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イベントレポート

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イベントレポート
公開日:2023/05/19

フィルムカメラとオールドレンズの玉手箱、池袋クラシックカメラ博レポート

Photo & Text:鹿野貴司


2023年5月18日(木)から23日(火)まで、東武百貨店 池袋店で「池袋クラシックカメラ博」が開催されている。主催は写真機商振興会。かつては新宿の百貨店で人気を博してきたイベントが、一昨年は上野、そして昨年は池袋で開催された。今回は「第3回昭和レトロな世界展」の同時開催イベントとして、2度目の池袋開催。全国から17店の中古カメラ店とメーカーが参加している。

このところ落ち着いたと思っていた中古市場だが、各店舗で話を聞くと、開店直後には大勢の来場者が。またアジア系を中心に、ここ数年は見られなかった外国人の姿も目立ったという。目玉商品が早々に売れてしまったという店舗もあったが、それでもショーケースを見ると古今東西さまざまなカメラが。気になったカメラやレンズをピックアップしてみた。



ライカCL(メーター不良)+ズミクロンC40mmF2 115,000円
スズキカメラ商会


メーター不良ということで、相場より3割ほど安いのではないだろうか。撮影自体はマニュアル露出で問題なく可能。シャッターや巻き上げレバーの感触も良好だった。露出はカンを頼りにするのも悪くないが、今ならスマホアプリで測れるし、露出計も今会場内でいくつも販売されている。そうやって賢く中古カメラと付き合いましょう。



ニコンS3+ニッコール-S 5cmF1.4 105,000円
愛好堂カメラ


ニコンSシリーズの在庫が充実していた愛好堂カメラさん。もっと安いものもあるのだが、長く使うことを考えるとこのあたりが適正ラインか。ちなみにレンズは1950年代のものと思われるが、絞り開放ではこれぞオールドレンズという描写をする。マウントアダプターでミラーレス機にも使えることを考えるとお得なセットだ。



(左)コニカ・ヘキサノンAR35mF1.8 132,000円
(右)富岡光学・オートトミノン21mmF3.5(M42マウント) 220,000円
カメラのヤマゲン


取材前にTwitterを見たら、この2本がちょっと話題になっていた。どちらも製品としては存在せず、シリアルナンバーの下3桁は001。試作品とみられる超珍品だ。ちなみにコニカはご存知の方も多いと思うが、富岡光学はかつてコンタックス一眼レフ用のカールツァイスレンズを製造していた実力者。現在も京セラの光学事業部門として存続している。余計な話だがご参考まで。



メルコンII+ニッコール-H・C 5cmF2 330,000円
日東商事


一瞬ニコンS2かと思ったが、目黒光学という会社が1957年に発売したもの。違いといえばカメラ側にフォーカスギアがないくらいで、装着されているレンズも(ライカLマウントだが)ニッコールなのだ。当然のごとくニコンからクレームが付き、製造台数が非常に少ないといわれている。



オリンパス35エース+E.ズイコー-W3.5cmF2.8+
E.ズイコー-T8cmF5.6
29,700円
カメラのゴゴー商会


1958年に発売された距離計連動のレンズ交換式カメラ。3本あった専用レンズのうち、広角と望遠の2本がセットになっている。実用性と持つ楽しさのバランスをうまくとれるのが、これくらいの国産カメラではないだろうか。カメラ界からオリンパスの名前が消えつつあるが、こうして歴史上の名機に触れるとなんとか残してほしいと思う。



クラウングラフィック45+エクター127mmF4.7(トランク付き) 128,000円
鈴木特殊カメラ


終戦直後の1947年に発売された、報道向けに速写性能を高めた4x5判カメラ。今となっては大判に速写性能とは不思議な話だが、当時の新聞カメラマンはこれでまさに一撃必写だったのだ。通常の4x5ホルダーが装着できるので、まだフィルムが入手できるうちに大判を試してみたいという人におすすめ。



スタジオアンソニーカメラ型パタパタ時計 27,500円
鈴木特殊カメラ


浅沼商会創業100周年の記念品という、クラシックカメラ型の置き時計。写真は撮れないけれど、インテリアとしてぜひ。



ライカ  M4 オリジナルブラックペイント 2,500,000円
大塚商会


僕が会場をくまなくパトロールした中で、最高値タイだったのがこれ。シリアルは122万台のオリジナルブラックペイントだ。整備済で実用品としても魅力だが、でも買ったらやっぱり防湿庫に入れっぱなしにして、夜中にときどき触りながらひとりでニヤニヤするのかなぁ。



(手前左)コニカ・ヘキサノン  L35mmF2 179,300円
(手前右)コニカ・Mヘキサノン50mmF1.2リミテッド 396,000円
(奥)コニカ・ヘキサーRF 198,000円
ペンギンカメラ


35mmはライカLマウント互換、50mmはライカMマウント互換と違うのだが、どちらも奥に鎮座するヘキサーRFに装着可能(35mmはL-Mアダプターが必要だが)。現行品だった頃にヘキサーRFを使っていた身としては、どれもこれも高くなってしまったじゃねえか…と思う反面、ライカよりずっとお買い得にも思える。



ミノルタX-700+ニューMD50mmF1.7 24,750円
ジェイダブリュー


α7000でカメラ界にオートフォーカスという革命をもたらしたミノルタ。その革命前夜である1981年から、実は20世紀の終わりまで18年間も販売されていたのがこのX-700だ。ボディはプラスチック製だがデザインの妙で安っぽさはない。何より魅力はファインダー。定評のあるアキュートマットスクリーンのおかげで明るく見やすいのだ。個人的にちょっと欲しかった。



ライカ M4-P 70周年記念モデル 286,000円
ジェイダブリュー


どうせライカを買うなら、ちょっと珍しいモデルを選ぶのも一考。これはウルライカ誕生から70周年を記念し、1983年に2500台限定で製造されたモデル。M4に28mmと75mmのブライトフレームを加えたM4-Pがベースとなっている。M4-P自体が中古であまり流通していないことを考えると、この値段でよいのでしょうか?(よいはずだが)




鹿野のつぶやき

冒頭にも少し触れたが、このイベントは「第3回昭和レトロな世界展」と同時開催されている。こちらもチラッとのぞいたのだが、小学生のときに流行したコカコーラヨーヨーとか、今うちの息子がハマっているオールドトミカとか、カメラやレンズ並みにあらゆる沼が待っていた。

ロータス ヨーロッパ S1 やポルシェ 911 カレラRSの本物も展示されていて、思わずカメラバッグに忍ばせていた私事用カメラ(ペンタックスK-3 Mark III Monochrome)で撮ってしまった。スーパーカーがどうやって8階まで辿り着いたのか、考えると夜も眠れない。

クラシックカメラ博に話を戻すと、19日(金)・20日(土)にはジャンクコーナーが設けられるそうで、私事用カメラに合わせるレンズを買う気マンマンだったのに、結局何も決められなかった僕はこちらがとても気になる。また21日(日)13時からは僕も親しくさせていただいている写真家・塙真一さんのトークショーも行われる。塙さんの話を聞くと血中物欲濃度が高まるので、くれぐれも自己責任で。



 

<開催概要>


「池袋クラシックカメラ博」

会期:2023年5月18日(木)〜5月23日(火)
場所:東武百貨店 池袋店 8階催事場
時間:10:00〜19:00


詳細はこちら
 
鹿野貴司(しかの たかし)

1974年東京都生まれ。多摩美術大学映像コース卒業。さまざまな職業を経て、フリーの写真家に。広告や雑誌の撮影を手掛けるほか、ドキュメンタリー作品を制作している。写真集『日本一小さな町の写真館 山梨県早川町』(平凡社)ほか。著書「いい写真を撮る100の方法(玄光社)」

ウェブサイト:http://www.tokyo-03.jp/
Twitter:@ShikanoTakashi

<著書>

いい写真を撮る100の方法
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