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カメラアーカイブ

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カメラアーカイブ
巷に溢れる新製品情報。そんな情報の波に埋もれてしまっている魅力的なカメラたちがある。メーカー開発者たちが、心血を注いで創りだした名機の魅力を蓄積していく。
公開日:2017/10/30

中判カメラ ペンタックス 645NII

Photo & Text & Movie 大村祐里子


1984年6月に発売されたペンタックス645は、1997年12月にペンタックス645Nへと進化し、多くの写真家に愛用されてきました。今回ご紹介するペンタックス645NIIは、645Nへさらに改良が加えられたカメラです。発売は2002年。ミラーアップ機構などが搭載され、より使いやすくグレードアップしています。

わたしは写真を始めてから、ずっと6×6フォーマットの中判カメラを使ってきました。ましかくに世界を切りとれるところがお気に入りだったのですが、ある時ふと「6×6フォーマットのカメラは縦横の概念がないので安定した構図の写真を撮れるけれども、どうも一枚完結になりがちだなあ」と思いました。そこから、「長辺・短辺という概念のあるフォーマットの方が、動きのある写真が撮れるようになるんじゃないかな」と考えるようになりました。

そんなときにたまたま出合ったのが、ペンタックス645NIIでした。「6×6フォーマット以外のカメラを使ってみたい」とつぶやいたら、お友達がこのカメラを貸してくれたのです。画面サイズがほぼ6cm×4.5cmである645フォーマットのカメラは、慣れ親しんだ中判カメラでありながら、しっかりと長辺・短辺があります。びっくりするほどの使いやすさも相まって、ペンタックス645NIIは一瞬でわたしの愛機になりました。



F2.8 1/60 6分割測光 PENTAX-FA645 75mmF2.8 Ektar100
雪が降ったとき、近所で撮影した写真です。どんな天気のときでも「持ち出そう」と思えるカメラがペンタックス645NIIです。このカメラに出合ってから、四季のあれこれをより写し取れるようになりました。
 

組写真が組めるようになった

ペンタックス645NIIを使うようになってからの一番の変化は、6×6フォーマット時代には考えられなかった「複数枚の写真を組み合わせて、ひとつの感情の塊を表現」できるようになったことです。長辺・短辺という概念のあるフォーマットに変わったことで、撮る写真の中に動きが出てきて、一枚完結ではない写真を生み出せるようになりました。

現在では、複数枚の写真を組み合わせることが自分の作風になっていますが、あのときこのカメラに出合っていなければ、わたしはいまの作風を手に入れることはできませんでした。ペンタックス645NIIは、自分の人生の中で、重要なポジションを占めています。


 

【ペンタックス645NIIの機能】

ペンタックス645NIIの良い点は、35ミリ一眼レフと同じような感覚で気軽に使えるところです。ボタンの配置や操作も、こんなにわかりやすくて良いのか、と思うくらいわかりやすいです。電池は、どこでも入手できる単三電池を使っているので、いざというときも安心です。
このカメラは、35ミリ一眼レフがそのままちょっと大きくなったような構造をしています。75mmレンズを装着し、電池を入れた状態での重量は1,636g。決して軽くはないのですが、大きなグリップが手にしっかりフィットし持ちやすく、カメラの重みはそこまで気になりません。お出かけにも持って行こう、という気持ちにさせてくれます。




ボディ上部に整然と並べられたダイヤル類はわかりやすく、カメラの操作で迷うことはまずないと言えます。この抜群の扱いやすさこそ、ペンタックス645NIIの魅力です。

1:「露出補正ダイヤル」で露出を調整する
2:オートブラケット指標ダイヤル。あらかじめ設定した露出幅で、自動連写による段階露出撮影ができる

3:シャッターダイヤル。「A」にセットすると絞り優先自動露出。
4:測光方式切り替えレバー。露出を測る範囲を調整する。
5:液晶パネル。ISO感度やフィルム残数を表示
6:ドライブダイヤル。連写やセルフタイマーを調整する
7:電源スイッチ

このように操作系がボディ上部にまとまっています。露出モードは自動からマニュアルまで揃っているので、カメラに詳しくない人でも、こだわって撮りたい人でも、満足に使えます。



マウントは、ペンタックス645AFマウント。前モデルのペンタックス645Nは、世界初のオートフォーカス機能搭載中判カメラです。したがって、フォーカスを合わせることに自信のない方はAFを使用することもできます。合焦速度は比較的早く、暗い場所やコントラストのない被写体でもきちんと合焦してくれます。
交換レンズは種類が豊富ですが、わたしは標準的な画角のsmc PENTAX-FA645 75mmF2.8一本ですべてを撮影しています。寄るときはクローズアップフィルターをつけています。




中判カメラに慣れない人にとって唯一のネックは、ブローニーフィルムの装填だと思います。ただ、これにさえ慣れてしまえば、ペンタックス645Nはフィルムを自動で巻き上げてくれるので楽に使えます。

 

ペンタックス 645NII フィルムの入れ方

動画撮影・編集:大村祐里子
 



<ペンタックス 645NII ギャラリー>


F2.8 1/15 6分割測光 PENTAX-FA645 75mmF2.8 portra800
水族館にて、赤くライトアップされた水槽を覗き込む子供を撮影しました。かなり暗くシャッター速度が低速になるなと思ったので、ミラーショックによるブレを防ぐためミラーアップしてからシャッターを切りました。暗いところでも意外とブレずに撮影できるので、重宝しています。



F2.8 1/250 6分割測光 PENTAX-FA645 75mmF2.8 Ektar100
お散歩中に可愛らしいオレンジの花を見つけたので撮影しました。わたしはお散歩中に持ち歩くレンズは一本だけと決めているので、寄りたくなった場合は、クローズアップフィルターをつけて対応することにしています。フィルターをつけたときの、やわらかい描写も気に入っています。



F2.8 1/60 6分割測光 PENTAX-FA645 75mmF2.8 Ektar100
静かに佇む黄色い蝶々を撮影しました。AFを使いましたが、合焦速度は早く、蝶々が逃げる前にしっかりとピントを合わせることができました。



F8 1/125 6分割測光 PENTAX-FA645 75mmF2.8 portra800
羽田空港に向かう途中、モノレールの車窓から見えた朝日を撮影しました。35ミリ一眼レフと同じような感覚で使えるけれども、しっかりと中判画質なのが嬉しいです。



F4 1/250 6分割測光 PENTAX-FA645 75mmF2.8 Ektar100
ある夏の日、道路の水たまりに映り込んだ木々が美しかったので、水たまりを覗き込み、片手でカメラを構えて撮影しました。両手でホールドすることが必要な中判カメラでは、このような撮り方はできません。片手で構えて真下を覗き込もうものなら、カメラごと落下してしまいます……。いいな、と思った瞬間に気軽にシャッターを切れるところが気に入っています。

 

<主な仕様>

ペンタックス 645NII 
(発売:2001年10月/2009年生産終了済み)
●カメラ形式:マルチモードTTL自動露出オートフォーカス 6×4.5cm判一眼レフカメラ
● レンズマウント:ペンタックス645AFマウント(ペンタックスAマウントと互換性あり)
●使用フィルム:中判フィルム(通称:ブローニーフィルム) 120/220ロールフィルム
●シャッター制御:電子式
●シャッター速度:
プログラムAE:オートシャッター 30〜1/1000秒(無段階)
マニュアルシャッター 6〜1000秒、B、Xシンクロ=1/60秒
● 露出制御:プログラム自動露出、シャッター速度優先・絞り優先自動露出、マニュアル露出、バルブ
● 電池:単3電池6本(リチウム、アルカリ)
● サイズ/重量:W150×H111×D117mm、1280g
 

<メーカーサイト>
リコーイメージング
http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/products/filmcamera/medium/645n2/index.html


協力:日本カメラ博物館
http://www.jcii-cameramuseum.jp/



カメラファンで「ペンタックス 645 N」シリーズを探してみる
http://camerafan.jp/itemlist.php?m=PENTAX&c=7&s=&l=&h=&w=645%2BN&nw=&sr=11&re=0&p=0&sr=-11
 著者プロフィール  
大村 祐里子(おおむら ゆりこ)

1983年東京都生まれ
ハーベストタイム所属。雑誌、書籍、アーティスト写真の撮影など、さまざまなジャンルで活動中。雑誌連載:『フォトテクニックデジタル』にて「身近なものの撮り方辞典」、『写ガール』にて「読書感想写真」、『デジタルカメラマガジン』にて「カメラおじさんを探して三千枚 」を連載中
http://shutter-girl.jp/
Twitter:@Holy_Garden