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イベントレポート

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イベントレポート
公開日:2023/11/15

フィルムカメラの販売イベント「第3回上野クラシックカメラ博」に潜入

text & photo 鹿野貴司


2023年11月15日(水)から21日(火)まで、松坂屋上野店・6階で「第3回上野クラシックカメラ博」が開催されている。主催は写真機商振興会。カメラ店と協賛メーカー計13店舗が参加し、中古品を中心にフィルムカメラからオールドレンズ、そしてデジタルカメラを販売している。18日(土)・19日(日)にはジャンクセールも開催される。

外国人観光客がコロナ禍以前のレベルまで戻ってきたことにより、会場は混雑も予想されるが、一方で急騰を続けてきたフィルムカメラの相場が落ち着きつつある。上野から隣町の秋葉原にかけては中古カメラ店が林立しており、じっくり掘り出し物や未知のカメラ・レンズを探し歩くのもいいと思う。

オープン前日に会場で見つけたオススメのカメラをピックアップしてみた。

*これらの商品は、11月14日の取材時に撮影した商品です。現在の店頭在庫を保証するものではありません。



コダックレチナIIIS
クルタゴン35mmF2.8、クセナー50mmF2.8、テレアートン85mmF4、システムケース付き。
38,500円
日東商事


昭和33(1958)年に発売されたレチナシリーズの最終モデル。レチナといえば蛇腹式のイメージが強いが、こちらはドイツコダックが製造したレンズ交換式だ。そのデッケルマウントのレンズ3本に、革製ケースやフィルター、フィルムケースなどの小物も付属。カメラやレンズの程度も良好だが、カメラバッグ愛好家の筆者としては革製ケースが気になる。



コンタックスGレンズ・ライカMマウント改
ビオゴン21mmF2.8(GF-21mmビューファインダー付き) 138,000円
ビオゴン28mmF2.8 88,000円
プラナー35mmF2 165,000円
ゾナー90mmF2.8 68,000円
日東商事


コンタックスGマウントのレンズを、ライカMマウントに改造したもの。銘板以外の外装はそっくり生まれ変わっているのだが、元からそうであったかのように違和感がない。光学系はもちろんクリアで、ヘリコイドの動きも滑らかだ。



フジカフレックス
185,000円
カメラのヤマゲン


83mmF2.8という風変わりなスペックのレンズを搭載する富士フイルム製の二眼レフ。昭和29(1954)年に発売されるも、その翌年には製造中止。重厚なフロントフェイスや、アメ車のエンブレムを彷彿とさせるロゴ、フォーカスとフィルム巻き上げを兼用するノブなどの凝った造りをみると、後継機が発売されなかったのが残念だ。



(左)オリンパス・ペンEE-3
18,000円
(右)オリンパス・ペンEES-2
15,000円
カメラのヤマゲン


ペンEEシリーズも一時期のブームが落ち着き、価格もこなれてきた。フィルム価格が上がり続ける今、倍の枚数が撮れるハーフカメラは賢い買い物かもしれない。こちらは店舗で独自に外装をリメイクしたもの。モルトも交換済みで、撮影もばっちり楽しめる。



ライカR3サファリ+ズミクロンR50mmF2
165,000円
ペンギンカメラ


昭和53(1978)年に発売された限定モデル。製造台数は2500台とも5000台ともいわれるが、ともあれ今となっては珍品の部類に入る。レンズも同じカーキ色に塗装されているセットモデル。単品ではまず手に入らない品なので、この際セットでいかがでしょうか。



ライカM4-P(元箱付き)
297,000円
ズミルックスM50mmF1.4
258,000円
ペンギンカメラ


フィルムのM型ライカは良質な個体がどんどん減り、つまりこれから購入するとメンテナンス費用がかさみがち。ある程度使い込むつもりなら、これくらい程度のよいものを求めたい。撮影にはまったく関係ないけれど元箱も付いている。



ニッカ3-F+ニッコール5cmF2(元箱付き)
55,000円
スズキカメラ商会


日本製コピーライカとして定番のニッカ。巻き上げノブがレバーに代わった後期型で、扱いやすいのが魅力だ。今でいう“レンズキット”として付属していたニッコール5cmF2もいいが、余多あるライカL39マウントレンズを楽しめるのもいい。ドイツ国旗をあしらったと思われる元箱のストライプが、50年代の日本が置かれていた状況を感じさせる。



スズキカメラ商会のブースには、ほとんどが1万円以下という国産レンズを並べたカゴが。このあたりのレンズも価格がだいぶ落ち着いてきた印象がある。早い者勝ちなので急ぐべし。



オリンパス O・product(ストロボ・元箱付き)
38,000円
大塚商会


バブル真っ只中の昭和63(1988)年、円と四角を組み合わせたアルミニウムボディで登場したコンパクトカメラ。日本と海外それぞれで1万台が予約販売されたそうな。ときどきこれが欲しくなる筆者は、今こういうデジカメがあったらいいのになぁ…と思う。


鹿野のつぶやき


高校生だった30年以上前、1本300円で買えたモノクロフィルムが、今じゃなぜか3000円超え。現像代も含めると、1回シャッターを切るたびに100円玉が落ちていく計算だ。フィルムカメラの高騰が落ち着きつつあるのも、そのあたりのランニングコストが関係しているのかもしれない。とはいえ、この先程度のよいフィルムカメラは減り、フィルムや現像のコストが安くなる可能性も低い。残存価値など気にせず、楽しめるうちに楽しむのが精神衛生上よろしいのではないでしょうか。

ちなみに写真はフィルムの抜け殻たち。昔はちょっと旅をすると、手にしているくらいの撮影済みフィルムが溜まったものである。あの頃のようにフィルムは消費できないけれど、残り枚数を慈しみながらシャッターを切るのもデジタルにはない醍醐味である。ともあれ皆様、よいお買い物を。

 

<開催概要>


「第3回上野クラシックカメラ博」
会期:2023年11月15日(水)〜11月21日(火)
時間:10:00〜18:30(最終日は16:00閉場)
場所:松坂屋上野店 6階 催事場
〒110-8503 東京都台東区上野3-29-5

イベント情報:https://camerafan.jp/cc.php?i=954
鹿野貴司(しかの たかし)

1974年東京都生まれ。多摩美術大学映像コース卒業。さまざまな職業を経て、フリーの写真家に。広告や雑誌の撮影を手掛けるほか、ドキュメンタリー作品を制作している。写真集『日本一小さな町の写真館 山梨県早川町』(平凡社)ほか。著書「いい写真を撮る100の方法(玄光社)」

ウェブサイト:http://www.tokyo-03.jp/
Twitter:@ShikanoTakashi

<著書>

いい写真を撮る100の方法
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