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新製品レビュー

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新製品レビュー
公開日:2016/06/14

ペンタックス K-1 + Kマウントレンズ スペシャルレビュー

photo & text 赤城耕一
FA50mm F1.4をつけたK-1。レンズがボディの迫力に負けている。このレンズのデザインの不格好さは、子供の水筒のキャップみたいで、使うのがイヤになるほど。とにかく安っぽい。即刻デザインを変更してほしい。35mmフルサイズの正統派標準レンズを組み合わせるとこれしか選択できないことになる

デジタル一眼レフカメラは買いません!?

デジタル“一眼レフ ” はもう買わない。と、なんとなく公言しちゃった私なんだけど、舌の根が乾かないうちに撤回せねばならなくなってしまった。自分でも思うがこれでは信用ならないやつである。
なぜならば、いま手元にペンタックスK-1が鎮座しているからである。これは謎だ。謎である。まったく予想だにしなかったことなのだ。詳しい理由は不明だが、K-1発売日にトランス状態に陥っていたのかもしれん。ならばやむをえないですね。
もっとも薄々ではあるが、K-1くんには、さほど遠くない将来、お越しいただくような予感はしていたのである。それが早まったというだけのことなのだろう。その姿カタチがまずまずな完成度だったこと、そして何よりも35mmフルサイズセンサーをペンタックスでは初めて搭載したカメラだからである。


フルサイズにはこだわりません!?

おいおい、オマエは「フルサイズにこだわるヤツはダメだ」とか言ってませんでしたっけ、などという声が聞こえてきそうだけど、私はそんなことは言ってません。「フルサイズにはもうこだわらなくてもいいんじゃないですかねえ」という発言どこかでしたような記憶がございます。はい。お間違えのないようよろしくお願いします。

これまでメーカーは、ペンタックス一眼レフシステムとして、APS-C専用のDAレンズをかなり揃えてしまったのだから、もう誰がなんと言おうが耳を傾けることなく今後もAPS-Cセンサー搭載の一眼レフで押しまくるのではないかと思っていた。これには私なりの想像があった。それはこういうことだ。ペンタックス645Zは中判デジタルカメラとはいえ、センサーサイズが33×44mmと小さい。35mmフルサイズと一回り大きさが異なるくらいである。“標準レンズ ” の焦点距離も55mmが採用されている。
つまり、APS-Cセンサー搭載のペンタックス一眼レフカメラで撮影された写真とペンタックス645Zの写真の雰囲気はかなり異なるが、35mmフルサイズと645Zのそれは巷で言われるほど大きな差はないということになる。もちろん画質の余裕やレタッチの耐性という意味では間違いなく645Zに分があるのは確かである。それでもペンタックスがAPS-Cのセンサー搭載の一眼レフにこだわる理由は、645Zとの差別化、写真から受ける印象や雰囲気を大きく変えることができ、両者の共存共栄にあったのではないかとも思えたのである。


ワタシがペンタックス K-1を購入した理由

ここからはイイワケとして、まずK-1くんにお越しいただいた理由をつらつらと述べたいと思う。
この理由は単純なのだ。私自身がフィルム時代からのペンタックスのヘビーユーザーであるからだ。今もペンタックスLXのシャッター音に感激したりしながら撮影している。したがって、手元には過去のフィルム時代のMFとAF交換レンズ群がゴロゴロある。
それにAPS-C専用のDAレンズを購入するのに躊躇自していたということもある。ニッコールのGタイプレンズと理由は似ているが、DAレンズには絞り環が存在しないことも気に入らない点だった。ちなみにニッコールでは絞り環のないレンズは購入しないという家訓があるので、ペンタックスレンズにも採用したというわけである。
これまで登場したペンタックスのデジタル一眼レフは、すべてボディ側にAF駆動用のモーターを残している。なんちゃってミラーレスのK-01にしても同様だ。旧レンズとの互換性を重要視している証拠だが、この気配りはニコンを上回る配慮であり、デジタル専用のDAやD-FAレンズを購入する意味を失わせるのである。つまり、FAレンズ群や、その前のMFレンズ群での使用も基本的にはAF動作などの問題はないわけだから、あえてデジタル専用レンズを購入する理由は、私のように画質には少々無頓着な人間には必要ないことになる。
ただし、残念なのはFAレンズはどういうわけか、カッコ悪いデザインのものが多いことだ。コストダウンによるものだろうが、まったく色気がなく、プラスチックを多用している。FA50mmF1.4とか、見てるだけで腹が立ってくるほどである。
そして、前述した話とは少し矛盾しちゃうけれども、個人的にFAやD-FAレンズのみを揃えていた理由は、いつか将来、35mmフルサイズセンサーを搭載したペンタックス一眼レフが登場すると予測していたこともある。そうなればフィルムペンタックスとデジタルペンタックスを相互に行き来しても、ストレスがなくなるわけだ。
フィルム時代からの交換レンズのシステムを応用したデジタル一眼レフの場合、35mmフルサイズセンサーを搭載することはカメラメーカーの矜持というものであろう。そして登場したK-1の出来が予想を上回っていたので、これは何としてもお越しいただく必要があると考えたのである。ぜんぜん説得力がないけど(笑)。古くからのペンタックスユーザーとしては、K-1くんを応援しないわけにはいかないではないか。あー我ながら苦しいイイワケだぜ。


ペンタックスK-1の使用感と特徴

さて、ペンタックス K-1の具体的な使い心地はいかがなものだろうか。
デザインには賛否あるらしいが、私個人としてはまずまずの高い評価である。ペンタックス67IIと似てるという声もあるらしいけど、どうかなあ。似てますかね。
ペンタプリズムにストロボを仕込まなかったことは正解だろう。このため頭頂部のトンガリが守られた感がある。フルサイズ機としては小さい方だが、さほど凝縮感は感じないけど、形の良い丁寧に作られたおにぎりのようだ。グリップと剛性感はかなりいいほうだ。



大きなモードダイヤルだが、ユーザー設定用のポジションがたくさんあるけれど、これって全部を登録して使う人がいるのかねえ。何をどう設定したか全部覚えられるんですか?

スマートファンクションダイヤル。全然使ってない。メニュー画面を使わず速やかに設定が可能だけど、要素的にこれらの機能を即時に変更できることが便利なのかどうかはわからん。マニュアル露出を多用するのでシャッタースピードダイヤルの方が良かったのではないかと思ったり。

ダイヤル、ボタン類の動きもスムーズだが、ダイヤルはクリックがもう少し硬めでも問題ないと思うなあ。ボディ上面にあるスマートファンクションダイヤルってのがあるんだけど、メニューを使わずとも各種の設定ができて便利という触れ込みだけど、なんだか使い方がよくわからん。なくても今後の人生に支障は出ないような気がする。これならシャッターダイヤルがあったほうがいいんじゃないのかなあ。


フレキシブルチルト式の液晶モニター。可動の自由さが本機のウリでもあるけど、便利に使えるのかどうかは、今後もう少し場数を踏まないとわからないなあ。

背面のモニターは、フレキシブルチルト式液晶モニターという長ったらしい名前がつけられており、こういう名称は全然覚えられない。いろいろな角度にモニターが動くさまはなんだかユーモラスでもあるのだが、まだこの機能を生かして撮影できていないというのが正直なところ。ドラマ「あまちゃん」に出てくる、なんとかクネ男を想像した。私には生かしきれないだろうなあ。

アシストライト機能というのもあって、レンズマウント上部、カードスロット、ケーブルの端子部、モニターの背面にLEDが埋め込まれ、夜間や舞台撮影時には便利に使えるとあるが、私は理由の如何を問わず、カメラ側が光るなど許せないので、これは使いたい人が使えば良いだろう。しかし、ペンタックスはボディを光らせるのが好きだよね。宴会とか合コンには女の子にウケるかもしれんけど。

ペンタックス K-1の一眼レフであることの意義、すなわち肝心かなめの光学ファインダーの性能はどうだろうか。結論から言えば得点は71点というところか。減点なのはやはりスクリーンのボケの再現性だろう。多くの一眼レフのそれと同様に被写界深度が深く見える。特に前ボケの差はかなり大きく、レンズを開放絞り値近辺で使用するような場合でも実際の写真のボケの大きさに驚くことがある。この時代、これはやむをえないのだろうなあ。救いなのはフォーカスのキレはまずまず良いこと、MFでもフォーカスの頂点はつかみやすい。AFエリアは液晶表示なので、被写体によっては重なると見づらくなることがある。AF測距点の数はニコンやキヤノンと比較すると少ないけど、私は位相差AFではほとんど中央のAFエリアしか使わないから問題ない。
シャッター音、動作音も静かな部類に属するが、手持ちのFAレンズ群はみなボディ内駆動用のものであるから、AFのジージーという動作音は気になるといえば気になる。が、黎明期からのAF一眼レフユーザーである私としては、この程度のことは問題とはしないのである。

AFのスピードはかなり強引で急発進、急停止を繰り返す感覚。このような物理的動作はAF精度に与える影響が大きいとして、スペックマニアさんは嫌う向きもあるらしいけれど、K-1の位相差AFの精度はこれまでのペンタックス一眼レフと比較しても、かなり良い感じという印象を持っている。動体撮影時の食いつきもいいほうだろう。とにかくエラーが少ないのは助かる。もっとも精度は高いとはいえ、あくまでフォーカスの歩留まりを追求するならば、大口径レンズを開放値近辺で使用するような場合など、ライブビューに切り替えて、コントラストAFを使用するという手段も考えたい。なおこの時には顔認識も使用できて便利に使うことができる。ただ、認識の精度は粗っぽい感じ。ここから進んでさらに瞳認識なども行うことができれば、より信頼性が上がるはずだがどうだろうか。



アダプター「F AFadapter1.7X」
MFレンズをAFで使用できるアダプター。AF使用できるレンズは原則としてF2.8より明るいレンズ。主レンズの焦点距離は1.7倍、明るさは約1.5段暗くなる。絞り優先、シャッター優先AEも可能。プログラム自動露出はノーマルプログラムモードのみ。マスターレンズの距離設定によって、AFの撮影範囲が決まるので注意が必要。


面白いのはSMCP-FA★28-70mm F2.8 ALなどに内蔵されているパワーズームの動作も可能なこと。いまだに現行品として存在するMFのA、Mレンズなどを、AFで使用することのできるアダプター「F AFadapter1.7X」の使用も、もちろん可能にしている。コンバーターレンズの特性を利用するため、焦点距離を1.7倍して画角を考える必要があるものの、かなり有用性が高く、使えるアクセサリーだ。もちろん、焦点距離と同様にマスターレンズの収差も拡大してしまうので、画質を追求する向きにはオススメしないが、有効なアクセサリーである。デジタル専用のDAレンズの場合はクロップで使用できるが、どちらかといえば緊急での使用という意味が大きくK-1に使用してもあまり面白いものではないだろう。
ちなみにペンタックスAシリーズレンズは、絞り環を「A」ポジションにセットすることでボディ側のダイヤルで絞りの設定が可能。他の電子接点のないMFレンズを使用する場合はメニューから「絞りリングの動作を許可」すれば使用することが可能だ。
SR(手ブレ補正)はペンタックスおなじみのセンサーシフト方式で、装着レンズによらず対応するという大きな特徴がある。5軸5段とのことだが、その効きもたしかに良いと思う。電気接点を持たないMFレンズの場合は、焦点距離入力で適宜な効果が得ることができることもメリットだ。しかし、レンズシフト、センサーシフトの方式によらず手ブレ補正機能そのものはあらゆる条件においてパーフェクトではないことは知るべきであり、失敗を救済するものではなく、表現の幅を広げるものとして考えるべきだろう。
35mmフルサイズ設定での連写速度は最高で4.4コマ/秒と同スペックの他機種と比較すると遅めである。が、私には十分すぎるくらい。スペックマニアさんには引っかかるところなんだろうけれど、連写速度が速くて名作が撮れるという話は聞いたことはない。



ペンタックスK-1の画質

肝心の画質はどうかということだけれど、35mmフルサイズになったことが理由というわけではないのだろうが一皮むけた感があるのは確かである。有効約3640万画素ということだから、ニコンD810と同程度のセンサー搭載である。しかもローパスフィルターレス設計だから、解像力は非常に高いものがある。モアレ発生が懸念される状況の場合はSRを利用したローパスセレクターを適宜に使い分ければいいのだろう。私の場合は面倒なのでセレクターを設定せずに撮影したが、仔細に細部を見ない限りはまったく問題はなさそうだ。
そして何よりも画質的に感心したのは鮮鋭性よりも階調再現の広さ、豊かさで、シャドー側もハイライト側もこれまでのペンタックスより粘りを感じるのである。鮮鋭性の追求よりもこのことは重要な論点かもしれない。


ペンタックス 歴代レンズレビュー

smcPENTAX FA★28-70mmF2.8AL


 



70mmに設定し、至近距離、絞りを開いて撮影。収差が増大するためか周辺域ではピントの芯が甘い。しかし、ボケ味は美しくポートレートにも重宝するはず。
smc PENTAX-FA* 28-70mm F2.8 AL
F3.2 1/1600 ISO400 -1EV



40mmに設定して街のスナップ。とてもシャープでクリアな描写。ペンタックスZ-1時代のレンズだが、この条件では設計が古いことを感じさせない。フォーカスクラッチで瞬時にMFに移行できる。
smc PENTAX-FA* 28-70mm F2.8 AL
F8 1/1250 ISO400 -0.7EV



少し絞ると線が細く美しい描写になるのがいい。絞り値による性能変化がやや大きなレンズのようであるから、表現によって絞りを考えて設定してみたい。 smc PENTAX-FA* 28-70mm F2.8 AL
F4 1/6400 ISO400 -0.7EV


smcPENTAX FA20-35mmF4 AL


 





24mmに設定して至近距離でサボテンを撮る。画面周辺まで均質性の高い画質である。明るさを抑えたことが画質に余裕をもたらしたのか。小型軽量で使いやすい広角ズームである。
smc PENTAX-FA 20-35mm F4 AL
F8 1/500 ISO400 -1EV




わずかなタル型収差があるが、この程度なら簡単に補正できる。コントラストが高くシャープな画質に驚いている。F4という開放F値もデジタルでは気にならない。
smc PENTAX-FA 20-35mm F4 AL
F8 1/800 ISO400


smcPENTAX FA★24mmF2AL







明るい大口径の広角レンズ。やや像面の平坦性が悪い印象を持っており、フィルムを使用した時と描写が異なるのではと想像していたが全体の印象はほぼ同じになった。ボケ味も自然なレンズである。
smc PENTAX-FA* 24mm F2 AL
F4 1/1600 ISO400 -0.7EV




歪曲収差の補正もよく建築物の撮影にも向いている。透明感のあるコントラストの高い描写である。フィルム描写の印象とさほど変わらないのは嬉しい。フォーカスクラッチ機構もスナップでは便利に使える。
smc PENTAX-FA* 24mm F2 AL
F11 1/800 ISO400 -0.7EV




ペンタックス K-3での使用頻度が多かったレンズだが、フルサイズでどこまで力を出せるかに興味があったが、結果は十分すぎるほどで高画質である。やっとレンズの性能をフルに生かせる思いだ。
smc PENTAX-FA* 24mm F2 AL
F11 1/800 ISO400 -0.7EV


smc PENTAX-FA 31mm F1.8 AL Limited





世にも不思議な焦点距離の広角レンズ。性能は優秀で現行レンズとして生き残っていることも納得する。至近距離では像が少し軟らかくなる印象あり。ポートレートにも向いているレンズである。
smc PENTAX-FA 31mm F1.8AL Limited
F2 1/5000 ISO200 -0.7EV



居酒屋の主人。光の悪い条件下だが、階調をうまく繋いでくれているので救われた感がある。背景を見るとどういうわけかこの条件では二線ボケが強めに出たが、このモチーフでは気になることはない。
smc PENTAX-FA 31mm F1.8AL Limited
F2.2 1/125 ISO1600 -1EV



smc PENTAX-FA 43mm F1.9 Limited







小型軽量のレンズだが、優秀な描写だ。このレンズもフィルムとは性格が異なるような写りをする。K−1の画質のバランスが良いのであろうか。絞りの性能変化が大きいレンズで、味わいをコントロールできる。
smc PENTAX-FA 43mm F1.9 Limited
F8 1/2000 ISO400 -0.3EV




この近辺の画角はコンパクトカメラを多用していたこともあり慣れている。35mmレンズと並んで、瞬時にフレーミングが決めることができるので私にとってはとても使いやすいレンズである。
smc PENTAX-FA 43mm F1.9 Limited
F8 1/1600 ISO400 -0.7EV

smc PENTAX-FA 77mm F1.8 AL Limited






ハーモニカを持つ人。写真家の大竹省二さんが77歳になった時を祝って、この焦点距離が決められたという都市伝説があるがウラを取ってないので本当かどうかはわからない。素直な描写で軟らかいが、合焦点は線が細くシャープである。軽い中望遠レンズが欲しい人は必携。
smc PENTAX-FA 77mm F1.8 Limited
F2.8 1/800 ISO400 -0.7EV

smcPENTAX-FA★ 85mmF1.4







噺家。ポートレートための王道レンズである。室内のLED照明のみを頼りに撮影したが、K-1フォーカスの精度も申し分ない。切れ込みの良い85mmという印象はフィルム時代と変わらない。フォーカスクラッチで瞬時にMFに移行できるのは便利。
smc PENTAX-FA* 85mm F1.4
F1.8 1/640 ISO3200 -1EV




至近距離での性能を見てみる。合焦点は素晴らしくシャープである。コントラストも申し分なく往時の同スペックレンズの中でも突出した性能であると評価している。K-1のポテンシャルも十分に引き出せる
smc PENTAX-FA* 85mm F1.4
F1.8 1/2000 ISO100 -0.7EV



smc PENTAX-FA MICRO 50mmF2.8







使いやすい標準マクロレンズだけど、姿とカタチが絶望的に格好悪くて悲しくなる。高性能でコントラストも高い。明暗差の大きい条件でも階調の繋がりがとてもいい。
smc PENTAX-FA MACRO 50mm F2.8
F3.2 1/4000 ISO400 -0.7EV




マクロレンズはかつてはシャープであることが評価対象だったけれど、このレンズはボケ味にも配慮されているようである。バランスが良い描写。外観がとてもよく写るように見えないのが残念。
smc PENTAX-FA MACRO 50mm F2.8
F4.5 1/3200 ISO400 -0.3EV

smc PENTAX M50mmF1.4 + F AFadapter1.7X








絞りを開くと収差の増大のためか画面中央でもピントの芯が弱いが、少し絞れば十分に実用になる。前ボケにはクセが出たがこれはこれで評価できる描写。MFレンズがAFで使えるのは楽しい。
smc PENTAX M50mmF1.4 + F AFadapter1.7X
F4 1/2000 ISO400 -1EV




開放値近くで至近距離撮影。やはり球面収差の増大のためか軟らかい調子である。ポートレートやイメージ重視のテーブルフォトにも良さそうなので、使用に耐えないという印象はない。
smc PENTAX M50mmF1.4 + F AFadapter1.7X
F2 1/100 ISO1600 -1EV


XRリケノン 45mm F2.8






リコーとペンタックスが同じ会社のブランドになったということで記念的に使用してみた。リコーXRシリーズの最後の方に登場したパンケーキタイプの標準レンズだが、悲しくなるほど作り込みが悪い。遠距離だと解像力が足りないレンズという印象を持っていたがK-1での使用でもその印象はあまり変わらず。至近距離ではまあまあだが写りがガサツである。ボケ味にもなんかクセがある。ただ、コントラストはそこそこいいので、実用にはなる。
XRリケノン 45mm F2.8
F4 1/6400 ISO400 -0.7EV


ペンタックス K-1 レビューまとめ

今回、使用したレンズはいずれも、手元にある古い設計のFAレンズ群なのだけれど、描写に対して細かいことを言えばきりがないし、あくまでも個人的な感想だけれど、実用に適さないと思われるものはなかったように思う。
もっともフィルムでの使用と、デジタルの使用ではかなり印象が変わったレンズがあったことも確かで、不思議な感じがした。今後の研究課題ともなろう。ただし断っておくが、私が古めのFAレンズを使うことは一般的に言われるクラシックな味わいを楽しむという意味とは少し異なるのである。フツーのものがフツーに写ればレンズはこと足りると考えている私の価値観である。使用したレンズのいずれもが現代レンズのように超高性能ではないことは確かだ。

モチーフとか撮影目的に対して、レンズを特性を踏まえて選択してゆくという、少し前までは当たり前に実行していたことをあらためて認識すべきだと考えて始めている。現時点でK-1をまだアサインメントの撮影に持ち出していないのは、それらのレンズの特性を見極める必要があると考えているからで、気持ちに余裕があれば、各レンズに対する自分なりの解釈はアサインメントの撮影においても生かすことができるかもしれない。
あ、最後に忘れてましたリアル・レゾリューション・システムね。個人的にはまったく興味がないし、撮影もめんどくせえのでやりません。K-1をデフォルトの設定で撮影しても、ちょっと枚数が多くなると、うちのPCくんはストライキを起こしそうなくらいなので、デカいファイルは大嫌いです。
そこらへんにあるつまらねえビルの写真を遠くから撮って、壁の小さいタイルが一枚一枚がはっきり見えます、だからすごいでしょ?みたいな作例撮っても仕方ないでしょう?見たいですか?
あ、より鮮鋭かつ緻密な画像を得ることが悪いという意味ではありませんので念のため。このことをご了承いただき、リアル・レゾリューション・システムの詳細を知りたい方は、カタログだのカメラ雑誌などでの他のK-1レビューにお任せしときますの で、ご興味のあるかたはどうぞそちらでご確認の上判断してくださいますようにお願い申し上げます。

【メーカーサイト】
ペンタックスK-1
http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/products/k-1/



【お詫びと訂正】
2016/06/18更新:「smc PENTAX-FA 43mm F1.9 Limited 」のレンズ名に誤りがあったため訂正いたしました。
 
赤城耕一
東京生まれ。出版社を経てフリー。エディトリアルやコマーシャルの撮影のかたわら、カメラ雑誌ではメカニズム記事や撮影ハウツー記事を執筆。戦前のライカから、最新のデジタルカメラまで節操なく使い続けている。

主な著書に「使うM型ライカ」(双葉社)「定番カメラの名品レンズ」(小学館)「ドイツカメラへの旅」(東京書籍)「銀塩カメラ辞典」(平凡社)

ブログ:赤城耕一写真日録
 
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