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イベントレポート

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イベントレポート
公開日:2024/11/13

カメラ・レンズ・撮影機材の銘品が集結「第4回上野クラシックカメラ博」開幕レポート!

text & photo 鹿野貴司


2024年11月13日(水)から19日(火)まで、松坂屋上野店・6階催事場で「第4回上野クラシックカメラ博」が開催されている。主催は写真機商振興会で、カメラ店と協賛メーカー計12店舗が参加。中古品を中心にフィルムカメラやオールドレンズ、一部ではデジタルカメラも販売している。16日(土)・17日(日)にはジャンクセールも開催される。

オープン前日、設営作業中の会場を取材すると、手頃な価格の実用品が多い印象を受けた。もちろんコレクターが喜びそうな希少品もあるが、中古カメラ市場も少し落ち着きをみせているのだろうか。そんな中で見つけたオススメのカメラをピックアップしてみた。

*これらの商品は、11月12日の取材時に撮影した商品です。現在の店頭在庫を保証するものではありません。



シュタインハイル・カスカII
オルソティグマット3.5cmF4.5+ファインダー付、クルミナー5cmF2.8、8.5cmF2.8、13.5cmF4.5、カメラケース・セットケース付属
330,000円
日東商事


レンズメーカーとして知られるドイツ・シュタインハイルが1948年に製造。売れずに短命で終わったカメラだが、斬新なデザインは今でも通用しそうだ。シャッター速度を背面のレバーで設定する構造も他に類を見ない。本体に交換レンズ一式、外付けファインダー、さらにケースが2つも付属。しかも程度は良好でこの値段だ。



(左)フジGA645Ziプロフェッショナル
231,000円
(右)フジGS645Sプロフェッショナル
99,000円
カメラのヤマゲン


実用的な中判カメラといえば、フジの645ではないだろうか。世代はさまざまあるが、がっつり使うなら1998年発売、55-90mm(34-56mm相当)のズームレンズを搭載したGA645Ziがオススメ。一方のGS645Sは1984年発売、37mm相当の広角レンズを搭載した二重像合致式カメラ。スナップや山岳での撮影にぴったりだ。



(左)コニカ1型
12,000円
(右)コニカ・オートフレックスT3+ヘキサノンAR50mmF1.7
17,000円
スズキカメラ商会


筆者はかつてヘキサーを愛用していたため、コニカの名前につい反応してしまう。1型は1948年発売。当時の価格で19,700円という高級品だった。オートフレックスT3は筆者も所有しているが、今フィルム一眼レフを手にするならおすすめの名機。重たいけど。



(左)シュナイダー・クロイツナッハ コンポノンS50mmF2.8/Mマウント改
79,000円
(中央)ライトレンズラボ28mmF2.8“周九枚”
118,800円
(右)シーガルM35mmF1.7
66,000円
焦点工房


ライカMマウントレンズを3本チョイス。コンポノンSは引き伸ばしレンズの銘玉を改造したもの。話題の周九枚も通常価格より安くなっていた。そして世界500本限定のシーガルも見逃せない。



(左)ローライフレックス2.8F
275,000円
(右)ローライフレックス・オートマットMX
77,000円
カメラのゴゴー商会


ローライ二眼をふたつ。キングともいえる2.8Fもいいが、その1/4近い価格で買えるオートマットMXも魅力。1951年発売だから、おそらく70年近く経っているはずだが、外装もピカピカだ。



マミヤ・ピストルカメラ
990,000円
カメラのゴゴー商会


設営中の会場をぐるっと見渡した中では、もっとも高価な一品。1954年に製造され、市販はされず警察に数百台が納入された。ちなみに35mmフィルムを装填するハーフサイズカメラだ。



(左)ローライフレックスSL35+プラナー50mmF1.8
35,000円
(右)プラウベル69Wプロシフト
230,000円
セキ写真


古き良き西ドイツ製カメラをふたつ。1970年発売のローライフレックスは外装もさることながら、シャッターや巻き上げの感触も良好。プラウベルは1979年発売の6x9判カメラ。21mm相当のシュナイダー製超広角レンズは簡単にアオリができる。当時の建築写真家はこういうものを使う“ザ・職人”だったわけですな。



グラフレックス・スピードグラフィック+137mmF4.7
39,000円
カメラのアート


1950〜60年代に活躍した報道用カメラ“スピグラ”。試合中のドジャース・大谷翔平選手をこれで撮影しているカメラマンがいて、ちょっとネットで話題になった。

(編集部:注)
2024年7月、このカメラで大谷翔平選手を撮影した写真家・Jared Polin氏の投稿がInstagramを中心に話題となった。https://www.instagram.com/p/C9Uq-m0ue01/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA%3D%3D




カメラストラップやクリーナーでおなじみの蔵CURAでは、ケースやフィルムなども販売している。



16日(土)・17日(日)に開催されるジャンクセールのワゴンがこちら。よく見ると「これ使えるのでは?」というものも。もちろんそこは自己責任でご判断を。
 

鹿野貴司のイチオシ


キヤノンT90+FD28-55mmF3.5-4.5
18,800円
カメラのアート


今から35年ほど前、高校生だった僕は写真を始めたのだが、当時欲しかったのがこれ。すでにEOSシリーズが登場していて、結局そっちを買ってしまったのだが、2万円でお釣りがくる今もなお、手にすると憧憬の念がよみがえる。FD35-70mmF3.5-4.5付き・15,800円もあった。設営中でレジが稼働していなかったため、残念ながら購入できず。いや憧れは憧れのままがよいのかもしれぬ。
 

<開催概要>

「第4回上野クラシックカメラ博」
会期:2024年11月13日(水)〜11月19日(火)
時間:10:00〜18:30(最終日は16:00閉場)
場所:松坂屋上野店 6階 催事場
〒110-8503 東京都台東区上野3-29-5

イベント情報:https://camerafan.jp/cc.php?i=1057
鹿野貴司(しかの たかし)

1974年東京都生まれ。多摩美術大学映像コース卒業。さまざまな職業を経て、フリーの写真家に。広告や雑誌の撮影を手掛けるほか、ドキュメンタリー作品を制作している。写真集『日本一小さな町の写真館 山梨県早川町』(平凡社)ほか。著書「いい写真を撮る100の方法(玄光社)」

ウェブサイト:http://www.tokyo-03.jp/
Twitter:@ShikanoTakashi

<著書>

いい写真を撮る100の方法