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カメラアーカイブ

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カメラアーカイブ
巷に溢れる新製品情報。そんな情報の波に埋もれてしまっている魅力的なカメラたちがある。メーカー開発者たちが、心血を注いで創りだした名機の魅力を蓄積していく。
公開日:2012/08/30

オモカメ 第1回

Photo & text 中村文夫

オモカメ

オモカメとはおもちゃカメラのこと。名前が示す通り子供向けに作られた簡易型カメラの総称だ。だが、なかにはカメラファンの琴線をかき鳴らすユニークな製品も。いわば子供のおもちゃにしておくに惜しい逸品の宝庫と言えるのだ。

デジタル時代になって種類が減ってしまったが、フィルム全盛時代には玩具店やカメラ店をはじめ土産物屋やディスカウントショップなどに、さまざまな商品が並んでいた。値段が手頃なこともあって調子に乗って買い求めていたら、いつの間にか結構な数に。今回は、私のコレクションの一部を紹介することにしよう。


デザイン重視型

最初に紹介するのは、オモカメの王道とも言えるデザイン重視型。「ホンモノのカメラを子供に持たせるのはモッタイナイ」という発想から生まれたもので、高級カメラに外観が似せてあるものが中心だ。それから、子供は大人の持ち物に興味を示す。そんな子供の願望に応える意味で、双眼鏡などとセットになった商品も多い。いずれにしても、これらの商品の中身は完全なおもちゃ。基本的にレンズは単玉でピントは固定式のパンフォーカス。シャッターは単速で絞りも固定式。もちろん写りは、それなりだ。

オモカメの王道ともいえる一眼レフを模した製品。子供を意識した派手な色使いのものを始めバリエーションが豊富。

フィルム自動巻き上げ、35〜70ミリパワーズーム、角度可変式ファインダー、ワイヤレスリモコン、バウンス可能なグリップ式ストロボと、スペックだけを見るとすごいカメラに思えるが、実用製はほとんどゼロ。まさに羊頭苦肉を絵に描いたようなカメラ。35ミリフィルム用なのにボディも巨大。

キャラクター型

次に多いのがキャラクター付き。単純に人気アニメのキャラクターをボディにプリントしたものから、カメラ本体をキャラクターの姿に成形した凝ったものもある。さらにこの発展型として、写真にキャラクターの画像を写し込むタイプがある。また企業ノベルティに使われることも多く、本体をコーラ缶に似せたものなども、このカテゴリーに含まれる。

ハローキティカメラ
前面のボディカバーをハローキティの形にするなど、かなり凝った作り。ただ撮影時にカバーをスライドさせた姿が、どこか悲しい。

キャラクターをプリントしただけの簡単な製品。画面の上下をカットして横長のプリントを得るパノラマが流行した時代に登場したパノラマ切り替え機能付きで、広角28ミリレンズが付いている。

リカちゃんカメラ
リカちゃん形のレンズカバー付き。フィルムのパッケージにも、リカちゃんがプリントしてある。

コカコーラカメラ
何となくレトロなデザインがカッコイイ
マクドナルドカメラ
キャラクターをプリントしただけの単純なオモカメ

缶カメ
ビールやコーラ型カメラ。折り畳んだ姿は、ホンモノそっくり。ストロボと折り畳み式ファインダーのギミックが秀逸だ。


缶カメのバリエーション
フィルムのパトローネを模したバービーモデルも、この仲間だ。

マイクリスタル
玩具メーカーのバンダイが発売したスケルトンカメラ。フィルムを巻き上げたり、セルフタイマーを作動させると、歯車の動きが見えて楽しい。製造元はリコー。
オモカメではないが、リコーが製造販売した本格的なコンパクトカメラ。
無名メーカー製のスケルトンカメラ
オーストラリアのハニメックスが販売した子供向けカメラ。子供が喜びそうな動物のキャラクターがてんこ盛りだ。このカメラのすごいところは、チャイルドロックが付いていること。専用キーがないと巻き戻しができないばかりか裏蓋も開かない。

トイカメラくまのプーさん
カメラ本体は密壺型。ミニ額縁がセットになっている。
SAKARマイファーストカメラ
カメラと双眼鏡がセットになった商品
SAKAR SPORTS5ミリカメラ
ラジカセ風のラジオとカメラがセットになった商品
オリンパスShoot&Go R
オリンパスも、こんなカメラを販売していた。

プリパチたまごっち
フィルムの直前にキャラクターをプリントした透明パネルを取り付け、画面にキャラクター写し込む。この分野は、玩具メーカーの
バンダイが熱心で、さまざまなキャラクターの商品が用意されていた。私が最初に見たのが、この「たまごっち」。このあと雨後のタケノコのようにさまざまなキャラクターの製品が登場した。
裏ぶたを開けた状態。パネルを交換して写し込みパターンを変更する。
JALのキャンペーンに使われた製品
ケンタッキーフライドチキンの景品に使われた製品
ポケモン、ひみつのアッコちゃん、うごうごゴン太くん、ギンガマンなど、さまさまなキャラクターの製品があった。後にストロボを内蔵モデルも登場

映画スターウオーズに登場する光学兵器?を模したカメラ。キャラクターと一緒に記念写真が撮れる。
キューティーハニーといっしょにカメラ
110フィルムを使用する製品もあった。


*中村さんのコレクションが大量過ぎるので、第2回へつづきます。。
(CAMERA fan編集部)



中村 文夫(なかむら ふみお)

1959年生まれ。学習院大学法学部卒業。カメラメーカー勤務を経て1996年にフォトグラファーとして独立。カメラ専門誌のハウツーやメカニズム記事の執筆を中心に、写真教室など、幅広い分野で活躍中。クラシックカメラに関する造詣も深く、所有するカメラは300台を超える。日本カメラ博物館、日本の歴史的カメラ審査委員。