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カメラアーカイブ

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カメラアーカイブ
巷に溢れる新製品情報。そんな情報の波に埋もれてしまっている魅力的なカメラたちがある。メーカー開発者たちが、心血を注いで創りだした名機の魅力を蓄積していく。
公開日:2020/09/29

ライカ Q2 〜もっとも人たらしなカメラ〜

photo & text 大村祐里子

1年くらい前だったか。大雨の沖縄ロケで、師匠がライカQ2を使って撮影をしていた。その様子を横から眺めていたのだが「こんな雨に濡れても大丈夫なのか。すごいな」というのがカメラへの第一印象だった。その後、写真を見せてもらって驚いた。なんともいえない、深みのある描写だった。このときから、ライカQ2は私の心に気になるカメラとして刻まれた。

カメラを購入する際は、どうしても仕事で役立つものが優先となる。Q2の28mmレンズは取り外し不可能だ。仕事では人物撮影が多いので、広角しか使えないのは厳しい。そんなことを考えながら1年ほど経過した。しかし、それでもQ2を忘れることはできなかった。よく「出会ったときから結婚を意識した」などと話を聞くが、私もQ2に似たような感覚を抱いていた。このカメラはきっと自分にぴったりだ、という根拠のない自信があった。

今年の7月末、少し余裕ができたので「いまだ!」とQ2を買いに行った。何か目的があるわけではなく、単に「ほしいから」という理由で機材を買ったのはいつぶりだろうか。

長く想い続けたQ2を使い始めて一ヶ月半ほど経った。どこに出掛けるにしても、鞄に忍ばせて、隙あらばシャッターを切っている。

いろいろな人に「どう?」と感想を聞かれるが、必ず「“打ち止め”を感じた」と答えている。”打ち止め”とは、日常的な撮影で使用するカメラとしてはこれが最後でも良い、の意である。こんな感覚になったのは生まれて初めてだ。Q2は、そのくらい理想的な存在だった。

そう感じた理由を、以下に記したい。ちなみに、ライカだから良い、と思ったわけではない。気に入ったカメラがたまたまライカだっただけだ。




ずっしりとしているが、かなり手の小さい私が持ってもちょうどよいくらいのサイズだ。

まずは、デザインがシンプルで格好いい。金属なのにしっとりとした手触りで、常に「いいものに触れている」心地よさがある。ボタン、ダイヤル、メニュー画面、どれも心配になるくらいシンプルだが、必要なものが漏れていると感じたことはない。


シャッタースピードダイヤルや絞りリングなど「操作感」がある仕様なのが嬉しい。

機能面で気に入っているのは、ライカなのにAFとMFの両方が使える点だ。私はMFの使用頻度が高いが、ときどきAFを使いたい場面もある。このカメラはどちらのシーンでもストレスがない。また、通常だと最短撮影距離は0.3mだが「MACRO」に切り替えると0.17mまで寄れる。引きも寄りも撮りたい自分としては、非常に嬉しい。


レンズの描写がとにかく好みだ。カメラ自体の価格は高いが、良いレンズがついてきてこの値段だと思うと、納得できる。

特筆すべきはその描写だ。「ライカ ズミルックス f1.7/28mm ASPH.」は、広角ながら圧倒的に歪みが少ないので、様々な被写体に遠慮せず向き合える。ポートレートにもときどき使用しているが、広い画角が生み出す絵がとても新鮮だ。線はスッキリしているが、コントラストは高めで、被写体がググっと浮き出すような印象を覚える。引っかかるのは、ハイライトがやや飛びがちなところと、高感度がそこまで強くないところだろうか。質感描写には眼を見張るものがあり、高層ビルの硬そうな感じや、雨に濡れた葉のぬるりとした感じなどが実物以上に描き出されていると思うこともある。

Q2に惹かれる理由は「防塵防滴」であることも大きい。第一印象が「雨の中でも大丈夫」だったが、本当にへっちゃらなので頼もしい。最近は屋外で撮影しているとゲリラ豪雨に見舞われることが多いが、そんなときもまったく気にせず撮影を続行できる。むしろ悪天候ならではの絵が撮れて、作品のバリエーションが広がった。雨の日大好きな私にとってはありがたい。


使い始めてから知ったのは、有効4730万画素の35mmフルサイズセンサーの力だ。Q2は、ボタン操作一つで、35mm、50mm、75mmの焦点距離の撮影範囲を示すブライトフレームを液晶モニター上にデジタル表示・クロップできる。この機能が、意外と使えるのだ。旅の撮影では28mmだけでは(特に料理撮影などで)きついと感じる。そこで、実際に旅仕事で75mmにクロップしてみたが、高画素機ゆえ、webで使用するには十分なサイズが得られた。
電池の持ちも良い。普通にスナップするのであれば、1つで1日は持つ。

いろいろとライカ Q2の良さを挙げてきたが、このカメラの魅力は、言葉で伝えるには不十分な気がしている。あるときQ2で人物撮影をしていたが、撮った写真を見たモデルが「いい写真ですね」のあとに「僕もこのカメラが欲しい」とつぶやいたのが印象的だった。また、あるカメラ好きにQ2の話をしたら、欲しさが爆発してしまい、そのままお店に向かって購入してしまった、という逸話もある。Q2とは、ずいぶんと「人たらし」なカメラである。

ライカ Q2を手にしてから、写真を撮ることが驚くほど楽しくなった。そんな風に思わせてくれるカメラと出会えたことは幸せである。

<Leica Q2作品>


1/400 秒(f/2.8)-1EV ISO 100 レンズ焦点距離:28.0mm


1/125 秒(f/2.5) ISO 100 レンズ焦点距離:28.0mm


1/125 秒(f/2.8)-1EV ISO 100 レンズ焦点距離:28.0mm


1/500 秒(f/8.0)-1 ISO 100 レンズ焦点距離:28.0mm


1/250 秒(f/2.8) ISO 800 レンズ焦点距離:28.0mm model:川口紗弥加


1/60 秒(f/2.8)-1EV ISO 100 レンズ焦点距離:28.0mm


1/125 秒(f/1.7)-1EV ISO 1600 レンズ焦点距離:28.0mm


1/800 秒(f/8.0)-1EV ISO 100 レンズ焦点距離:28.0mm

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これからフィルムカメラをはじめたい人のためのガイドブック
大村祐里子・著


フィルムカメラ・スタートブック
 著者プロフィール  
大村 祐里子(おおむら ゆりこ)

1983年東京都生まれ
ハーベストタイム所属。雑誌、書籍、俳優、タレント、アーティスト写真の撮影など、さまざまなジャンルで活動中。雑誌連載:『フォトテクニックデジタル』にて「身近なものの撮り方辞典」を連載中。
著書「フィルムカメラ・スタートブック

ウェブサイト:http://omurayuriko.jp/
ブログ:http://shutter-girl.jp/
Twitter:@Holy_Garden
 
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