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デジカメの簡単撮影機能を使って星の光跡撮影にチャレンジ

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デジカメの簡単撮影機能を使って
星の光跡撮影にチャレンジ
公開日:2017/08/18

オリンパス OM-D E-M5 Markll ライブコンポジット撮影

photo & text 宇佐見健

OLYMPUS OM-D E-M5 Markll(すべて共通)M.ZUIKO 12-40mm F2.8
ライブコンポジット撮影 F4.5 4.0秒 ISO320 WB:電球 コンポジット撮影回数500回

今どきのデジタルカメラではノイズの少ない高感度撮影に加え、一眼レフやミラーレス一眼など多くの機種で「比較明合成」機能が搭載されている。これは簡単に言えば重ね撮りをする機能で、更にこの機能を発展させることで簡単に星の光跡撮影ができるデジタルカメラも増えてきた。

その中でも代表的なデジタルカメラと言えるオリンパスOM-Dシリーズでの静止画撮影と、ペンタックスの一眼レフを用いた動画撮影に挑戦してみようというのが今回のテーマ。


まずは静止画での光跡撮影の手順をオリンパスOM-D E-M5 Markllの「ライブコンポジット」撮影機能の例で紹介してみよう。

 

夜空に星の光跡を描くライブコンポジット撮影

オリンパスのカメラ機能「ライブコンポジット」は任意に設定した露出(シャッター速度、絞り値、ISO感度)によるインターバル撮影と、その撮影において画面の中で明るく変化した部分のみを加算して合成処理をカメラ単体で行う「比較明合成」をドッキングした機能。

同社ミラーレス一眼ではOM-D E-M10で初搭載され、現行品(2017年7月現在)では、E-M1 Mark II、E-M5 Mark II、E-M10 Mark II、PEN-F、PEN E-PL8、E-PL7の各機種にも搭載。基本的な操作方法は同じである。
 

─── ライブコンポジット撮影の基本操作

カメラは三脚に固定し、地上の構造物や風景を絡めるなら、まだ空が明るいうちに構図を決めておこう。広角レンズを利用してなるべく画面に占める空の割合を多くした構図が良い。

ピント合わせはマニュアルフォーカスに設定。

∞(無限遠)もしくはモニターを見ながら、星がきちんと点に見えるように調節する。前景がある場合は、構造物が不自然なピンボケ状態にならないように注意し、MFリングやズームリングに触れて動かしてしまわないように、マスキングテープなどで固定すると良い。

※オリンパス製カメラの場合は、カメラメニュー「レンズリセット」をOFFに設定することで、カメラ電源を切ってもピント位置やズーム(電動ズーム)位置がリセットされなくなる。
 

─── 基準の露出を知ろう

とりあえずマニュアル露出モードで星空を1枚テスト撮影してみよう。

テストなのでシャッター速度は数秒から10秒程度、絞りは開放、もしくは1段程度絞った状態。
ISO感度は後に画像の明るさを調節する際に設定を上下に変更するのでボトム感度ではなくISO400程度にしておくと良い。

 

【テスト撮影の結果】

画像が暗すぎる例(露出アンダー)

空も前景に入れ込むタワーも全体的に暗く、星がほとんど写っていない。
ISO感度を上げ再度テスト撮影して画像全体が少し明るく星も写るように設定し直す。

画像が明るすぎる例(露出オーバー)

星は幾つか写っているが、空が白っぽく締りがなく、夜間照明部分の白トビも激しい。
ISO感度を低めに設定して再撮影し、空の濃度が適正になるように調節。


テスト撮影を繰り返して得た基準露出の画像


OLYMPUS M.12-40mm F2.8
F4.5 4秒 ISO800 WB:電球

テスト撮影の結果を見て画像の明るさを整えたい場合は、シャッター速度や絞りを調節するより、ISO感度設定で調節したほうが明るさの変化をつかみやすい。もちろん、ISO感度の設定だけで調整しきれない場合にはシャッター速度や絞りの変更で対応すればよい。街灯りなど人工照明による有害光が多い環境では、シャッター速度を速く(そのぶんISOは高くなる)の設定も試してみよう。
この作例の場合、4秒の露光なので星は点として写っている。
画像では分かりづらいかもしれないが、光跡撮影の場合は、この程度の明るさに写ればOK。


設定可能な露光時間とISO感度

コンポジット撮影で設定可能な露光時間とISO感度は、範囲が限定されているので、この中での設定となる。
 
シャッター速度
60s 50s 40s 30s 25s 20s 15s 13s 10s 8s 6s 5s 4s 3,2s 2,5s 2s 1,6s 1,3s 1s 1/1,3 1/1,6 1/2
ISO感度
LOW〜ISO1600(1/3step)

次はこのテスト撮影で得られた基準露出で、本番撮影用の撮影設定を行う。
 

─── ライブコンポジット撮影設定準備

撮影モードはテスト撮影時のマニュアル露出モードのままで、シャッター速度調節ダイヤルを低速側に回転させて、ライブコンポジット撮影モードを起動する。
 

ライブコンポジット撮影モードを起動


ダイヤルを表示の行き止まりまで回転させてシャッター速度に「LIVECOMP」が表示したらOK。
(60秒→BULB→LIVETIMEの次がLIVECOMP)


メニューボタンを押してコンポジット撮影設定画面を表示


十字キーの上/下ボタンを押して、テスト撮影時に使用した
露出時間をセットして決定(OK)する。



ひとつ前の画面に戻るので、シャッターボタンを押してノイズリダクション用画像を取得する。


自動で行われるノイズリダクション用画像の取得には数秒から数十秒を要する。
因みに取得した画像はメモリーカードに保存されるわけではなく再生して見ることもできない。


コンポジット撮影準備完了!

「コンポジット撮影の準備ができました」の
表示を確認できたら次はいよいよ本番撮影!
 

─── 撮影開始!

シャッターボタンをもう一度押すと撮影が開始し、先に設定した露光秒数の撮影を自動で繰り返す。カメラブレを防ぐため撮影終了までカメラや三脚には触れないように。



撮影中の液晶モニター表示

液晶モニターにはシャッター毎に比較明合成処理された画像が随時更新して表示されるので、その時点で光跡がどのくらいの長さに撮影できているか把握できる。


露出秒数の右にある数字は繰り返し露光した撮影回数。下段は撮影を開始からの経過時間が表示される。

画像更新ごとに星の光跡が伸びていく様子が確認できるので、光跡が好みの長さになったところで、もう一度シャッターボタンを押すことで撮影を終了できる。
(最長の撮影時間は最大3時間)


【作例】


OLYMPUS M.7-14mm F2.8
F3.5 50.0秒 ISO500 WB:太陽光 コンポジット撮影回数500回



OLYMPUS M.12-40mm F2.8
F5.0 20.0秒 ISO800 WB:電球  コンポジット撮影回数500回



OLYMPUS M.12-40mm F2.8
F5.6 20.0秒 ISO1600 WB:電球 コンポジット撮影回数141回

 


─── こんな時はどうする?

撮影した画像が明るい/暗い

→ISO感度を設定しなおして撮影する

OKボタンを押して、スーパーコンパネを表示。
→ISO感度を設定しなおして再度撮影。

 


─── 知っておきたいポイント

【Point 1】雲に注意

撮影中に流れてきた雲が画面に入ると、画面の中では空よりも明るい被写体になるため比較明合成の対象物となって写り込んでしまう。その結果、せっかく時間をかけて写してきた光跡が見えなくなってしまう。

コンポジット撮影時にはカメラを放置せず、雲の様子次第では本来撮ろうとイメージしていた光跡の長さに達する前でもシャッターボタンを押して撮影を終了したほうが良い。


 


【Point 2】ホワイトバランス設定を変えて好きな夜空の色を選んでも良い

ホワイトバランスはオートのままで撮影しても大きな問題はないが、地上の光の影響を受けて偏ったり、同じ環境で構図を変えただけなのに仕上がりの色が揃わないこともある。そのため任意のバランスに固定をして撮影するのがオススメだ。
この場合、正確な色にこだわる必要はなく、撮影者の好みで選べば良い。「太陽光」を選ぶと空はほとんどの場合で黒く描写されるが、「蛍光灯」や「電球」を選ぶとやや青味のあるクールな印象の空に撮影できる。色温度を変えてイメージに合うホワイトバランスを探すのも良いだろう。

 


【Point 3】記録モードはRAWまたはRAW+JPEGがオススメ

オリンパスのライブコンポジット撮影の記録方式は通常の撮影と同様にRAW撮影やRAW+JPEGでの記録方式を選択できる。

多少の明暗の調整や前述のホワイトバランスの変更はRAWファイルで記録しておくことで、現像時にいくらでも変更ができるのだ。


【一つのRAW画像からWB設定だけを変更して現像した作例】

OLYMPUS M.12-40mm F2.8
F5.6 25.0秒 ISO800(共通)
電球 太陽光 蛍光灯


【Point 4】バッテリー切れほど残念なことはない!



長時間に渡り低速シャッター撮影を繰り返すため電池の消費は早い。
ライブコンポジット撮影の途中で電池交換のタイミングが来てしまうと撮影はそこで終了となる。交換後はまた1枚目撮影からの振り出しに戻ってしまうので、予備電池だけで対応するのならば早めの交換を心がけたい。


最近はAC出力も出来る比較的小型な大容量モバイルバッテリーなどもあるので、メーカー純正アクセサリーのACアダプターと組み合わせて上手に使えば、一晩くらいのコンポジット撮影は電池切れの心配がなく、気温が下がり空気が澄す季節になればバッテリーの消費も早まるので、心強い味方になる。
 


─── 撮影して慣れてみよう!

以上、オリンパスのライブコンポジット撮影の流れを解説してきた。手順が多く見えるが実際に撮影してみると「意外と簡単」と感じる人も多いはず。

星の撮影は街灯りの少ない環境が適すのは事実だが、新月など月灯りの少ない日を選べば人里離れた遠方まで出かけなくても、思いのほか多くの光跡を撮影することが可能だ。もし、興味を持ったならまずは夜間の暗い環境でカメラを扱うことを経験してみることが第一歩。一度自宅の前や庭、近所の公園など落ち着いて試せる環境で、撮影にトライしてみて欲しい。



次回、ペンタックス スターストリーム編へ続く

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【著者プロフィール】
 

宇佐見 健(Ken Usami)

1966年東京生まれ。日本大学芸術学部写真学科を卒業後、専門誌、広告代理店を経てフリー。カメラ雑誌では新製品レビューやハウツーなど各種特集ページの執筆も担当。近年は北欧方面を精力的に撮影中。カメラグランプリ選考委員。