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20ミリで探す真実〜FíRIN〜

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20ミリで探す真実〜FíRIN〜
5名の写真家が、Tokina「FíRIN 20mm F2 FE MF」をレビュー。「FíRIN=真実」と名付けられたレンズで、自らが追い求める被写体に「真実」を探し出す。
公開日:2017/06/20

【スペシャルレビュー】トキナー FíRIN 20mm F2 FE MF 大村祐里子編

photo & text 大村祐里子

SONY α7RII + FíRIN 20mm F2 FE MF

「FíRIN=真実」と名付けられたレンズで、己の姿を探しにいく


写真は、撮影者の輪郭を明確にします。

私は、目の前にいる人間よりも、その人の撮った写真から浮かびあがるものこそ「真実」なのではないかと考えています。自分でも、写真から、そこに存在する“まったく見たことのない己の姿”を発見し、「私ってこんな人間だったんだ……」と驚くことがいまだによくあります。

今回は、「FíRIN=真実」と名付けられたレンズを使い、作品撮りをしました。このレンズを使用した写真から、一体どのような自分の「真実」が浮かび上がるのか……。期待半分、不安半分で撮影を始めました。




SONY α7RII + FíRIN 20mm F2 FE MF(共通データ)
F2 1/8000 ISO200 WB4000
空の青さ、バラの色合いの美しさ、そして遠くまで咲く花々の奥行き感……。20mmの画角があれば、そのすべてを一枚におさめることができます。欲張りな自分にはぴったり。




「FíRIN 20mm F2 FE MF」は、全長は81.5mmで、手の小さい私にもぴったりの大きさでした。また、重量は490gと比較的コンパクト。撮影中20キロくらい歩きましたが、その間、特に負担に感じることはありませんでした。

また、本レンズはマニュアルフォーカス(MF)レンズです。私はプライベートで使用しているレンズがほとんどMFなので慣れていることもありますが、ファインダーを覗いたときに、ピントの山が掴みやすくて驚きました。どんなシチュエーションでもストレスなく、スムーズにピント合わせができました。




F2 1/3200 ISO200 WB 4000
最短撮影距離は0.28m。被写体にかなり近づけるのが嬉しい。寄りながらも広い空間を切りとれるので、あまり見たことのない雰囲気の画になります。




F2 1/3200 ISO200 WB 4000




F2 1/1000 ISO200 WB 4200




F2 1/400 ISO200 WB 3900
霧が立ち込める道路を撮影。20mmの広い画角が、周りの木々の神秘的な感じを写しつつ、道の奥行き感もうまく演出してくれています。この道の先に何があるのか気になる一枚に仕上がりました。
 

繊細な感情まで表現できるレンズ

個人的には、レンズの描写の「線が細い」ことに驚きました。FíRINの描写は、クレヨンで描いたような大胆で太いものではなく、尖らせた鉛筆で細かく細かく描いたような印象でした。私は、描写の線が細いレンズの方が、繊細な感情まで表現できるような気がして好きなので、FíRINは使用していて気持ちがよかったです。

やはり、本レンズの一番の特徴は20mmという「超広角」レンズであることだと思います。私の視野は28mmの画角相当なので、それよりも広い範囲が写ることになります。あら、こんなところまで写っちゃうのね、と驚くシーンが多かったのですが、大抵その予想外の写りが良い方向に作用していたので、毎回新鮮な気持ちでシャッターを切ることができました。

いままで、広角レンズの「周辺がグニャリと歪む感じ」がどうも好きに慣れず、敬遠していたところがあったのですが、FíRINは各収差の補正に優れているので、歪みをあまり感じず、見たままの光景を切り取ることができました。



 
F16 1/160 ISO200 WB 4000
霧が立ち込める湖に佇むボートを撮影。ボートより、3m先も見えないような濃霧の方が気になりました。広い画角が、その濃霧に包まれた空間に意味を持たせてくれました。




F2 1/2500 ISO200 WB 3600




F4 1/8000 ISO200 WB 3800




F2 1/3200 ISO200 WB 4800




F8 1/100 ISO200 WB 3700
川を泳ぐ鳥が気になったので撮影。実際、かなり狭い川でしたが、超広角レンズの効果で、大きな川のように見えます。逆に鳥は小さく写り、川の広さと鳥の小ささの対比が面白い一枚となりました。


 
F7.1 1/320 ISO200 WB 4000
20ミリは、こういった奥行き感のあるシチュエーションを撮影するには最高の画角。絞ると、描写の繊細さが際立ちます。トンネル上部の葉も、地面の木漏れ日も、細かく描かれていて気持ちが良いです。




F5.6 1/640  ISO200 WB 4100

FíRIN 20mm F2 FE MFで見つけたもの


FíRINで撮影した写真を並べてみると……1つの「真実」がそこに写っていることに気がつきました。

それは---------「孤独」。

20mmという超広角レンズを使うことで、自分の存在している空間の広さがいつもよりぐっと強調されたからでしょうか。私がFíRINで撮影した写真からは、まるで世界から自分以外の人間が消えてしまって、ひとりぼっちになってしまったかのような印象を受けました。

たしかに、私はいつも独りで撮影をします。写真は自己探求だと思っているので、撮影時は徹底的に自分と向き合います。誰かが一緒だとそれができないので、独りで行動します。

以前、「君の世界には人間が住んでいないんだね」と言われたことがあるのですが、今回の写真はまさにその言葉通りのものだなと思いました。FíRINで撮影した写真からは、明確に「孤独」という私の「真実」が浮かび上がっていました。

なんだか寂しい人のような感じになってしまいましたが、実際のところは、こうやってまた新しい自分の一面を発見することができて、嬉しく思っています。




<メーカーサイト>
トキナー 「FíRIN(フィリン) 20mm F2 FE MF」
http://www.tokina.co.jp/camera-lenses/wide-lenses/firin-20mm-f2-fe-mf.html


協力:ケンコー・トキナー

 

<バックナンバー>
赤城耕一 編
「FíRIN=真実」と名付けられたレンズで、街を切り取る
http://camerafan.jp/cc.php?i=584
澤村 徹 編
「木更津モノクロームが語る真実」
http://camerafan.jp/cc.php?i=601
上野由日路 編
「広角×低歪曲×ボケが生み出すポートレート」
http://camerafan.jp/cc.php?i=609
林 明輝 編
「ドローン空撮で自然の空気感を余すところなく表現」
http://camerafan.jp/cc.php?i=618
 著者プロフィール  
大村 祐里子(おおむら ゆりこ)

1983年東京都生まれ
ハーベストタイム所属。雑誌、書籍、アーティスト写真の撮影など、さまざまなジャンルで活動中。雑誌連載:『フォトテクニックデジタル』にて「身近なものの撮り方辞典」、『写ガール』にて「読書感想写真」、『デジタルカメラマガジン』にて「カメラおじさんを探して三千枚 」を連載中
http://shutter-girl.jp/
Twitter:@Holy_Garden