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野寺治孝のフォトレシピ

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野寺治孝のフォトレシピ
写真家 野寺治孝が、風景、ポートレート、料理など、ジャンルごとに撮影する際のポイントを紹介
公開日:2024/07/12

【マクロ写真編】

Photo & Text 野寺治孝
こんにちは。野寺治孝です。

マクロ撮影は花や昆虫に限らず、興味をひかれたモチーフなら何でも撮ってOKです。小さなモチーフを大きくして見ると面白い発見があります。

最近の標準ズームレンズは性能が良く、単体のマクロレンズ程ではありませんがマクロ域にすれば大きく写すことが出来ます。
通常の撮影ではモチーフ探しは広い視点で見た方がいいのですが、マクロ撮影の場合は狭い視点で探してください。例えば路上に落ちているもの、機械や工具の細かい部分、テレビ画面などをアップにすると普段見ることの出来ない面白いものが見えてきます。
子供の頃に虫眼鏡でものを見ると新鮮で面白く見えた記憶はありませんか?
童心に帰ったつもりで探してみましょう。



ミノルタ X-700 100mmマクロ 絞り優先AE F5.6 ISO100
切手のデザインに惹かれ、マクロレンズで撮りたくなり撮影した1枚。古い雑誌と組み合わせると面白いのでは?と思いつき、人物の印象が強くなりすぎないように切手で顔を半分隠しておさめました。


マクロ撮影はモチーフとじっくり向かい合うことが出来ます。カメラの設定や光を変え、都度モニターで確認しながら納得の行くまでゆっくり撮ってください。
瞬発性が求められるスナップとは違った魅力のある撮影です。

注意点は絞り値です。レンズからモチーフまでの距離が極端に近いと想像以上にボケます。背景をボカしたいからと被写界深度を浅くし過ぎるとピントがどこにあるのかが分からない写真になることもあります。
コツはいつもよりも2絞り位絞るといいでしょう。

少しでもカメラ位置がズレるとピントが外れますので手持ち撮影時には注意しましょうね。コツはピントをマニュアルにして距離を固定し、体をゆっくりと前後させて合わせるといいでしょう。手持ち撮影に自信のない方は三脚を使用してください。

マクロ写真を撮ったことがない方でも、意外な面白さが発見できますよ。
ぜひチャレンジしてみてください。




ミノルタ X-700 100mmマクロ 絞り優先AE F2.8 ISO100
イタリアで買ったアンティークなスプーン。デザインが面白いのでマクロレンズで寄って撮ってみた。スプーンのフォルムが写っていないと何を撮ったのか分かなくなるので、スプーンであることが分かるギリギリのフレーミングを狙った。“寄り過ぎない”ことも大切です。




キヤノン EOS-1 50mmマクロ 絞り優先AE F2.5 ISO100
バラの花弁を1枚ずつ外してお皿の上に配置して撮った。朝の空気感を出そうと霧吹きで水を掛け、ピント位置はカメラに近い花弁に合わせました。レフ板で光を当てる時は影が強くならないように注意をしましょう。




キヤノン EOS-1 50mmマクロ 絞り優先AE F2.5 ISO100 
プールで泳いで使ったゴーグルを見たらきれいだったので、光をどう当てるか考えて撮りました。光を表現するには影を入れてコントラストを強調しましょう。ゴーグルの水滴は「どんな人が泳いだのかな」と想像させるので必須です。もし水滴がなかったら味気のない写真になっていたと思います。



キヤノンEOS-1 50mmマクロ 絞り優先AE F2.5 ISO100
本箱にペンキを塗ろうと筆を見たら、以前塗ったペンキがカラフルに乾いていました。筆先に水色のペンキを付けて、白い壁の前で撮ったもの。「面白いな」という被写体を発見したら、感動が薄らぐ前に直ぐに撮りましょう。



キヤノン EOS-1 100mmマクロ 絞り優先AE F2.8 ISO100
バーで飲んだカクテルがきれいなピンク色だったのでプールを背景に撮った。主役のモチーフをカッコよく撮りたいと思ったらシンプルな背景を選ぼう。ちなみにコップに付いた水滴は広告業界ではシズル感と言います。



ミノルタ X-700 50mmマクロ 絞り優先AE F3.5 ISO100
最初は便せんや封筒と組み合わせて撮ろうとしたが、今ひとつしっくりこず。切手を見つめていたら、突然閃いて窓に貼り霧吹きで作った雨粒で撮影しました。逆光で露出が難しい場合は段階露光で撮る事をお勧めします。



ミノルタ X-700 100mmマクロ 絞り優先AE F5.6 ISO100
アンティーク店で見つけたマッチの、パッケージがフォトジェニックだったので背景を写さずに撮影しました。ただのデザインの複写になるのを避けるため、箱を開けてマッチ棒を一本取り出した。ちょっとした工夫は大切です。



キヤノン EOS-1 50mmマクロ F2.5 絞り優先AE ISO100 
ホテルの庭で拾ったプルメリアをお土産で買ったTシャツを背景に撮りました。レフ板は白い紙で代用。使えるものは何でも利用しましょう。白い花だったので露出が暗くならないようにプラスに補正しながら3〜5カット撮りました。

 

<野寺治孝の使用カメラ>
 


キヤノン EOS R5



       
キヤノン EOS-1



ミノルタX-700
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カメラのナニワ
野寺治孝 NODERA HARUTAKA
1958年千葉県浦安市生まれ。
本郷高校デザイン科、にっかつTV映画芸術学院卒業。広告デザイン事務所、郵便配達員、牛乳販売業など職を転々とするが1984年にポストカードの自費制作販売を機にプロ写真家として活動を開始する。1991年に「有限会社スローハンド・野寺治孝写真事務所」を設立。多岐にわたる被写体を空気感とストーリーを感じさせる独自の作風で多くの作品を発表している。


<主な著書>

個性あふれる“私らしい”写真を撮る方法


カッコいいスナップ写真の撮り方


写真の撮り方レッスンブック


トラベル・フォトレシピブック


パーフェクト・フォトレシピブック


レンズ1本で撮るフォトレシピ
写真がもっとかんたんで楽しくなる野寺流撮影講座