スペシャルレビュー
公開日:2018/10/05
【スペシャルレビュー】OLYMPUS PEN-F × 大口径単焦点F1.2レンズ × モノクロスナップショット
photo & text 赤城耕一
OLYMPUS PEN-Fはクラシカルなデザインで人気のコンパクトなカメラだが、モノクロの再現性に関しても定評がある。
ディープシャドウからハイエストライトまで、豊富な階調を得ることができることも、その一翼を担っている。カラーとは異なり、モノクロはレトロな再現性ばかりが強調されることあるが、言うまでもなくモノクロこそが写真の基本と言えるものだ。少々こじつけて言うならば、PEN-Fの持つ独自の雰囲気とデザインは、モノクロ撮影に抵抗感がないように感じる。
OLYMPUS PEN-F + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
F11 1/2000 ISO800 AWB

M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO
F1.6 1/3200 ISO200 AWB

M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO
F1.4 1/2500 ISO200 AWB
モノクロ写真を撮るときの心構え
モノクロ写真はカラー写真よりも情報量が少なくなるため、写真を鑑賞する側にとっても想像力を働かせる必要がある。撮影者においても、作画で色の情報の手助けを得ることができないため、自分の見せたい被写体の存在を、より強調することを考えねばならないのだ。主題を明確にせねば、伝える力、つまり作品の力が弱くなるというわけだ。  |  |
OLYMPUS PEN-F + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 F8 1/1250 -0.7 ISO400 AWB | |
光がなければ写真は写らない。これは銀塩でもデジタルでも同じこと。微量光下やミックス光源下でも、モノクロは色カブリを気にすることなく撮影ができるが、この反面、光にはより敏感になる必要があるだろう。明暗の再現、コントラスト、被写体のテクスチャーの再現に常に留意しなければならない。
M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
F1.6 1/1600 -0.7 ISO400 AWB

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
F1.4 1/5000 -0.3 ISO400 AWB
モノクロでの人物撮影
モノクロポートレートでは、肌再現や表情に至るまで、モノクロならではの解釈を考える必要があるだろう。スナップショットにおいても、モノクロでは主要被写体を、より強調することを考える必要がある。
M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
F1.2 1/2500 ISO400 AWB

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
F4 1/640 ISO800 -0.3 AWB

M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO
F1.4 1/2500 ISO200 AWB
PEN-F 独自のダイヤル「モノクロプロファイルコントロール」
PEN-Fでは、モノクロの美しい階調再現性から、粗粒子でコントラストの高い表現まで、様々な設定を可能にしている。
PEN-Fのカメラ前にある、Lマウントライカの低速シャッターダイヤルのような「クリエイティブダイヤル」の操作で、基本的な各種設定が瞬時に可能だ。これがPEN-F独自の機能として、登場時から注目されてきたのは、内蔵のモノクロプロファイルコントロールだ。
クリエイティブダイヤル プリセットを使ってみる
カラーフィルター効果やシェーディング効果、粒状フィルム効果を、好みにより設定することで、様々な効果を作ることができる。まずは、あらかじめデフォルトでカメラに内蔵された2種類のクラシックフィルム風プリセットを使うのがいいだろう。 プリセット1・2
「プリセット1」はノーマルのモノクロ再現、「プリセット2」は粒状性を生かした再現性で、中庸あるいは高感度系フィルムを使用したものと同様の効果が得られる。プリセット1
OLYMPUS PEN-F + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8
F8 1/1250 -0.7 ISO400 AWB(以下すべて同じ)
プリセット2
プリセット3
「プリセット3」はクラシックフィルムIRと呼ばれ、赤フィルターをかけたような、擬似赤外写真が可能になる。これは赤色の被写体は明るく、青空を暗く落とすことができる。プリセット3
プリセット3+粒状
ラフモノクローム
また、アートフィルターには、すでにおなじみの「ラフモノクローム」もあるので、モノクロの効果選択においては、広い自由度がある。ラフモノクローム+粒状
プリセットのカスタマイズ
さらにPEN-Fのすごいところは、プリセット状態から撮影条件、撮影者の好み、作風にあわせ、カスタマイズ出来ることなのだ。これをうまく使えば、自分だけのモノクロ作品に仕上げることが可能になるのである。加えて、ハイライト&シャドウコントロール機能を使って、明暗差を強調し、調子を整えることもできる。

ハイライト&シャドウコントロール機能の設定画面

シェーディング効果の設定画面
当たり前だが、PEN-Fでは撮影時に各種のモノクロプリセット効果が、カメラ内のEVF、液晶モニターでシミュレーションすることができる。よって、モノクロ写真制作の効率が上がることは確かだ。
これは解答を見ながらテストを受けることができるようなもので、最終的な作品をすべてモノクロにしようと考える場合には大いに活用したいところだ。モノクロビギナーにも便利な機能だろう。 OLYMPUS Viewer 3(オリンパス ビューワー 3)でモノクロに

PEN-Fのカメラ内RAW現像やRAW撮影した写真は、オリンパスのデジタルカメラ用ソフトウェア「OLYMPUS Viewer 3」のモノクロプロファイル機能を使えば、撮影画像を見ながら、自由にモノクロプロファイルコントロールを行うことができる。この場合、撮影時のEVFや液晶モニターはカラーのまま観察することになる。撮影効率を重視しないならば、フィルム時代からのモノクロ写真愛用者にはこのほうが自然かもしれない。OVFは世界の色をそのまま映していたからだ。
私はモノクロ撮影を行う場合でもこちらを選ぶことが多い。何故なら、撮影時から色のある世界を観察することで、最終的なモノクロのアウトプットを想像して、撮影することが好きだからだ。
どちらを選択するかは、撮影者側の自由な選択でよいだろう。こうした自由度もデジタルカメラならではのものだ。OLYMPUS Viewer 3
https://olympus-imaging.jp/product/software/olympus_viewer3/index.html <メーカーサイト>
OLYMPUS PEN-F
https://www.olympus-imaging.jp/product/dslr/penf/ M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
https://olympus-imaging.jp/product/dslr/mlens/17_12pro/index.html
M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO
https://olympus-imaging.jp/product/dslr/mlens/25_12pro/index.html
M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO
https://olympus-imaging.jp/product/dslr/mlens/45_12pro/index.html  | 赤城耕一 東京生まれ。出版社を経てフリー。エディトリアルやコマーシャルの撮影のかたわら、カメラ雑誌ではメカニズム記事や撮影ハウツー記事を執筆。戦前のライカから、最新のデジタルカメラまで節操なく使い続けている。 主な著書に「使うM型ライカ」(双葉社)「定番カメラの名品レンズ」(小学館)「ドイツカメラへの旅」(東京書籍)「銀塩カメラ辞典」(平凡社) ブログ:赤城耕一写真日録 |