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デジカメの簡単撮影機能を使って星の光跡撮影にチャレンジ

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デジカメの簡単撮影機能を使って
星の光跡撮影にチャレンジ
公開日:2017/10/04

ペンタックス スターストリーム機能で光跡タイムラプスを撮影

photo & text 宇佐見健

印象的な星景動画撮影機能「スターストリーム」



今回の撮影に使用したペンタックス KP。約2432万画素のAPS-CサイズCMOSセンサーを搭載したデジタル一眼レフカメラ。ISO 819200(標準出力感度)の超高感度撮影が可能。ボディ内5軸手ぶれ補正機構「SR II」搭載。ミドルクラス機ながら、高スペックのボディだ。


ペンタックスのデジタル一眼レフに搭載されている撮影機能「スターストリーム」は、インターバル撮影で得た複数の静止画像をカメラ内部で比較明合成するという点では、先に紹介したオリンパスのライブコンポジット機能と似ている。

違いは最終的な仕上がりが”タイムラプス”のような動画として記録されること。「のような」と書いたのは単なるタイムラプスとは異なる特徴があるからだが、言葉で説明するより、まずは作例のムービーを大きなモニター画面でご覧いただきたい。
 

【作例】


15秒×500回 F5.6 ISO800 白熱灯 K-P smc PENTAX-DA 12-24mmF4 ED AL[IF] フェードアウトレベル2
時間の経過に応じて、星が画面内を移動する光跡を徐々に薄く(フェードアウト)させることにより、星が尾を引きながら流れていくような幻想的な動画になるのが、一般的なタイムラプス動画と異なる特徴だ。本来ならば、パソコンで行うような動画加工処理をカメラ単体で完結してしまう機能が、このスターストリームなのである。
 
 
10秒×400 F5.6 ISO200 K-P smc PENTAX-DA 12-24mmF4 ED AL[IF]  白熱灯 フェードアウト1
画面を星空のみで構成すると、光跡が伸びるにつれて線だけが目立ち、何を撮っているのかわからない画になりがち。そこで画面内に地上の景色や構造物を意識的に絡めることで「動と静」の対比で、雄大な天体ショーの臨場感がプラスされ、動画に面白みが増す。
 
10秒× 250 f5,6 ISO640 K-P smc PENTAX-DA 12-24mmF4 ED AL[IF] 白熱灯 フェードアウト1

また、通過する航空機のライトが入ってしまうのは避けようがないのだが、これもフェードアウトしていくので、静止画撮影で写り込むのに比べれば、それほど邪魔ではなく、逆にアクセントとして考えてもよいだろう。
 

10秒×400 f5.6 ISO800 × K-P smc PENTAX-DA 17-70mmF4AL[IF] SDM 白熱灯 フェードアウトレベル2
 

─── スターストリーム撮影の基本操作

スターストリームは動画で記録される撮影モードだが、インターバル撮影した大量の静止画から動画への変換作業自体は全てカメラが自動で行ってくれる。

最終的に記録されるのはAVI動画ファイルのみのため、画像の明るさやホワイトバランスなどの事後の変更や調整はできない。

 

─── 基準の露出を知ろう

まず最初に行うのは、マニュアル露出モードで静止画として星景撮影を行い、基準となる露出値を決定すること。

テスト撮影の結果を見て明るさをコントロールする場合は、ISO感度で調整するほうが簡単だ。この点はカメラは異なるが、前回の静止画撮影編であるオリンパスのライブコンポジット撮影と共通するので、参考にしてもらいたい。

>マニュアル撮影で露出を決める

撮影には、なるべく被写界深度の深い超広角レンズを使うのが良いが、ビルや橋など無限遠ピントでピントが甘くなってしまうような場合は、構造物がピンボケにならないように気を付けよう。感度特性も階調表現も向上した現代のデジタルカメラでは、肉眼の見た目は暗くても画面内では結構ハッキリとピンボケが分かってしまい、見苦しくなるからだ。
 

─── スターストリーム撮影の設定準備

以降は基準露出決定後の操作手順を説明する。
 

スターストリーム撮影モードを起動


テスト撮影で基準露出が決まったら、カメラの十字キーの右ボタンを押してドライブモードの設定画面を表示。
ドライブモードの右端にあるアイコン「INT」を選択すると、


4種類のインターバル撮影モードが下段に表示される。
 

十字キーの下ボタンを一回押し、右端のスターストリーム撮影モードを選択。
※アイコンは小さくて分かりにくいが光跡画像のデザインになっている。
 

「INFO」ボタンを押して詳細設定画面に移行する。
 

詳細設定


【記録サイズ】
記録動画のサイズを以下の3種類から選択できる。
  • ・4K(3860×2140)
  • ・FHD(1920×1080)
  • ・HD(1280×720)
ファイル形式はMotion JPEG(AVI)のみ
 

【撮影待機時間】
設定が「最短」になっていること確認する。

※スターストリーム撮影では「最短」以外の設定は不要なので、他の設定になっている時は「最短」にすること。
 

【撮影回数】
スターストリーム撮影では8〜2000回で設定可能。
(4K記録時は8〜500回)


例えば10秒の露光を480回に設定した場合単純計算で4800秒で概ね約80分以上の時間が必要になる。記録される動画の尺(長さ)は撮影設定の内容次第で多少の変動があるようだが、500回撮影で再生時間 約60秒の動画に仕上がる。実際には撮影毎に要するシャッターチャージなどの時間も加算される。
 

【開始トリガー】
撮影を開始する際のシャッターレリーズの方法を選択できる。
アイコンの意味は左から
  • ・ボディのシャッターボタン、もしくはケーブルレリーズボタンで即トリガー(デフォルト)
  • ・セルフタイマー10秒
  • ・セルフタイマー2秒
  • ・時刻指定
 

【撮影開始時刻(時刻指定選択時のみ設定可)】
開始トリガーで「時刻指定」を選択するとその下の段にある「撮影開始時刻」が設定がアクティブになる。自動的に撮影を開始できるので、無人撮影が可能だ。
 

【フェードアウト】
3段階のスピードと「OFF」の設定が可能。レベルバーの表示は左から「最短」→「中間」→「最長」となる。バーの表示が長くなるほど光跡も長くなる。

「OFF」は再生開始から終了まで同じ太さで光跡が伸びていく動画になる。この設定はどれが正解ということは無いので、好みで選べば良い。
 

一度設定した内容は次に変更するまでカメラに記憶されており、本体のメイン電源ON/OFFでもリセットはされない。自分好みの撮影設定を確立できてしまえば毎回セットし直す必要はなく、ドライブモードでスターストリームを選択するだけで即撮影に移行できる。

 

 ─── 撮影開始!


撮影中の液晶モニター表示

あとは設定した開始トリガーの方式で撮影がスタートしたら、撮影回数が終了するまで待つだけ。ブレの恐れがあるので撮影中はカメラや三脚に触れないように注意しよう。

万一、設定した撮影回数よりも前に撮影を終了する場合には、カメラ電源を切ることで強制的に終了でき、そこまでのインターバル撮影で得られた画像だけ動画が生成される。(撮影を一度中断・再開して1本の動画ファイルとして記録することはできない。)



 液晶モニターには撮影中の画像のみが表示される。

 

─── 知っておきたいポイント

【Point 1】雲も画面にドラマチックな効果をもたらしてくれる

撮影途中に雲が発生して画面内に流れてきたが、後に晴れ間がくることが予想できたので撮影を続行した。一般的な星系撮影や、先に解説したライブコンポジットの静止画では雲は邪魔な存在だが、タイムラプスのような時間を圧縮した動画の場合、風に流されて行く雲はドラマチックな空の変化を表現するのに効果的ともいえる。

 
15秒×500回 F4,0 ISO1600 K-P smc PENTAX-DA 12-24mmF4 ED AL[IF]  白熱灯 フェードアウトレベル2
 

【Point 2】バッテリー対策は余念なく


設定次第ではあるが、1回の撮影で数百回ものシャッターを切ることにもなるスターストリーム撮影は、やはり電池の減りが早い。4K記録500回の設定なら、フル充電されたバッテリー1個を使い切る。


一晩に数パターンの撮影に挑戦するなら、バッテリーグリップやスペアバッテリーは必須。現段階では、純正アクセサリのACアダプターとAC出力可能なモバイルバッテリーとの組み合わせが、電池切れの不安がなく最強の電源と言える。
 
東京ゲートブリッジでの撮影風景
 

─── 乗り物の光を追いかける夜景撮影にも

画面内を覆いつくして長時間留まっているような雲は避けたいが、スターストリーム撮影は完璧な晴天にこだわらなくても撮影が楽しめるので、気象条件的なハードルは静止画の星景撮影よりは低いと言える。

名称の通り、主役はもちろん星ではあるが、星が狙えなくても、空を行き交う航空機、地上の自動車、電車、水上の船などの移動するライトの光跡と夜景と絡める撮影に切替れば、撮影できる楽しみも広がるはず。
 

<スターストリーム機能搭載機種>
「PENTAX KP」「k-s2」「PENTAX K-1」「PENTAX K-70」
2017年10月記事公開時点



<関連サイト>
ペンタックス デジタルカメラ
http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/products/



<関連記事>
オリンパス OM-D E-M5 Markll ライブコンポジット撮影
http://camerafan.jp/cc.php?i=611  


 
【著者プロフィール】
 

宇佐見 健(Ken Usami)

1966年東京生まれ。日本大学芸術学部写真学科を卒業後、専門誌、広告代理店を経てフリー。カメラ雑誌では新製品レビューやハウツーなど各種特集ページの執筆も担当。近年は北欧方面を精力的に撮影中。カメラグランプリ選考委員。