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SHUTTER GIRL WORLD

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SHUTTER GIRL WORLD
シャッターガールこと大村祐里子が、光と闇を描いていきます。
公開日:2014/10/27

私とローライフレックス 2.8F

photo & text 大村 祐里子


私とローライフレックスとの出会いは、2009年でした。

当時、写真に詳しくなりたいと思っていたわたしは、勉強のため赤坂三共カメラというカメラショップで働いていました。主な業務は、富士フイルムのデジタルミニラボシステムのフロンティアで、せっせとお客様の写真をプリントすることでした。

そこでは、デジタルデータとフィルム、両方の写真をプリントしていましたが、ある日「なにこれ綺麗……」と、思わず作業の手を止めてしまうほどの美しい写真を目にする機会がありました。木の机の上にポンとお花が置いてあるところを撮っただけの写真でしたが、何とも言えない蒼い色が印象的で、撮影した場所の空気までも閉じ込めているように見えました。そのあまりに静謐な雰囲気に、一気に引き込まれたのを覚えています。

Rolleiflex 2.8F Xenotar+rolleinar 2 (F2.8、1/15、ISO800、Kodak ポートラ800)


それは、普段見かける35mmフィルムより、だいぶ大きいサイズのネガフィルムで撮影されたものでした。これこそブローニーフィルムなのですが、その時は、「こんなに大きいサイズのフィルムがあるのか。このサイズのフィルムを使えば、綺麗な写真が撮れるのだろうか」と強く思った記憶があります。

その写真を撮った人は、近所の会社に勤めるごくごく普通のサラリーマンでした。写真は仕事ではなく、趣味だと言われました。わたしは、プロでなくてもこんなに綺麗な写真が撮れることに驚きました。と同時に「自分もこういう写真が撮れるのかもしれない」という気持ちが心の底に芽生えるのを感じました。



Rolleiflex 2.8F xenotar(F5.6、1/60、ISO100、Kodak Ektar100)

それ以降、わたしはその人のことを勝手に「師匠」と呼ぶことにし、彼の撮影に付いていっては、撮影スタイルをじっと観察する、という日々を送ることに決めました。振り返ってみるとかなり迷惑な話ですが、この時期に目で見て覚えたことは、いまだに役立っていたりします。

師匠の愛機はハッセルブラッド 501C。わたしは師匠のような写真が撮りたかったので、彼と同じ中判カメラが欲しいと思いました(当時のわたしのカメラは、CANON EOS Kiss Digital X)。
そこで師匠に「ハッセルブラッドが欲しい」と言ってみたところ「ゆりちゃんにハッセルは似合わないと思う。女性だから外見が可愛い”ローライフレックス”がいいんじゃないの」と返されました。
そんなわけで……私はそのカメラの特徴も使い方もよくわからないのに、師匠に言われるがままローライフレックス 2.8Fを購入してしまったのです。

それが運命の出会いでした。ローライフレックス 2.8Fを手に入れてから、わたしはますます写真にのめりこむようになっていったのです。



Rolleiflex 2.8F Xenotar(F4.0、1/60、ISO100、Kodak Ektar100)


【ローライフレックス 2.8F(Rolleiflex 2.8F )】


外見がレトロで可愛らしく、置いておくだけで絵になってしまうプロポーション。このカメラをぶら下げて街を歩いていると、よく女性に声を掛けられます。何気ない日常をドラマティックに切り取ってくれる、Xenotar 80mm F2.8というレンズは、「こんな風に写って欲しい」と思った通りの絵をつくり出してくれます。


Rolleiflex 2.8F Xenotar+rolleinar 2 (F4.0、1/30、ISO400、Kodak ポートラNC 400)

そして、正方形というフォーマットが楽しい!正方形ゆえに上下左右という概念が存在しないので、撮った写真をひっくり返したりすると、意外な絵になることがあり、予測不可能で面白いのです。

レンズシャッターは、振動が少なくてブレにくく、暗いところでもバシバシ撮りたいわたしにとってありがたい存在。1/8秒くらいまでは手持ちで撮れてしまいます。


Rolleiflex 2.8F Xenotar(F4.0、1/8、ISO800、Kodak ポートラ800)


その後、私はカメラマンとして、撮影の仕事をするようになり、デジタルカメラも頻繁に使うようになりましたが、一番好きなのはやはりローライフレックス2.8Fです。このカメラなら、息をするように写真を撮れます。気持ちが良いほど、自分とカメラがシンクロできてしまう、わたしの最愛のカメラです。
 著者プロフィール  
大村 祐里子(おおむら ゆりこ)

1983年東京都生まれ
ハーベストタイム所属。雑誌、書籍、アーティスト写真の撮影など、さまざまなジャンルで活動中。雑誌連載:『フォトテクニックデジタル』にて「身近なものの撮り方辞典」、『写ガール』にて「読書感想写真」、『デジタルカメラマガジン』にて「カメラおじさんを探して三千枚 」を連載中
http://shutter-girl.jp/
Twitter:@Holy_Garden