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スペシャルレビュー

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スペシャルレビュー
公開日:2018/11/19

殿堂入りしたデジタルカメラ OLYMPUS PEN-Fで思い通りの色を撮る

photo & text 大村祐里子

OLYMPUS PEN-F + M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO
F1.2 1/640 ISO200 WBマニュアル
 

2年越しのPEN-F

仕事ではなく、趣味で写真を撮るときに最重要視しているのは「色」です。色に気付き、その色をおさめたいと思いシャッターを切り、イメージ通りの色で撮れていれば満足します。

どのくらい色にばかり注目しているかというと……。あるレストランで、片付けられていないテーブルの上に赤いコップが3つ置いてありました。私はコップの鮮やかな「赤」が美しいと感じ、それをおさめたいと思い撮影をしました。写真ではコップの赤がイメージ通りに写っており満足したのですが、よくみると、テーブルの上は片付いておらずゴチャゴチャしていて、お世辞にも綺麗とは言い難い状況でした。このように、色ばかりに集中していて、他のものに注意がいかなくなることが多々あります。私の目は、そのくらい色ばかり気にしているのです。

一方で、イメージ通りの色で撮れていないと非常にストレスが溜まります。あとで現像するときに色を調節すればいいじゃない、と言われてしまいそうですが、私は「撮った瞬間」に思い通りの色に仕上がっていないと嫌なのです。嫌、というより、すっきりしない、という感覚が近いでしょうか。色がイメージと違う、と思いながら撮り続けるという行為は、もはや苦行です。

そんな中、PEN-Fを初めて手にしたときの衝撃はいまでも覚えています。PEN-Fにしか搭載されていない、全体的な色調と彩度を調整できる「カラークリエイター」と、個別の色の彩度を調整できる「カラープロファイルコントロール」の2つは、完璧なまでに私の脳内にある色を表現してくれました。「この機能は自分のために作られたのではないか」と勘違いしてしまうほどに。

2016年からPEN-Fを使っていますが、2年経ったいまでも、相変わらず、撮った瞬間にイメージ通りの色を表現できるのはこのカメラだけです。使い込むことで、以前よりもさらに操作に慣れてきたので、直感的、という領域を通り越してまるで「身体の一部」のように使えるようになりました。周囲の方に「操作が速すぎる!」と驚かれることもしばしば。

経験上、「そのカメラでしか味わえない感覚」がある個体は、どんなに古くなろうとも絶対に手放したくないと思えます。私はそういうカメラを「殿堂入り」と呼んでいます。かつて殿堂入りした機種はフィルムカメラばかりでしたが、今年、PEN-Fはデジタルカメラで初めて、めでたく私の“殿堂入り”を果たしたカメラとなりました。色を完璧に操れるという感覚は、PEN-Fでしか味わえません。




OLYMPUS PEN-F + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO



OLYMPUS PEN-F + M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO
F2.0 1/8000 ISO200 WBマニュアル

45mmで絞りを開け気味にして、花にとまった蝶に寄りました。大きくて綺麗な円形ボケが背後の花の雰囲気を消さず、かつ被写体を強調してくれました。カラープロファイルコントロールで黄色と赤紫の彩度を上げ、その場で感じた蝶と花の色合いに近づけました。カラープロファイルコントロールでは、赤紫のような微妙な色も調整できるのが特に嬉しいです。世の中は、◯色と×色の中間、といった色が多いので。



OLYMPUS PEN-F + M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO
F1.4 1/8000 ISO200 WBマニュアル


OLYMPUS PEN-F + M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO
F1.2 1/160 ISO200 WBマニュアル


OLYMPUS PEN-F + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
F7.1 1/160 ISO200 WBマニュアル

17mmで池を泳ぐ鳥を撮影しました。17mmという画角は自分の視野に近く、その場で感じ取ったイメージをそのまま写し撮れて爽快です。私は、17mmの絞ったときの描写がシャープで好きです。F7.1まで絞り、水面のソリッドな感じを、隅々まで切れ味よく表現してみました。



OLYMPUS PEN-F + M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO
F1.2 1/1250 ISO200 WBマニュアル

現場は全体的に彩度が低い印象でしたが、私は落ちているドングリに優しさを感じたので、カラープロファイルコントロールでオレンジ系の彩度を上げて温かさを出しました。



OLYMPUS PEN-F + M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO
F11 1/160 ISO200 WBマニュアル


OLYMPUS PEN-F + M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
F13 1/100 ISO200 WBマニュアル

カラープロファイルコントロールで青と緑を強調し、よく晴れた日の昼下がりの、青空と木々と芝生の爽やかさを演出しました。広々とした感じを写したかったので広角である17mmをチョイスしました。また、全体的にシャープに仕上げたかったので、F13まで絞りました。



OLYMPUS PEN-F + M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO
F1.2 1/2000 ISO200 WBマニュアル
 

PROレンズについて

PEN-Fを使い始めた当初は、M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8をつけて撮影をしていました。しばらくしてから、M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROなるレンズが登場したとの噂を聞きつけ、F1.2という大口径に惹かれて早速購入してみました。

25mm F1.8のレンズに不満があったわけではないのですが、25mm F1.2 PROの写りは別格でした。すべてのカットで圧倒的に美しいボケと解像力が体感でき、仕上がりへの満足度がグンと上がりました。そこから、PEN-Fと25mm F1.2 PROは私の鉄板の組み合わせになりました。

時は流れ、2017年末から2018年頭にかけて、M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO、M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PROの2本が発売され、F1.2大口径単焦点シリーズは3本のライナップとなりました。もともと広角レンズが好きな私は、あの画質を広角で楽しめるなんて!と思い17mmの購入を決めました。しかし、写真のバリエーションを増やすために45mmもあったほうがいいな……という結論に至り、最終的に2本とも購入しました。

今回の作品は、PEN-Fに17mm F1.2 PRO と45mm F1.2 PROのいずれかを装着して撮影したものです。17mmは抜けるように爽快な描写が、45mmは濃厚な圧縮感が魅力です。写真を組んだときの緩急やリズム感を大切にしている私にとっては、信頼できる広角&望遠は最高の組み合わせです。描写力はもちろんですが「被写体に寄れる」点も特に気に入っています。

殿堂入りカメラに、満足度の高い描写をしてくれるレンズ。PEN-FとPROレンズは、私の最高の相棒です。


 

<メーカーサイト>

OLYMPUS PEN-F
https://www.olympus-imaging.jp/product/dslr/penf/

 
M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
https://olympus-imaging.jp/product/dslr/mlens/17_12pro/index.html

M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO
https://olympus-imaging.jp/product/dslr/mlens/25_12pro/index.html

M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO
https://olympus-imaging.jp/product/dslr/mlens/45_12pro/index.html
 著者プロフィール  
大村 祐里子(おおむら ゆりこ)

1983年東京都生まれ
ハーベストタイム所属。雑誌、書籍、俳優、タレント、アーティスト写真の撮影など、さまざまなジャンルで活動中。
著書「フィルムカメラ・スタートブック」、「身近なものの撮り方辞典100

ウェブサイト:http://omurayuriko.jp/
ブログ:http://shutter-girl.jp/
Instagram:@yurichayuricha
 
 

大村祐里子・著書


身近なものの撮り方辞典100


フィルムカメラ・スタートブック