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コロナの街角・2020-2021

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コロナの街角・2020-2021
公開日:2021/11/25

【前編】コロナ自粛なので、そろりそろりと街角めぐり

text & photo 丹野清志


新型コロナウイルスの感染者急増で緊急事態宣言が出され、不要不急の外出は自粛せよと言われ続けてぶらぶら街歩き旅がしづらくなり、うつうつと「ステイホーム」しているある日、脇腹にぽつぽつと赤い発疹ができているのに気づいた。吹き出物だろうと手元の塗り薬をこすりつけて放っておいたら三日後には赤い水ぶくれが大きくなって背中へひろがり、あわてて皮膚科のある医院を探して診察を受けると、「帯状疱疹」だという。
原因はストレス!コロナのせいだッ。赤いぶつぶつが消えれば治るのだろうと軽く考えていたら大間違い、腹と腰にチクチク、ズキズキと激しい神経の痛みが続き、ついに動くことができなくなった。ぶつぶつがひいて痛みもなんとか軽くなったのは一か月過ぎてからだった。

正方形の画角でリハビリ撮影開始

コロナ禍と帯状疱疹治療ですっかり街歩きから遠ざかり、弱った足腰を動かさねばとコンパクトカメラ片手にまずは住んでいる街をうろつくことにした。ところが少し歩くと息切れしてしばらく歩くとふくらはぎが重くなり、さらに腰にズキンと痛みが走るので、歩きながら撮っていくいつものスナップにはならない。で、画像サイズを1:1の正方形に切り替えた。真四角の画面は視線が中心部に集中するのできちんと立ち止まって観察する。体力・精神力回復街歩きには最適なフレームに思えたのだ。カメラは富士フイルムX100F。ファインダーを光学ビューファインダー(OVF)に、フィルムシミュレーションモードは、ACROS+Yeフィルターに設定する。



整然と新しい家が並ぶ街があり、カビ臭いにおいを漂わせて廃屋化している家があり、古いまま味わい深い姿を見せているノスタルジックな家もある。建物がなくなると「風情がなくなって、さびしいねぇ」なんて言ったりするのだけれど、しばらくたつと以前どんな場所だったか思い出せないことがよくある。いま新しい街も何年か過ぎれば消えて、また新しい街ができる。だから、街はいつも新しい。




 

行き先はどこでもいい、小さなカメラで街を見つめる


住む街から電車に乗って隣街、さらに電車に乗って少し離れた街、コロナ感染者数が少なくなったようなので県境を越えて初めての街。私の街歩きはA街であれB街であれその街でなければということはないので、行先はどこでもいい。ありふれた街角で、古い建物が対話を誘う。小さなカメラの小さなファインダーが、錆びついた家の扉を開く。









某日 廃屋と呼ぶにはまだ早いその建物は、以前は商店だったようだが何の店だったのだろう。街の中心地なのだから新しい店に変身するかもしれないが、取り壊されることなくそのまま古くなっていくのかもしれない。街中には歴史的建造物として保存されている特別な建物があるけれど、ごくありふれた建物のほうが街の歴史を感じさせてくれる。コロナの街歩きで、新しい街歩きテーマができた。







某日 駅前から中心市街地へ向かって歩く。30分ほど歩いて商店街になった。人と会うことがない。食堂は暖簾をおろしていて、お菓子屋さんには閉店の張り紙。小さな洋品店はただ開けているだけという雰囲気で、店頭には高齢者用の服がぶらさげられている。マスクが汗で濡れていて不快だ。あ、向こうから人がくる。あわててマスクを整える。



某日 急行に乗って少し遠出をする。観光地と呼ばれる街。コロナ以前のメインストリートは人がぞろぞろ歩いていたはずだろうに、観光客らしき人はさっき見かけた老夫婦ぐらいだ。昼食を食べた店にも客はいなくて「コロナはいつまで続くんでしょうかねぇ」と女主人が嘆きの声をかけてきた。人が見当たらない『観光の街』は整然としている街並みが作られているから、いっそう間の抜けた感じかする。

後編につづきます

富士フイルム X100F


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丹野 清志(たんの・きよし)

1944年生まれ。東京写真短期大学卒。写真家。エッセイスト。1960年代より日本列島各地へ旅を続け、雑誌、単行本、写真集で発表している。写真展「死に絶える都市」「炭鉱(ヤマ)へのまなざし常磐炭鉱と美術」展参加「地方都市」「1963炭鉱住宅」「東京1969-1990」「1963年夏小野田炭鉱」「1983余目の四季」。

<主な写真集、著書>
「村の記憶」「ササニシキヤング」「カラシの木」「日本列島ひと紀行」(技術と人間)
「おれたちのカントリーライフ」(草風館)
「路地の向こうに」「1969-1993東京・日本」(ナツメ社)
「農村から」(創森社)
「日本列島写真旅」(ラトルズ)
「1963炭鉱住宅」「1978庄内平野」(グラフィカ)
「五感で味わう野菜」「伝統野菜で旬を食べる」(毎日新聞社)
「海風が良い野菜を育てる」(彩流社)
「海の記憶 70年代、日本の海」(緑風出版)
「リンゴを食べる教科書」(ナツメ社)など。

写真関係書
「気ままに、デジタルモノクロ写真入門」「シャッターチャンスはほろ酔い気分」「散歩写真入門」(ナツメ社)など多数。

著書(玄光社)

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