TOP > コンテンツ一覧 >

ショップレポート

63
ショップレポート
全国の中古カメラ店と店頭で出合った魅力的なカメラたちを紹介
公開日:2024/12/25

サイトウカメラ〜プレミアムなライカから最新ミラーレスカメラまでそろうカメラ店〜

Photo & Text:鹿野貴司


冒頭から景気の悪い話で恐縮だが、仕事で地方都市へ行くと、「◯◯カメラ」という看板を掲げながら、とうの昔に閉店したと思われる空き店舗をよく見かける。おっ、ここはまだ現役だ!と思って中を覗くと、元カメラ店をリノベーションした飲み屋さんだったということもある。

いまやネット通販や家電量販店でもカメラは買えるし、現像やプリントといったDPEも愛好家は存在するものの、かつてのように各家庭がフィルムで記念写真を撮っていた時代とは経済規模が違う。どこの町にもあったようなカメラ店が淘汰されるのは時代の流れともいえるが、一方で中古カメラに強いカメラ店は今も元気だったりする。中古商品は、基本的に一点モノだし、新品はネットで購入するけれど、中古は現物を見たいという人も多いからだろう。

神奈川県大和市のサイトウカメラもそんなお店のひとつ。昭和55(1980)年に創業し、現在の斎藤亮社長で2代目。ちなみに創業者の斎藤善信会長は今も現役で店に立つ。息子である社長いわく「異様に元気な78歳」。僕自身はサイトウカメラの名前には聞き覚えがあるけれど、さすがに行ったことはないなぁ…と思っていたのだが。到着して外観、さらに店内に見て記憶が蘇った。だいぶ前、発表と同時に予約が殺到したカメラがあった。そうとは知らず、数日後に某量販店を訪れると「今からのご予約ですと2回目か3回目の出荷分で、少々お待ちいただきます」。仕方なく予約はしたものの、発売直後にどこかで「小田急線大和駅近くのカメラ店に在庫があるらしい」と聞き、電話をすると「ええ、ありますよ」。こ、こ、これから買いに行きますので!と取り置きをお願いして、無事購入することができた……という過去を思い出した。そうした争奪戦を何度も経験しているので、もはやカメラが何だったのか思い出せないのだが、その折はありがとうございました。

 

小田急江ノ島線、相模鉄道線の大和駅から徒歩3分ほど。間口をみると小さなお店に感じるが、奥が長い。




パノラマのように広がる特徴的なショーケース。この光景が印象的に残っていた。


斎藤亮社長。小学生の頃に父がこのお店を開いた。学校が終わると自宅ではなくこちらへ直帰していたという。当時相手をしてくれたカメラメーカーの新人営業マンとは、立場が変わった今でも話すことがあり、最近になってお店の歴史を感じるようになったという。

その店内は一見すると“大きな中古カメラ店”だが、各メーカーからの信頼もあり、新品の仕入れには自信があるらしい。以前は常連さんを中心にフラッグシップ機が売れたそうだが、最近は一番動くのがニコンのZ30やZ50、キヤノンのEOS R50といったエントリー機だという。カメラ全体の価格が上昇していることもあるのだろうが、画質や性能が上位機と遜色ないものが多く、写真歴の長い常連さんが2台目としてエントリー機を選ぶことが増えたそうだ。

また家族写真を撮るためにカメラを買うという、ライト層のお客さんも以前より多いという。そうした人たちは以前なら家電量販店で購入するのが一般的だったが、ネットで同店のほうが安いことを知るのだろうか。一方でフラッグシップ機も含めた上位機も根強いニーズがあり、大手量販店ではなかなか購入できない人気モデルでも、比較的スムーズに仕入れることができるという。

 

最新型のデジタルカメラとレンズは、新品も中古品も充実!


キヤノンのEOS Rシリーズは新機種や上位機種への買い替えも多く、新しくて程度のいい中古在庫が多い。お買い得な現行機種をピックアップしてみた。

左:EOS R6 Mark II+RF35mm L VCM
豊富なラインナップを誇るEOS Rシリーズの中で、スペック・サイズ・価格のバランスがもっともとれているのがR6 Mark
IIではないかと思う。レンズは個人的に今一番使ってみたい一本をチョイス。35mm好きとしては気になって仕方がない。
カメラボディ:28万5800円
レンズ:21万8000円

右上:EOS R3
きっとEOS R1に買い替えたお客さんの下取りなんだろうな…と勝手に推測。フラッグシップ機が出た今も、あらゆるジャンルで十分過ぎるスペックだと思う。
52万8000円

右下:EOS R7
シグマやタムロンの対応レンズが登場して、俄然注目度が高くなったEOS RシリーズのAPS-Cフォーマット機。家族用にEOS
R50を持っているのだが、これに買い替えて自分用にしたいなぁ。
15万2900円





取材時もカウンターの奥の棚には、売れ筋の新製品カメラの箱がずらり。当然ながら置ききれず、奥にも相当積み上がっているという。

もともと同店は厚木基地に近いという立地から、航空写真の愛好家が立ち寄る場所だった。超望遠レンズは売る人も買う人も多く、アマチュアには高値の花とされていた頃から常に在庫が充実していたという。
「ここはちょっと南に行けば湘南の海があるし、西に行けば丹沢の山々もあります。だから最近はさまざまなフィールドのお客様がいらっしゃいます。厚木基地の離発着が減ってしまったので、航空写真の方は昔ほど多くないですが、その代わりマリンスポーツ、野鳥、モータースポーツ、あとは競馬を撮るという方もいらっしゃるようになりました」(斎藤社長)
 

取材時も長玉がずらりと並ぶ一角があったが、社長いわく「今日はちょっと少ないですね」。


ライカなどのコレクターズアイテムがそろうお店 


銀座のカメラ店のように訪日外国人がたくさん訪れることはないだろうが、そんな人たちが喜びそうな金ピカカメラのコーナーも。


ライカの中古在庫も充実している。付き合いの長い常連さんから、いい具合に買い取りができているという。東京都心のお店のように店頭に並べたら朝一番に売れるということはないが、来客は全国各地からあり、やはり商品の動きは激しいらしい。
 

ちょうどM6の限定モデルが揃っていた。
写真左:ライカM6ロイヤルウェディング+ズミクロンM35mmF2
デンマーク王族の結婚記念として、1995年に限定200台で発売されたもの。
179万8000円

中央:ライカM6ジャガーXK+エルマーM50mmF2.8沈胴
1998年に発売された英自動車メーカー・ジャガーとのコラボ製品。XKエンジンの50周年にちなんで50台限定。
169万8000円

右:ライカM6プラチナ+ズミルックスM50mmF1.4
写真術発明150周年とライカカメラ75周年を記念し、1989年に1250台を発売。トップカバーとベースプレートはプラチナ仕上げという一品。
169万8000円
 

ライカ純正レンズも新旧さまざまなモデルが揃う。

一方でオールドレンズやフィルムカメラも多く、いまも店内でフィルム現像を行っていることもあって、フィルムを楽しむ若いお客さんもやってくる。そこで店頭で見つけたフィルムカメラから気になるものをピックアップしてみた。
 

フジカドライブ
僕も愛用している35mmハーフサイズカメラ。底面にある大きなダイヤルを回すと、ゼンマイがチャージされてフィルムを巻き上げる動力になる。
1万9800円


ニコン28Ti
ニッコール28mmF2.8レンズを搭載した35mmコンパクトフィルムカメラ。姉妹機の35Tiと並んで、こうして中古カメラ店で見かけると欲しくなる一台。ニコンらしい質実剛健さとともに、アナログの指針がたまらんのですよ。
16万9800円
 

キヤノンNew F-1+AEファインダー
NewFD50mmF1.4
これも死ぬまでに一度使いたいカメラ。中学〜高校生の頃に憧れたものの、その頃すでにキヤノンはEOSシリーズを投入。いまだに何度か空シャッターを切ったことしかない。買って帰るべきか、この商品撮影をしながら悩んでいた(我慢)。
カメラボディ:42000円
レンズ:12800円

ライカや長玉といった百万円単位の品から、1万円でお釣りが来る実用品まで、長いショーケースにはさまざまなカメラやレンズが並ぶサイトウカメラ。取材中は日没後というタイミングもあって、ふらっと入ってきて、少し眺めて帰るというお客さんの姿を目にした。きっと通勤の通り道なのだろうが、お話を伺っていると地元や常連さんに愛されているお店だということを感じた。地元ではない僕もお世話になったわけだが、在庫はこのCAMERA fanでチェックできるので、まめにチェックしていこうと思うのであった。

 

<ショップ情報>

サイトウカメラ
〒242-0017 神奈川県大和市大和東3-2-17
TEL:046-264-1517 FAX:046-264-6873
営業時間:10:00〜19:00
定休日:なし(1/1〜1/3をのぞく)
最寄り駅:小田急江ノ島線、相模鉄道線 大和駅
ショップサイト:https://www.saito-camera.com/


コンテンツ記事関連商品
中古
EOS R7 RF-S18-150 IS STM レンズキット
Canon (キヤノン)
レンズ交換式
¥193,800
マップカメラ
中古
EOS R8 ボディー
Canon[キヤノン]
デジタルカメラ
¥196,900
フジヤカメラ店
中古
ライカ M6用カメラケース
ライカ
その他
¥7,700
カメラのナニワ
中古
EOS R7
CANON
レンズ交換式
¥152,000
KOMEHYO(コメヒョウ)
中古
【中古】 ライカ(leica) M6TTL 0.85 ブラック
ライカ(leica)
フィルムカメラ
¥599,800
トップカメラ
鹿野貴司(しかの たかし)

1974年東京都生まれ。多摩美術大学映像コース卒業。さまざまな職業を経て、フリーの写真家に。広告や雑誌の撮影を手掛けるほか、ドキュメンタリー作品を制作している。写真集『日本一小さな町の写真館 山梨県早川町』(平凡社)ほか。著書「いい写真を撮る100の方法(玄光社)」

ウェブサイト:http://www.tokyo-03.jp/
Twitter:@ShikanoTakashi

<著書>

いい写真を撮る100の方法