カメラアーカイブ
公開日:2018/02/28
中判カメラ ゼンザブロニカ S2
text & photo 大村 祐里子
無類のカメラ好きであった吉野善三郎氏(故人)が「世界一のカメラを自分で作ろう」と夢を抱き、カメラメーカーを設立、試行錯誤の末に高級精密6×6判一眼レフカメラを完成させました。それが「ゼンザブロニカ」です。発売は1959年。ゼンザブロニカの名は、善三郎にちなんでつけられています。なお、この1959年に発売となった初期型は、後の1961年にゼンザブロニカS型(スタンダード)に切り替えられたときに、区別のためD型(デラックス)と呼称されるようになりました。
ゼンザブロニカD型は、それまでのブロニカの技術的蓄積を製品に反映すべく抜本的な再設計が施され、1961年に「ゼンザブロニカS型」として発売されました。その「ゼンザブロニカS型」の長所や安定性のある機構をそのまま取り入れ、さらに全体をバランス良い機構に改良したのが、今回ご紹介する「ゼンザブロニカS2」です。発売は1965年。 和製ハッセルブラッドと呼ばれた高性能中判一眼レフカメラ
ゼンザブロニカS2は完成度が高く、価格も手頃だったことから、和製ハッセルブラッドとも言える身近な6×6判一眼レフカメラとして愛されてきました。
ゼンザブロニカは、初めて市場に出現したとき、ハッセルブラッドとカメラボディのデザインが似ており、その件でもめたことがあります。しかし、ハッセルブラッドはクイックリターンミラーではないのに対し、ゼンザブロニカはクイックリターンミラーを持っています。使用者にとっては、この相違だけでもゼンザブロニカと当時のハッセルブラッドはまったく別のカメラだったと言えます。
気合を入れないと持ち歩けない重さ!びっくりするくらい大きなシャッター音!
私は、6×6判一眼レフカメラを探していたときに、知人が持っていた「ゼンザブロニカS2」をみて、その無骨な外観と変幻自在な作例に惹かれて当カメラを購入しました。中古市場でも比較的入手しやすく、価格も手頃である点も購入の決め手となりました。
多くの交換レンズがラインナップされ、実用的なアクセサリーも豊富で、フィルムバックが簡単に着脱でき、120/220フィルムの切り替えもレバーひとつでできるゼンザブロニカS2は非常に使いやすく、とにかく持ち出して写真を撮りたくなるカメラです。私に「6×6判一眼レフカメラ」で撮る楽しみを教えてくれたのは、間違いなくこのゼンザブロニカS2です。こんなに良いカメラだったなんて……もっと早く購入すればよかった……と後悔したほどです。
気合を入れないと持ち歩けない重さ、びっくりするくらい大きなシャッター音が欠点として挙げられていることも多いのですが、私にとっては「中判カメラで撮っている!」という実感が持てるポイントなので、欠点だとは感じていません。 ウエストレベルファインダーについて
ゼンザブロニカS2のファインダーは、ウエストレベルファインダーです。カメラを腰のあたりの高さ(ウエストレベル)に構え、レンズからの像を上方から覗く方式です。
ファインダーのカバー後方にある長方形のボタンを右へ押すと、スプリングの力でピントフードが起き上がります。
そして、ピントフードの前板を少し後ろへ押すと、ピント確認用のルーペが立ち上がります。この状態で撮影をしましょう。ファインダーを覗くと、左右が逆に見えます。慣れてしまえばなんてことないのですが、左右を正像にするためのプリズムファインダーも用意されているので、左右逆像が嫌な方はそれを使いましょう。
撮影が終わり、ピントフードをしまうときは、4枚のフードを1枚ずつたたみます。 フィルムバックについて
フィルムの入っている部分をフィルムバックと呼びます。ゼンザブロニカS2は、フィルムバックをいつでも自由に着脱できるようになっています。フィルムバックを何個か用意しておけば、撮影途中でも自由に他のフィルムに交換可能です。1台のカメラで、モノクロとカラーのフィルムを交互に使うこともできる、ということです。
フィルムバックをカメラボディから取り外すためには、引蓋を挿入スリットに差し込み、更に強く押し込みます。
ちなみに、フィルムバックがカメラから外れている場合は、この引蓋を抜くことができません。不用意な露光を防止する仕組みが採用されています。
また、カメラボディにフィルムバックを取り付けるためには、カメラボディ下部の受け金具にフィルムバックをのせ、上部をカメラボディに押しつけ、引蓋を抜きます。なお、引蓋がはいったままではシャッターが切れないようになっています。 ゼンザブロニカ S2 フィルムの入れ方
レンズとマウント形式について
レンズマウントは3本ツメのバヨネット式ブロニカマウントです。ボディに直接レンズをつけるのではなく、着脱式のヘリコイドに対してレンズが取り付けられます。そのブロニカマウントに40mm・50mm・75mm・100mm・150mm・200mmの各レンズを装着します。それ以上の大型レンズと105mmレンズシャッター付レンズは、ヘリコイド繰出ブロックを取り外し、カメラボディの大型バヨネットに直接取り付けます。ヘリコイドを繰り出すと、鏡胴右側面にあるロック解除ボタンが現れます。それを押しながらレンズを回すと、レンズを外すことができます。交換レンズは、ニッコールレンズ群。のちに一部のレンズがゼンザノンブランドで東京光学や旧東独カール・ツァイス等から供給されています。標準レンズは、ニッコールP75mmF2.8です。 【BRONICA S2 ギャラリー】

ゼンザブロニカS2 + Nikkor-P 75mm F2.8
F2.8 1/125 Kodak Ektar 100
桜が咲き乱れる池を撮影しました。緑の植え込みを前ボケとして使っています。中判カメラのF2.8のボケ感を生かし、こういった幻想的な画も撮ることができます。
ゼンザブロニカS2 + Nikkor-P 75mm F2.8
F8 1/500 Kodak Ektar 100
桜の木を下から撮影しました。ゼンザブロニカS2はウエストレベルファインダーなので、下から上を見上げての撮影は得意です。絞ったので、枝の端々までキッチリと写り、キリリとシャープな画になりました。
ゼンザブロニカS2 + Nikkor-P 75mm F2.8
F2.8 1/250 Kodak Ektar 100
桜の花びらを手に乗せた女性を撮影しました。絞りを開放にして、ハイキーに仕上げました。Nikkor-P 75mm F2.8はふんわり柔らかな画にも向いています。
ゼンザブロニカS2 + Nikkor-P 75mm F2.8
F2.8 1/60 Kodak Ektar 100
暗い場所で、散った花びらを撮影しました。アンダーな場所でも、しっかりと色乗りした写真に仕上がりました。
ゼンザブロニカS2 + Nikkor-P 75mm F2.8
F2.8 1/250 Kodak T-MAX 400
複雑に絡まる紐に手をかけているところを撮影しました。光を選べば、Nikkor-P 75mm F2.8はこういったコントラストの高い、硬めの画も作り出せます。
ゼンザブロニカS2 + Nikkor-P 75mm F2.8
F2.8 1/125 Kodak T-MAX 400
傘越しに、雨に濡れる草花を撮影しました。このとき片手に傘、片手にカメラを持ってシャッターを切りました。ボディ自体は重いのですが、逆にずっしりとした安定感がありこういった片手持ちでの撮影も可能だとわかりました。
ゼンザブロニカS2 + Nikkor-P 75mm F2.8
F8 1/125 Kodak T-MAX100
雲をバックに女性を撮影しました。雲の質感を出すためレンズにレッドフィルターを装着しています。フィルターを使うと、より撮影の楽しみの幅が広がります。
ゼンザブロニカS2 + Nikkor-P 75mm F2.8
F4 1/250 Kodak Ektar 100
すこしかがんで、水面に映った男性の影を撮影しました。ゼンザブロニカS2はウエストレベルファインダーなので、低い位置からの撮影に向いています。 <主な仕様>
ゼンザブロニカ S2 (発売:1965年/生産終了済み) ●カメラ形式:6×6cm判フォーカルプレーン式一眼レフカメラ |
●レンズマウント:専用バヨネット式ブロニカマウント ●使用フィルム:中判フィルム(通称:ブローニーフィルム) 120/220ロールフィルム ●シャッター制御:機械式 ●シャッター速度:1〜1/1,000秒、B、Xシンクロ=1/250秒 ●露出制御:-- ●電池:-- ●サイズ/重量:W1000×H1400×D100mm、1,780g |
協力:日本カメラ博物館
http://www.jcii-cameramuseum.jp/機材協力:カメラのナニワ
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