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イベントレポート

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イベントレポート
公開日:2014/08/22

新宿クラシックカメラ博2014 初日レポート

photo & text 中村 文夫


新宿クラシックカメラ博の前身は2001年銀座松坂屋で始まった銀座中古カメラ市。2009年松坂屋改装のため新宿高島屋に会場を移し、今年で6年目。銀座時代を含めると14回と、夏の終わりを告げる風物詩として中古カメラファンの間にすっかり定着した。写真機商振興会が主催している。

今回の出展者数は全部で21店。北は仙台から南は福岡、さらにオーストリアのウィーンからライカショップが参加するなど、内外の名店が新宿に集結。ふだん、なかなか足を運ぶことができない店の商品が見られることが大きな魅力と言えるだろう。

 

中村文夫セレクション
初日に会場で見つけた逸品たち

*これらの商品は、8月21日の取材時に販売していた商品です。現在の店頭在庫を保証するものではありません。

藤井商店/フジイカメラ

ライカIIIcKグレー ズミター50ミリF2ケース付 685,000円
ライカM2R DRズミクロン50ミリF2元箱付 585,000円
ライカIIIcKはシャッターにボールベアリングを使用してシャッターの信頼性を高めた製品。オリジナルでこの状態を保っているグレーボディはとても珍しい。M2RはライカM4で採用されたラピッドローディングスプールを標準装備。実用機なので、外観がきれいな極上品は、ほとんど残っていない。


メルコンII ニッコール50ミリF2 元箱付フルセット 980,000円
メルコンは目黒光学が発売したレンジファインダーカメラ。ライカコピー機としては登場が遅く、裏ぶた開閉式などライカにない新機能を搭載している。1957年に登場したこのII型はニコンS2のデザインをコピー。Melconの文字がなければニコンと見間違えるほど良く似ている。


日東商事

コンタフレックスゾナー50ミリF2、85ミリF2、135ミリF4付セット 785,000円
家一軒、ライカ一台と言われた時代、ライカを凌ぐ値段で話題になったレンズ交換式35ミリ二眼レフ。標準レンズ付きボディでさえ滅多に見かけないのに、レンズフルセットが揃うとは!!

ハットリカメラ

コンタックス コンタックスS2ボディ 39,000円、ディスタゴン15ミリF3.5AE 320,000円 
デジタル全盛の今も、根強い人気を誇るカール・ツァイスレンズ。なかでも広角系の人気は高く、中古市場では品薄状態が続いている。そんななか幻とも言われるのが、この15ミリ。まさにカール・ツァイスファン垂涎の名玉だ。

ハヤシ商会

オモカメ3台 バンダイマイクリスタル 4,000円、ミノルタ16 8,000円、スタートK-II 5,000円
リコー製スケルトンカメラではFF-9sD リミテッドが有名だが、マイクリスタルは、これを簡略化した子供向けカメラ。玩具メーカーのバンダイが発売した。スタートは裏紙付き35ミリフィルムを使うボルタ判カメラ。これも子供向きだが、写りの良さで定評があった。これに対しミノルタ16は、3群3枚構成のレンズを搭載した本格的なミニチュアカメラで専用マガジン入り16ミリフィルムを使用。金色のボディもお洒落だ。

ワカイカメラ

オリンパスペンE-PL2 17ミリF2.8付21,000円、E-P3 14,800円、ニコン1J1 10,000円、フジフイルム X-E1 34,800円、パナソニック ルミックス GF3 10,000円
フィルムカメラだけでなく、ワカイカメラは元箱入りデジカメが充実。ミラーレス機がボディのみ10,000円からと,お買い得品が目白押し。

フィックス

ハッセルブラッド 500CM プラナーCF80ミリF2.8付 118,800円
ハッセルブラッド入門に最適な500CM。CFレンズが付いてこの値段はお買い得。ひと昔前だったらレンズしか買えない値段だ。

関根カメラ

ニコンF2フォトミック12,000円から、ニコンF3アイレベル19,000円から
往年の名機ニコンF2とF3が、ズラリと並んだ関根カメラのウィンドウ。旧ニッコールレンズが使えるニコンDfと2台態勢で、デジタルとフィルムを使い分けるのに最適だ。


大塚商会

ライカ MRテリートR500ミリF8 188,000円、ライカR8 58,000円
私の大好きなレフレックスレンズ。日本のミノルタ製だが、外観デザインが秀逸で、こっちの方が断然高級感がある。大振りのR8ボディとの相性もぴったりだ

愛好堂カメラ

フジGS645 32,000円、マミヤ6451000Sセコール80ミリF2.8付13,000円、
ブロニカRF645 65ミリF4付 88,000円
個性的なセミ判カメラ3台が勢揃い。フジGS645はコンパクトに折り畳める蛇腹式スプリングカメラ。マミヤ645はセミ判一眼レフブームの火付け役。それにしてもレンズ付でこの値段とは!! ブロニカRFはレンズ交換式レンジファインダー機。できれば交換レンズをコンプリートしたい。

鈴木特殊カメラ

アルタ35 アルタノン5センチF2付 588,000円
コニカF ヘキサノン50ミリF1.4付
アルタは日本で最後に登場したライカコピー機。1952年に三鈴光学が発売した。この会社は謎が多く、この一機種しか発売していない。
コニカFは1959年コニカフレックスとして発表された後、コニカFに名称を変え輸出専用モデルとして製品化された。コニカ初の一眼レフであると同時に世界で初めてメタルフォーカルプレンシャッターを搭載した製品でもある。


カメラのヤマゲン

3DS-EXP645 79800円
645判で5枚の写真を同時撮影。特殊処理によって立体写真のプリントを得る業務用3Dカメラだ。ファインダーはレフレックス式なので6眼レフと呼ぶべきか? 今となってはプリントの術がないが、この存在感には圧倒される。


白バイカメラ 398,000円
昭和40年代、証拠写真を撮るために白バイに取り付けて使用されたらしい。頑丈な金属製筐体の中にワルツ35を改造したカメラが収まっていて電気式レリーズでシャッターを切る。いったいどこからこんな珍品を捜して来たのだろう?


アイエヌジースタイル

ジャンクだが700円均一という思い切った値段にそそられる。ミノルタレポなど、よく見るとレアなカメラが隠れている。まさに宝探し。


セキ写真

フィッシュアイAiニッコール8ミリF2.8S 280,000円
ニコンF3HP 35,000円
画角180度の円形画像が写る魚眼レンズ。巨大な前玉を見ていると吸い込まれそうになる。Ai-Sタイプなのでデジカメとの相性も抜群。なかでもDfユーザーにお勧めの一本だ。

フォトテック・コセキ

プラウベルマキナ670 270,000円
ニッコール80ミリF2.8レンズが付いた6×7判ホールディングカメラで、折り畳むとペタンコになる。巻き上げレバーの上にある大きなダイヤルはピント合わせ用。670は後期モデルで220フィルムに対応している。


ペンタックス645D 328,000円
新製品の645Zの登場で、旧型の645Dもちょっと頑張れば手が届く値段になった。旧型とは言え、35ミリフルサイズを凌ぐ表現力は、中判デジタルカメラならではもの。この世界に足を踏み入れると、もう後戻りできなくなる。


ゴゴー商会

リンホフテヒニカ23 128,000円
グリーンの革張りがお洒落なフィールドタイプのビューカメラ。4×5はクイックロードフィルムの製造中止で気軽に撮影が楽しめなくなってしまったが、ブローニーフィルム使用カメラなら安心。ランニングコストも低く、ボディがコンパクトなので機動性も高い。


スズキカメラ商会

コニカFT-1モーター 28,000円、コニカラジオコントローラーセット 9,000円
ヘキサノンAR28ミリF2.8N 10,000円
ラジオコントローラーはモータードライブを内蔵したボディと組み合わせて遠隔操作を行うためのもの。当時としてはかなり特殊なアクセサリーで、凧にぶら下げてカイトフォトの撮影などに活躍した。コニカに強いスズキカメラらしい商品だ。


カメラ.ヒラノ

カメラ.ヒラノは、フィルムカメラ時代からオリジナル革ケースの製造に力を注いでいたきたお店。熟練の職人が丹念に作った商品の品質はピカイチ。この機会に自分の手でその感触を確かめて欲しい。


元町カメラ

シュタインハイルライカスクリューマウントレンズ3本+ファインダーセット 135,000円。(35ミリF4.5、85ミリF2.8、135ミリF4.5)
シュタインハイルは、ライカ、カール・ツァイスと並んで、古い歴史を誇る光学メーカー。135ミリはよく見かけるが、35ミリと85ミリはとても珍しい。ターレット式ファインダーも貴重。


ライカショップ

ズマレックス8.5センチF1.5ブラック、サドルファインダー、フード、キャップ付セット 2,400,000円
博物館級の商品を出品することで有名なオーストリアのライカショップで発見した超レアモデル。ブラック仕上げは初期ロットの500本しか存在しない。サドル(鞍)型ファインダーも希少性が高い。


スイートロード

ボルシー軍用モデル 68,000円
コダックシグネット35軍用モデル 68,000円
両機種ともコロコロしたデザインで、可愛らしい印象の強いカメラだが、軍用モデルになると質実剛健なイメージに生まれ変わる。ボルシーは外装変更だけでなくストラップの吊り環が追加されている。
 

物欲が覚醒

今回、私に課せられた使命は「各店から気になった商品を一点選んで紹介すること」。「これなら楽勝じゃん」と高をくくって、取材を始めたが、「あれも欲しい、これも欲しい」という物欲が覚醒。なかなか1点に絞れない。結局取材を終えたときは、すでに3時間が経過。ヘトヘトに疲れ切ってしまい、とうとう何も買わずに帰途に就いた。でも帰り電車の中で頭に浮かんで来るのは、会場で出会った幾多の名機たち。会期は27日までなので、今度は仕事抜きで、新宿へ出撃するのだ。

 

☆CAMERA fanからイベントのお知らせ

2014年8月24日(日)には、クラシックカメラ博会場にて、澤村徹トークショーが開催されます。トークショーのテーマは、「今が旬のオールドレンズはこれだ!」ベースボディやマウントアダプターの最新情報を踏まえ、いま楽しむべきオールドレンズについて、澤村徹氏が自身の作品を4Kテレビで上映しながら語ります。8月22日発売予定の玄光社の新刊「オールドレンズ・ライフ Vol.4」の内容ともリンクさせて、大口径オールドレンズや、超広角オールドレンズの魅力にも迫ります。会場は催事場のオープンスペースで参加費は無料。席に限りがございますので、満席の場合は立ち見となります。 詳しくはこちら



中村 文夫(なかむら ふみお)

1959年生まれ。学習院大学法学部卒業。カメラメーカー勤務を経て1996年にフォトグラファーとして独立。カメラ専門誌のハウツーやメカニズム記事の執筆を中心に、写真教室など、幅広い分野で活躍中。クラシックカメラに関する造詣も深く、所有するカメラは300台を超える。日本カメラ博物館、日本の歴史的カメラ審査委員。
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