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イベントレポート

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イベントレポート
公開日:2025/02/28

松屋銀座「第52回 世界の中古カメラ市」活気あふれる初日をレポート

Photo & Text 鈴木誠

会場の様子

「第52回 世界の中古カメラ市」が東京都中央区の松屋銀座 8階イベントスクエアで2月26日(水)に始まった。活気あふれる開催初日の午後、カメラファン編集部と会場パトロール中にビビッときたアイテムについて、ここではお届けする。なお、掲載アイテムはいずれも取材時点での価格・在庫状況であることをお含みいただきたい。

世界の中古カメラ市は、1972年創立のI.C.S.輸入カメラ協会によるイベント。松屋銀座では1979年の「第1回 世界の中古カメラ市」から毎年1回のペースで開催され、2020年からは年2回の開催となっている。52回目となる今回は、I.C.S正会員・協賛あわせて23のブースが並んだ。



ライカA 50/3.5(エルマックス)……1,980,000円
カメラのキタムラ / 新宿 北村写真機店


中古カメラ市に初めて出店するというカメラのキタムラ。「新宿 北村写真機店」の名を冠しているところからも想像できるように、気絶レベルの珍しいライカやレンズが多く並んでいた。今年はライカ市販100周年ということで、ライカの原点であるA型をピックアップ。1925年に発売され、50mmレンズ固定式、距離計も別体というシンプルの極み。写真は取材時点で3台並んでいたA型のうち、エルマックスのレンズがついたシリアル3ケタ台の個体。ちなみに他の2台は旧エルマーと新エルマー。感服であります。



(左)キヤノン7……18,000円
(右)キヤノン7……16,500円
日東商事


キヤノン製ライカマウント機の優秀さは知られているが、やはり本家ライカの人気には及ばぬ実情。ライカの中古レンズフィルター1枚分ぐらいの値段でボディが買えてしまう。この2台の価格差はシャッター幕の状態によるもので、ヨレが少ない方が価値が高い。キヤノン7はチタン幕のシャッターを採用しており、以前は他機種用のチタン幕を流用するなどの修理方法があったものの、今では難しいのだとか。というわけで、自分もカメラも元気なうちに楽しみたいのがキヤノン7だ。



(左)オリンパス OM-1 Silver……17,600円 / オリンパス G.ZUIKO AUTO-S 55mm F1.2……55,000円
(右)オリンパス OM-2 Black……15,400円
カメラのヤマゲン


OM SYSTEM(旧オリンパス)のミラーレスカメラ「OM-3」が話題の昨今。そのデザインモチーフとなったのが銀塩一眼レフカメラのOM-1である。これを見ると、グリップ部分の突出がないスタイル、ペンタ部のシャープな造形など、デジタルのOM-3も頑張っているなあと感じさせられる。とはいえ、本物のシルバークロームやブラックペイントを前にするとデレてしまうのが悲しきカメラおじさんのサガであり。組み合わせた55mm F1.2のレンズも、アンバー系のコーティング反射に70年代の輝きがあった。



(左)京セラ コンタックスG2ブラック+Planar 35mm F2……374,000円
(右)京セラ コンタックスG1(ROM改造)+Planar 45mm F2……132,000円
ペンギンカメラ


無骨なカメラに魅力を感じるのは、筆者が平和ボケしているからなのか。優美なシャンパンゴールドのチタン外装で知られるコンタックスGシリーズも、とりわけブラックに注目してしまう。G2ブラックは数量限定ということもあり、相応の価格差。このG1/G2はどちらも1990年代に登場したAFレンジファインダーカメラで、カールツァイスの各種レンズが用意されていた。取材中、カメラファン編集部が恍惚の表情で空シャッターを切っていたのは黙っておこう。



(左上)ニコン Z5……110,000円 / NIKKOR Z 35mm f/1.8 S……99,000円
(右上)ソニー α7 III……187,000円 / Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA……69,300円
(右下)パナソニック LUMIX GX7 Mark III + LUMIX G 12-32mm……93,500円
(左下)シグマ fp + 45mm F2.8 DG DN | Contemporary……198,000円
富士越写真機店


中古カメラの魅力はクラシックだけにあらず。あえて数年前のデジタルカメラを現実的に選ぶスタイルも提案したい。「ニコンZ5」は2020年発売、一般的な撮影を楽しむには、この価格とスペックは素晴らしいバランス。ソニーの「Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA」は2013年に初代α7/α7Rと同時に登場したレンズで、ツァイス銘ならではの金属外装やフードの造形が魅力。α7 IIIぐらいからソニーを使い始めた人には、もしかしたらあまり知られていないレンズなのではないかと。

「LUMIX GX7 Mark III」(2018年)はマイクロフォーサーズ機なので一回り小型。写真機好きのココロを射抜くスタイリングとシャッターフィーリングを試してほしい。それと、Sigma BFがバズっているので「シグマfp」(2019年発売)にも注目。これも斬新なカメラだが、今となっては表面仕上げにカメラらしさを感じてしまうのが不思議だ。付属の45mmレンズはAFレンズらしからぬ仕立ての良さ。



(左)軍用ボルシー(PH-324A)……88,000円
(右)ローライ35(ドイツ製)……66,000円
三共カメラ


日本人は小さいものを作るのが得意というが、日本発ではないコンパクトなカメラを発見。軍用ボルシーはアメリカ製で、レンズもアメリカのウォーレンサック。天面プレートにU.S.ARMYとSIGNAL CORPS(通信隊)の文字がある。軍用といいつつ革ケースもひたすらに可愛い。

ローライ35は、二眼レフのローライフレックスで知られるドイツのカメラ。シンガポール製もあるが、この個体はカールツァイスのテッサー40mm F3.5を搭載するドイツ製。巻き上げレバーが左手側だったり、ピント合わせが目測だったりと色々あるけれど、このスタイリングで全てが許せる。2024年にMiNT Cameraが発売した「Rollei 35AF」をキッカケに人気再燃か?



コニオメガ プレス + ヘキサノン60mm F5.6……48,000円
スズキカメラ商会


全く知らなかったカメラに出会うのも中古カメラ市の魅力。ということで、出自や操作方法について教わってみた。本機はコニカプレスの名で国内流通した6×7のプレスカメラ。製造は日本だが、主にアメリカ市場で販売されたという。本個体は距離ダイヤルがメートル表記だった。正面から見て左側面の下にあるレバーを引き出して押し込むと、フィルム送りとシャッターチャージが行われる。グリップとシャッターボタンが左手側にあり、ストロークの深いボタンをブラさずに押し込むには修行が必要そうだ。


裏蓋を開けたところ。120フィルムを使用する。



ジャンクコーナーも中古カメラ市の醍醐味だ。

なお、3月1日(土)には各店ブースに掘り出し物が並ぶ「理由ありセール」、3月2日(日)17:00〜19:00、3月3日(月)16:00〜18:00にはタイムサービスを実施予定。期間中は毎日19:00まで(最終日は12:00まで)、査定料いらずの「カメラ買取カウンター」も展開している。2月27日〜3月2日はパシフィコ横浜の「CP+2025」も重なり、新品と中古、2つのカメラ沼を楽しめる至福の週末となりそうだ。
 

<開催概要>

「第52回 世界の中古カメラ市」

開催日時:2025年2月26日(水)〜3月4日(火)
開催時間:11:00〜20:00(2日は19:30閉場、最終日は17:00閉場)
会場:松屋銀座・8階 イベントスクエア
入場:無料
主催:I.C.S 輸入カメラ協会
http://ics1972.jp/
鈴木 誠(すずき・まこと)
ライター。カメラ専門ニュースサイトの編集記者として14年勤務し独立。会社員時代より老舗カメラ雑誌やライフスタイル誌に寄稿。現在は楽器やオーディオ&ビジュアルの専門誌にも関わる。趣味はドラム/ギターの演奏とドライブ。日本カメラ財団「日本の歴史的カメラ」審査委員。YouTubeチャンネル「鈴木誠のカメラ自由研究」
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