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スペシャルレビュー

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スペシャルレビュー
公開日:2018/03/28

LENSBABY コンポーザープロII スウィート80

text & photo 川合麻紀

Canon EOS 5D Mark IV + LENSBABY コンポーザープロll スウィート80
絞り優先 F4 1/10 ISO400 AWB

 

LENSBABY (レンズベビー)

レンズベビーといえば、独特のボケ味が特徴のマニュアルレンズ群です。その中でもスウィートのシリーズは、初代のレンズベビーの描写を引き継ぎ、流れるような独特のボケを創り出すレンズで、レンズベビーといえばこの描写、とも言えます。

私がレンズベビーを使い始めたのは2世代目のレンズベビー2.0からで、2005年くらいだったと思います。その描写に魅せられて10年以上が経ちました。それからレンズベビーもいろいろな進化を遂げ、ベルベットなど描写の違うシリーズもできました。

スウィートのシリーズは、鏡筒がティルトの動きを備えていて、レンズを傾けることで、ピントの合うエリアを移動することができます。鏡筒をまっすぐにしたとしても、周辺部にはピントが合わない流れのような描写が現れます。

このレンズには電子接点はなく、ピント合わせはマニュアルフォーカスです。今回撮影に使ったキヤノンのカメラでは、絞り優先で使用しました。カメラによっては、マニュアル設定での撮影となります。絞りの変更は、カメラ側ではなく、レンズ側の絞りリングを動かして行います。

 

【LENSBABY コンポーザープロII スウィート80 主な仕様】

焦点距離:80mm
絞り:F2.8〜F22
フォーマット:デジタル一眼レフ用(サイズ/6.35×6.35cm 252.31g)
                     ミラーレス用(サイズ/6.35cm×8.59cm 303.43g)
マウント:キヤノンEF、ニコンF、ソニーA、ペンタックスK、マイクロフォーサーズ、ソニーE、富士フイルムX
フィルター径:46mm
最短撮影距離:56cm(接写モード時、レンズ先端から被写体までの距離)
レンズユニット交換システムに対応:
鏡筒はそのままに、別売の他のレンズユニットと交換可能


今回ご紹介するのは、コンポーザープロll スウィート80。80mm F2.8のレンズです。スウィートには、35ミリ、50ミリと焦点距離の違うレンズがありますが、中望遠の80ミリが登場し。3本になりました。被写体に合わせて、あるいは普段自分がよく使う焦点距離を選ぶといいと思います。

絞りはF2.8からF22まで、開放に近い絞り値に設定すればピントの合う範囲は小さく浅く、逆に絞り込むと、ピントの合う範囲は大きく深くなります。

レンズ先端は引っ張り出せるようになっていて、遠距離を撮影する場合には山マーク方向へ引っ込める感じ、近距離なら花マーク方向へ引っ張りだす感じ、花マーク時でレンズから56cmが一番近づける距離なので、ある程度大きさがあるものを被写体にする方が良さそうです。

 

【作例】


Canon EOS 5D Mark IV + LENSBABY コンポーザープロll スウィート80
絞り優先 F2.8 1/22 +1EV ISO200 AWB

とりあえず試写ということで、家の中で花を撮影してみました。バラの中心に向けてほんの少しだけレンズを傾けます。ピントを合わせたところはシャープに、それ以外は周囲に流れるような放射状のボケができます。



Canon EOS 5D Mark IV + LENSBABY コンポーザープロll スウィート80
絞り優先 F4 1/90 +2.5EV ISO400 AWB

ピント合わせは正直難しいレンズです。開放側は相当シビアなので、まずはF4とかF5.6くらいで始めてみてもいいと思います。




Canon EOS 5D Mark IV + LENSBABY コンポーザープロll スウィート80
絞り優先 F2.8 1/6000 -0.5EV ISO400 AWB

光の角度によっては、面白いフレアやゴーストが現れることがあります。私はよくこのフレアを作品作りに使います。光が降ってくるようなイメージです。




Canon EOS 5D Mark IV + LENSBABY コンポーザープロll スウィート80
絞り優先 F2.8 1/1500 -1EV ISO400 AWB

背景が黒く落ちるような光の条件で撮影してみました。初めのうちは、主役を中心付近に置くとピントが合わせやすいと思います。絵画のような雰囲気になりました。



Canon EOS 5D Mark IV + LENSBABY コンポーザープロll スウィート80
絞り優先 F2.8 1/1000 -0.5EV ISO200 AWB

普通のレンズでも丸ボケになるような条件では、画面の周囲は楕円状というか、外に向かって広がるような形になります。周囲は筆で描いたような感じに、ピントを合わせたワンちゃんは写真っぽく、このギャップがスウィートの面白さだと思います。 周囲のこの雰囲気が好きな場合には、フルサイズでのカメラがいいと思います。センサーが小さいカメラでは、周囲がカットされて写ります。



Canon EOS 5D Mark IV + LENSBABY コンポーザープロll スウィート80
絞り優先 F2.8 1/350 +0.5EV ISO200 AWB

橋の上から下を見るように、堤防をフレーミング。レンズを傾けずに、絞り開放で撮影しています。レンズの特徴がわかりやすいかもしれません。普通のレンズなら、カメラから同距離にあるものには全部にピントが合いますが、スウィートは中心部にしか合いません。



Canon EOS 5D Mark IV + LENSBABY コンポーザープロll スウィート80
絞り優先 F2.8 1/45 -2EV ISO800 AWB




Canon EOS 5D Mark IV + LENSBABY コンポーザープロll スウィート80
絞り優先 F2.8 1/750 -1EV ISO200 AWB

私はイルミネーションの撮影でよく使用します。ピントは画面左上の人のシルエットです。レンズを大きく傾けることで、渦巻くような、流れるような丸ボケができ、ファンタジックで華やかな印象になりました。




ピント合わせが楽しいレンズ

くせの強い描写のレンズなので、はまる人ははまる、ダメな方はダメ、と好みが極端に分かれるレンズだと思います。私は10年以上前から、その描写を限りなく愛しているレンズベビーマニアなので、いろいろな作品作りに使用しています。

レンズを傾けることによる周囲の流れやボケ、不思議なピントの感じは、目線を主役に集中させることができます。また、場合によっては、周囲の邪魔なものも隠してしまえます。すべてのものがくっきりと見える写真も素敵ですが、あんまり見えないのもいいですよ。

初めて使う方が難しいと感じるのはピント合わせでしょう。もし撮影してみて、うまく合わせられなかったら、まずは、レンズは傾けずに撮ってみましょう。それでも十分スウィートらしい描写になります。また、それでも難しかったらF4や、F5.6とか、少し絞ってみてください。慣れちゃえばこれほど楽しいレンズもありません。スナップにも、ポートレートにも合います。あなたも私と一緒に、レンズベビーマニアになってみませんか?




使用機材


Canon EOS 5D Mark IV + LENSBABY コンポーザープロII スウィート80


 

<メーカーサイト>

ケンコー・トキナー
LENSBABY コンポーザープロII スウィート80
http://www.kenko-tokina.co.jp/imaging/eq/camera-lens/lensbaby/lineup/4961607471661.html

LENSBABY シリーズラインナップ
http://www.kenko-tokina.co.jp/imaging/eq/camera-lens/lensbaby/lineup/