繰り出しで性能面では定評あり。





ニコン F5
すげーキレーなニコンF5を2万円台そこそこで売るとか、こんなに安く売ってはバチが当たるのではないかと思うぜ。少なくともニコンの後藤哲郎さんの胸の内を想像しただけで息苦しくなりますねえ。私があと15歳若かったらまとめて在庫を3台くらい買ってたんじゃねえかなあ。





ペンタックス MZ-S
ジャミラカメラの代表的一眼レフ ペンタックス MZ-Sね。本当はデジタルカメラになるはずだったがそれが叶わなかった悲しい機種なのである。珍しいのは縦位置グリップついてること。好きな人いるでしょ、これ。ヘンなインターフェースなところもあるけど、個人的に大好きなんで、こいつも買いそうになっちまった。





富士写真フイルム フジノン 35mm F2
欲しい〜。ライカマウントのフジノン 35mm F2。一時よりは安くなったのだな。カラーで撮ると青い色再現性なんだけど、その冷酷な感じが独自性を感じさせるぜ。もちろんデジタルなら問題ないし。明日、店に電話するかなー。もうないだろうなー。この個体にはL-Mアダプターついてたよ。





コーワ SIX
コーワ6ね。コルゲンコーワのコーワの6×6一眼レフの最初期型なんだけど、後継機になればなるほどムダな機能がついて重くデカくなる。信じがたい。こいつが一番いいんだぜ。クイックリターンしないとこなんざハッセル500CMを使ってると思えば良いわけ。プロミナーって派手さはないけど、すげーよく写ります。マウントはスピゴットタイプで少し扱いづらいけど、ま、慣れですね。





ライカ IIIf
この個体のミソなのはセルフなしなことである。セルフがないIIIfこそ「使うライカ」の真髄を表しているのである。うちにあるようなレッドダイヤルのセルフ付きとかを買う人(なんのことかわからない人はググってね)はロクに写真を撮らないことを世間に知らしめているようなものなのである。



 

ドクター赤城耕一の自己治療


ところで往診を終えて、帰りがけにふと気がつくと、なんか重たい紙袋をもっていたりする私なのである。
おそらくなんらかの術中にハマり、トランス状態になっていて、薬を購入してしまったらしいのだ。ブツの一つはキヤノンEOS5000という輸出専用機。ジェネリックな廉価逆輸入カメラまで備えているのはさすがである。それにヤシカエレクトロXのシルバーボディ。これはイレギュラーだったんだけど、つい先日、手元にあった同系機種が昇天されたのでちょうどよかろうということでお越しいただいたのである。ほら、それぞれに「買う理由」はあるよね。



三宝カメラは患者さまの年齢に関係なく、デジタル、フィルムあらゆる層の患者に幅広い治療を行うリアルな町の写真機診療所なのである。「カメラ欲しいよ病」に罹患している人は三宝カメラにぜひ訪れてみてください。多少、病状は落ち着きをみせるかもしれません。ま、一時的に緩和されるだけだと思うから通院することになると思うけどさ(笑)。




<ショップ情報>
三宝カメラ
住所:〒152-0002 東京都目黒区目黒本町2-5-5
TEL:03-3793-2273 FAX:03-3793-2966
営業時間:平日 9:30〜19:00/日曜10:00〜18:00
定休日:祝祭日
ショップサイト:http://www.sanpou.co.jp/

CAMERA fanで三宝カメラの商品を検索する:
http://camerafan.jp/sanpou/itemlist.php

 
 
赤城耕一
東京生まれ。出版社を経てフリー。エディトリアルやコマーシャルの撮影のかたわら、カメラ雑誌ではメカニズム記事や撮影ハウツー記事を執筆。戦前のライカから、最新のデジタルカメラまで節操なく使い続けている。

主な著書に「使うM型ライカ」(双葉社)「定番カメラの名品レンズ」(小学館)「ドイツカメラへの旅」(東京書籍)「銀塩カメラ辞典」(平凡社)

ブログ:赤城耕一写真日録
 
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