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NEXT STAGE

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NEXT STAGE
撮影現場の第一線で活躍中の若手フォトグラファーの仕事と、彼らが愛用する機材を紹介します。
公開日:2014/05/02

フォトグラファー 西村一光/Nishimura Ikko

CAMERA fan編集部


デジタルカメラでスタートした仕事

東京・乃木坂にスタジオ「AshCreate Studio(アッシュクリエイトスタジオ)」を構え、“デジタルネイティブ”といわれる世代に近いフォトグラファー、西村一光さんは、仕事のすべてをデジタルで行ってきた。

「デジタルカメラを導入したのは2005年。NikonのD100でした。このとき、これが主流になるだろうと思いました」

アシスタント時代にはフィルムの経験もあり、写真を始めたのはフィルムだったという西村さん。

「ファッション系の仕事が多く、2005年にデジタルカメラを導入してからは、デジタルで撮影できるフォトグラファーに仕事を依頼したいという声も多くなって、仕事はずっとデジタルだけです。ポラを引くのに憧れましたが、そういう現場はなかったですね(笑)

そのあと、NikonのD2X、D3を使っていましたが、2008年にハッセルブラッドH3DII-31を購入しました。







一番の理由は、画素数の問題でした。
当時、2000万画素を超える機材は、Canonの1Ds MarkIIIしかなかったんです。いろいろ調べていると、フェーズワンなどがだいぶ安くなっていたので、中判を視野に入れ、さまざまな機材を触ってみた結果、フィーリングの合ったハッセルブラッドH3DIIにたどり着きました。H3DIIは、高感度に弱い中判デジタルのなかでも、ISO100、400が使用でき、高画質が実現できるのも魅力でした」


<西村一光・WORKS>


Hasselblad H5D-40 HC MACRO 120mm F4 1/750 秒   f/11  ISO 100  broncolor scoro 1600S para133
Model: Samansa


Hasselblad H4D-50 HCD35-90mm F4.0-5.6 1/800 秒  f/11   ISO 50 Profoto Pro-7 オパライト+グリッド
Model: bj&tomoki


Hasselblad H5D-40 HC50-110mm F3.5-4.5 1/500 秒  f/11  ISO 100 broncolor scoro 1600S P70 reflector+para133
Model: 荻野可鈴(夢みるアドレセンス)アイドル横丁新聞掲載別カット
http://yumeado.com/


Hasselblad H5D-40 HC50-110mm F3.5-4.5 45秒   f/4.0 ISO 800 自作LEDライト Model: 菜々子 Hair&Make-up: 宇田川たかひろ(CiNEMA) Retoucher: 芳田賢明 Costume coordination: oneflower
☆この作品は、2014/5/7(水)〜5/17(土)までHasselblad Store Tokyoで行われるイベント「ATSF〜spring’14」にて展示される。ページ最後に写真展情報あり。

写真のクオリティを10%上げるために、
10倍の設備投資をする

「35mmフルサイズでの撮影がいわゆる“写真”であるとすると、中判で撮った写真は、本物のような立体感のある作品になります。これまで使ってきたデジタル一眼レフのそれぞれができることを、すべてハッセルブラッドで対応することができるといえるほど、表現力の幅が広いんです。

写真を見て頂いて分かる差は10%かもしれませんが、その10%をアップするためには、機材への投資は10倍近くなります。
ただ、ベースとして10%の差が最初からあれば、確実に良いものができる。
勉強でいえば、偏差値を10上げるっていうのは、とても大変なことですよね? 能力に限界はあっても、設備にはお金を払えばいいわけですから。

それに、機材への投資をすることによって、自分自身がラクになる部分もあります。表現に自由度が増しますし、自分のなかにあるイメージ、結論へたどり着くスピードは格段に上がるので、それはイコール、撮影のスピードが上がるという意味でもあります。撮影が早く終われば、スタッフやモデルさんも早く帰れるし、自分もさらに仕事ができて、機材代の支払いを除けばいいことだらけです(笑)」


<西村一光・EQUIPMENT>

西村さんの仕事を支えるハッセルブラッドシステム。左からHC Macro 120mm F4(I型)、HCD 24mm F4.8、H3DII-31 + HC80mm F2.8、H5D + HC50-110 F3.5-4.5




中判デジタルカメラで撮るようになって、アパレル関係など、大きな仕事ができるようになったという西村さん。ストロボはスイス製のbroncolorをメインに使用。多彩な光を自在に操る
撮影はハッセルブラッドH5DとMacBook Pro Retinaを接続して行う。クライアントには、撮影した画像を液晶ディスプレイやiPadで、直ちに確認してもらう。

カメラとの出会い

仕事のすべてをデジタルで行う西村さんとカメラとの出会いは、中学2年のころにさかのぼる。

「中学のころ、転校したんです。そこで最初に仲良くなった友人が、ふたりしかいない写真部に在籍していて、誘われて入りました。

もちろん、写真部ですからカメラが必要で、父が結婚するときの結納返しにもらったというNikon F2を借りることにしました。祖父は写真好きでしたが、父はそうでもなかったようで、とてもきれいな状態でした。




左からライカM2+ライカビット+日本光学5cm F2、ライカM3+DRズミクロン50mm F2、ニコンF2フォトミック+Ai-s 50mm F1.2


友人や景色を撮ったり、暗室に入ってプリントしたり、図書館へ行って、写真の技法解説の本などを読みあさって自分なりに勉強しましたね。

高校に入ると、写真部がなかったので美術部に入りました。バンドを組んでギターを弾くようにもなり、写真からは遠ざかっていきました。

浪人していたとき、内田ユキオさんの写真展で、オリジナルプリントを見て、ご本人とお話しする機会があったんです。
そのプリントを見たとき、写真でこんなことができるんだと感動し、また写真をやろう、大学に入ったらライカを買おうと思いました。




大学では写真部に入り、ライカM3とズミクロン50mm F2を購入。内田さんのプリントを目指して、暗室にこもって何時間でもプリントをしていましたね。
でも、“何かを発信したい”という漠然とした思いはあっても、写真で生計を立てていこうという意識はあまりなかったんです」


撮影のアルバイトを始めて
写真でやっていこうという気持ちが芽生える

「大学3年のころ、結婚式や出版社、スタジオなど、撮影のアルバイトを始めたんです。結婚式の撮影では、アシスタント、撮影の両方をやりました。
出版社のカメラマン募集を見て、興味のあったファッション系のWWDジャパンで撮影を始め、パーティやショップ取材、ランウェイやフロアショウなどを撮るようになって、写真でやっていこうと思うようになりました」

大学を卒業する際、制作会社などに就職することも考えたが、そのままフリーランスで仕事をスタート。雑誌やファッション系の仕事をメインに、当時あったカメラマンの登録サイトなどに写真やプロフィールを登録し、撮影の依頼を受けたりした。ライティングはアシスタントをしていたときの知識をもとに、日々勉強しながら撮影していたが、スタジオを持ったことで、日々実験し、テストできるようになった。

「スタジオは、光をコントロールできる場所で、閃光スピードや色温度も変えられますし、思い通りに撮影ができます。
僕は、動きのなかで撮るというスタイルが好きですね。ストロボはbroncolorを使っています。テザー撮影で、iPadにも同期し、現場にいるスタッフやモデルにもどんどん見てもらい、コミュニケーションを取りながら撮影を進めます。僕は、“鮮度の高いうちに撮りたい”という思いが強くて、撮影のスピードをとても重視します。こうすることで、全員がいま何をしているかを共有でき、クライアントのOKが出るのも早くなりますし、モデルも次にどんなポーズをするか考えられる。撮影時間の短縮にもなります」


これからトライしてみたいこと

広告や雑誌、ファッションなどさまざまな仕事を日々行っていくなかで、日常での写真の付き合い方や、これからやってみたいことを西村さんに伺ってみた。

「V型のハッセルブラッドに、デジタルバックを付けて撮影したり、いま使っているH5DにCFレンズアダプターを付けて、C、CFなどのオールドレンズで撮影するというのも面白いんじゃないかと思っています。



HASSELBLAD CF レンズアダプター H

プライベートでは、ライカM8をいつも持ち歩いています。仕事以外で撮影する時間は減ってきましたが、ライカというカメラは、僕にとって、とても大きい存在です。その場にあっても威圧感がなく、どんな場所でも撮影できるので、旅先などでスナップ撮影に使っています。

ライカを仕事で使ってみたいなという思いもありますね。
ライカって、デジタルカメラでも、デジタルであってデジタルでないような、特別な感じがします。M9やMなど新しいライカのデジタルカメラも使ってみたいですね」



ライカM8+ズミクロン35mm F2

<西村一光・Private works>


Leica M8 Summicron M 35mm F2 絞り優先オート



Leica M8 Summicron M 35mm F2 絞り優先オート



Leica M8 Summicron M 35mm F2 絞り優先オート



西村一光
ウェブサイト:http://www.ash-create.com/
Twitter:https://twitter.com/ashcr

<写真展情報>

「ATSF〜spring’14」
西村一光氏が代表を務めるAshCreateのメンバーによる写真展がHasselblad Store Tokyoで行われる。若手フォトグラファーが、ハッセルブラッドHシリーズのデジタルカメラと、broncolorのストロボ製品を使用して撮影した作品を展示する。ハッセルブラッド・ジャパン、アガイ商事が協力する。

参加者:西村一光、本間裕介、東倉 嵩典、豊永拓万、山口真由子、吉屋亮、 芳田賢明
展示期間:5/7(水)〜5/17(土)10時-18時(初日は12時オープン。日曜は休業。最終日は13時より参加者によるトークイベント、図録販売、16時クローズ。)
場所:Hasselblad Store Tokyo 東京都渋谷区神宮前1-10-32


詳細:http://www.ash-create.com/


Interview & text:笠井里香
Photo:CAMERA fan編集部




<カメラファンからお知らせ>

カメラファンではこのコラム「WORKS & EQUIPMENT 」でご紹介するフォトグラファーを募集しています。自薦他薦は問いません。掲載をご希望の方は、下記メールアドレスまで、フォトグラファーの氏名とプロフィールと、ウェブサイト等をお知らせください。カメラファン編集部が取材しご紹介いたします。

応募先メールアドレス:info@camerafan.jp

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