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イベントレポート

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イベントレポート
公開日:2018/08/15

【イベントレポート】第10回 新宿クラシックカメラ博 新宿高島屋

photo & text 大村祐里子


本日8月15日(水)から21日(火)まで、新宿高島屋11階の催事場にて、第10回「新宿クラシックカメラ博」が開催されている。主催は写真機商振興会。

出展社数は昨年よりも多いカメラ店20店舗とメーカー2社。日本各地の名店が一同に集結するため、なかなか足を運べない中古カメラ店の商品にも多く触れることができる。カメラ好きには垂涎のイベントだ。現に、会場は朝からたくさんの人の熱気に包まれていた。

会場には、博物館に飾られてるような珍品から、初心者にもオススメできる使いやすい商品まで、幅広く取り揃えられている。カメラボディだけではなくレンズやアクセサリも豊富にラインナップされているので、それらを探しにいくだけでも一見の価値がある。

開催10周年ということで、特別企画として、限定10万円セットコーナーや、ユー・シー・エスによる、デジタル一眼レフカメラ(ニコン・キヤノン)のセンサー清掃コーナーが設けられている。



会場の一角には、「バルナック会」所属の18名による作品展示が行われている。作品はすべてバルナックライカで撮影されたもので、いずれも力作だ。

また、土日限定のイベントとして、ジャンク品コーナーの販売や、写真家によるトークショーも開催される。出演:飯田鉄 氏(18日)、赤城耕一 氏(19日)

今回のレポートでは、もともとクラシックカメラショップの店員であり、「仕事は写真、趣味はカメラ」という筆者が、独断と偏見で、見つけたオススメカメラを紹介する。


*これらの商品は、8月15日の取材時に販売していた商品です。現在の店頭在庫を保証するものではありません。
 

ニコン F3 HP / ニコン FM3A
日東商事


ニコン F3 HP 32,400円
ニコン FM3A 78,000円

F3HP(HP=ハイアイポイントとも読む)は、ニコン F、F2に続くフラッグシップ機「F」シリーズの3代目として、電子制御式シャッター・絞り優先AEを搭載した名カメラF3に、「アイレベルファインダー DE-3」を装着したモデル。ファインダーの倍率は0.75倍であり、眼鏡をかけていてもファインダーが見やすいという特徴がある。ちなみに、ファインダーが異なる以外は、通常のF3と機能的には変わらない。

FM3Aは、2001年に発売された、ニコンのマニュアルフォーカス一眼レフ。New FM2の後継機。FMシリーズと、AE搭載のFEシリーズのいいところを合わせたような存在。

両機ともに使いやすく、丈夫で信頼がおける。露出計も備えているので、露出決定に不安がある人も問題なく使える。絞り優先モードにすればシャッタースピードはカメラ任せで撮影が可能。ニコンFシリーズとFMシリーズは、交換レンズも豊富なので、いろいろなレンズと組み合わせれば様々な楽しみ方ができる。これから長く付き合いたいカメラを探している方におすすめだ。筆者も、しっかりと撮りたい場合は「F」シリーズのカメラを使う。

 

理研光学工業 ステキー ニッケル / ハンケンカメラ(ステキー)警察用
藤井商店


理研光学工業 ステキー ニッケル 交換レンズ付 25,000円
ハンケンカメラ(ステキー)警察用 125,000円

ステキーは理研光学工業(現・リコー)が発売していた超小型カメラ。敗戦直後は極端な物不足の上、米軍によるフィルムの生産販売制限などの影響で、フィルムサイズの小さい、豆カメラがもてはやされた。どれも玩具的だったが、ステキーは映画用16mmフィルムを使用することで当時非常な高級品であったライカ判カメラのフィーリングを持たせることができた。海外ではその可愛いさが評価された。

ハンケン(犯研)カメラは、「ステキー」をベースに、警視庁犯罪化学研究所(当時)向けに製造されたモデル。ステキーの評価がよかったので、警視庁犯罪科学研究所から、ステキーを応用して「隠し撮りカメラ」を作るように要望があり、このカメラのネーミングは「ハンケン(犯研)」になった。隠し撮りに使用するためフィルム巻上げノブの大型化や反射ファインダーが追加されている。映画用16mmフィルムを使用。

両機ともに珍しく、可愛らしいので目に留まった。フィルムが入手困難のため、観賞用として手元に置いておきたい一品だ。

 

マミヤ RZ67プロ 90/3.5W
ハットリカメラ


マミヤ RZ67プロ 90/3.5W 40,000円

RZ67は、マミヤのプロユース・スタジオ向けカメラ。6×7判の中判一眼レフフィルムカメラ。当機はウエストレベルファインダー。マガジンにレボルビング機能(フィルム装着部が回転できる機構)が搭載されており、カメラを回転させなくても、縦位置と横位置を簡単に切り替えられるのが特徴だ。ボディサイズは大きく、かなり重めだが、写りはクセがなく、シャープで良好。どっしりと腰を据えて撮影をしたいときに使いたいカメラだ。お手頃価格なので、初めての中判カメラをお探しの方には良いかもしれない。ちなみに、筆者の買った初めての6×7判カメラはこのRZ67だった。

 

ポラロイド SX-70 LAND CAMERA ALPHA(リメイクカメラ)
カメラのヤマゲン


ポラロイド SX-70 LAND CAMERA ALPHA(リメイクカメラ) 本革ケース付き 12,000円/10,000円

SX-70は、ポラロイド社が発売していたインスタントカメラ。折畳式のブックスタイルで、ファインダーを引き起こして組み立てるとユニークな形状の一眼レフカメラになる。ALPHAは、マニュアルフォーカスで、底面に三脚、背面にストラップがつけられるよう改良されたモデル。

両機ともにボディの表皮を張り替えてリメイクしてあり、カラフルな雰囲気。SX-70用のフィルムはいまも入手可能。撮影し、絵が浮かび上がってくるまでのドキドキ感はたまらない。ノスタルジックな写りは、日常をよりアートに近づけてくれる。インスタントフィルムを楽しみたい方にはもってこいの一品だ。

 

ハッセルブラッド 500C Planar C80mm/f2.8 + フィルムバックA12
カメラの大塚商会


ハッセルブラッド 500C Planar C80mm/f2.8 + フィルムバックA12
旧シュリロ整備済み 168,000円

ハッセルブラッド500Cは、フルマニュアルの6×6判、中判一眼レフカメラ。レンズシャッター内蔵レンズ専用機。フラッシュのシンクロ速度は1/500秒と高速。高い品質と信頼性を兼ねそろえており、いまだ愛用するプロも多い。当機は、レトロ感のある白鏡胴のC80/2.8とセットになっている。整備済みなので、購入後、すぐに安心して使用することができるところが嬉しい。初めてのハッセルブラッドをお探しの方におすすめだ。

 

ニコン マニュアルフォーカスレンズ群
カメラ修理販売 ユー・シー・エス



豊富に取り揃えられているニコンの交換レンズ。最近では、フィルムカメラ時代に使われていたレンズのことを「オールドレンズ」と呼ぶ。オールドレンズをマウントアダプターを使用して、デジタル一眼・ミラーレス一眼に装着し、独特のボケ味やフレアの入り方を楽しむ人も多い。また、現行品の新品レンズと比べて、中古のレンズは価格が手頃で、試しやすい。会場にはたくさんのオールドレンズが販売されているので、探しに行くのも一興だ。
 

キヤノン デミC 28mm 50mm
スズキカメラ商会


キヤノン デミC 28mm 50mm セット ケース付き 20,000円

キヤノン・デミシリーズは、35mmハーフ判フィルムカメラ。ハーフ判のカメラは、35mmフィルムフルサイズの半分のサイズで撮影するため、36枚撮りのフィルムを装填すれば72枚撮れる。中でもキヤノンデミCはレンズ交換が可能だ。当機は28mmと50mmがセットになっており、さらに専用のケースがついてくる。交換レンズとケース付きでこのお値段はお買い得!レトロで可愛らしいデザインに惹かれ、筆者も一時期必死に良い個体を探した。

 

ディアドルフ 8×10
鈴木特殊カメラ


ディアドルフ 8×10 348,000円

8×10インチ判(バイテン)のフィルムを使用する、木製大判フィルムカメラ。抜群の堅ろう性を有している。精巧かつその姿は優美で、現在もプロアマ問わず愛されている。その佇まいを目の当たりにすると、いつかはバイテン……と思ってしまう。当機はフロントスイング機能あり。

 

オリンパス ペンEE3
カメラの愛好堂


オリンパス ペンEE3 7,000円

オリンパスペンは、オリンパスが製造していた、35mmハーフ判フィルムカメラ。ペンEEシリーズは、「買ったその日から、ボタンさえ押せばだれにでも写真が撮れるカメラ」というコンセプトで、固定焦点など機能を限定したシリーズ。セレン光電池の受光部カバーを、レンズ周囲にドーナツ状に配した独特の外観が可愛らしい。ハーフ判のカメラといえばペンを思い浮かべる人も多い。ザ・王道のハーフ判カメラだ。

 

ライカ M6 PLATINUM + Summilux 50mm/f1.4
カメラのゴゴー商会


M6 PLATINUM + Summilux 50mm/f1.4 第2世代 元箱付き 1,280,000円

この「M6 PLATINUM SET」は、写真術生誕150周年、およびライカカメラの生誕75周年を記念して生産された限定モデル。ボディは淡いプラチナメッキだ。全世界で1,250台製造されていた。会場ではショーケースの中に展示してあり、特別感が漂っている。

 

Pentacon Six TL + Biometar 80mm F2.8
ステレオカメラ


Pentacon Six TL + Biometar 80mm F2.8 ケース付き 69,000円

Pentacon Six TL は6×6cm判、中判一眼レフフィルムカメラ。基本的には当機のようにウェストレベルファインダー式だが、アイレベルファインダーやTTL露出計組込みファインダーにも交換可能だ。Biometar 80mm F2.8も味のある写りをする。筆者も長きにわたって使用していた。巻き上げに難のある個体が多いので注意が必要。サイズは大きめだが、デザインのせいなのかそこまで重たく見えない。一時期なぜか人気になり、市場であまり見かけなくなった。久しぶりにちゃんとしたPentacon Six TLを見かけた気がする。



【編集後記・取材時の大村祐里子氏】


クラシックカメラマニアのゆり茶さんは、今年も会場につくなり興奮する。



取材中に様々なカメラに惹かれつつ結局、ライカ R7 +Summicron-R 50mm F2 を衝動買い。本記事の原稿料より明らかに高いという。。。
「私は、カメラ欲しいよ病だから、仕方ないのです」とのことです。





 

<イベント情報>

第10回 新宿クラシックカメラ博

会期:2018年8月15日(水)〜21日(火)
開催時間:10:00〜20:00
(8月17日(金)・18日(土)は20:30まで、最終日は16:00閉場)
会場:新宿高島屋 11階催会場
東京都渋谷区千駄ヶ谷5丁目24番2号
http://www.takashimaya.co.jp/shinjuku/event/index.html
入場無料

主催:写真機商振興会
企画協賛:ワールドフォトプレス(モノ・マガジン)


【10周年記念特別企画】


限定10万円セットコーナー
デジタル一眼レフカメラ センサー清掃コーナー(ニコン・キヤノン)
8月18日(土)・19日(日)ジャンク品コーナー



【トークショー】
8月18日(土)13:00〜
飯田鉄「古今東西 レンズの楽しみ」

8月19日(日)13:00〜
赤城耕一「赤城写真機診療所〜新宿特別出張診療の巻」




【参加店】
愛好堂カメラ / アートカメラ / 大塚商会 / Okadaya / カメラのゴゴー商会 /
カメラのハヤシ商事 / カメラのヤマゲン / 新橋イチカメラ /
数寄屋橋れんずコーナー / スズキカメラ商会 / 鈴木特殊カメラ / ステレオカメラ / セキ写真 / 千曲商会 / 日東商事/ ハットリカメラ / 藤井商店 / 元町カメラ /
ユー・シー・エス / ワカイカメラ (五十音順)
 著者プロフィール  
大村 祐里子(おおむら ゆりこ)

1983年東京都生まれ
ハーベストタイム所属。雑誌、書籍、俳優、タレント、アーティスト写真の撮影など、さまざまなジャンルで活動中。
著書「フィルムカメラ・スタートブック」、「身近なものの撮り方辞典100

ウェブサイト:http://omurayuriko.jp/
ブログ:http://shutter-girl.jp/
Instagram:@yurichayuricha
 
 

大村祐里子・著書


身近なものの撮り方辞典100


フィルムカメラ・スタートブック
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