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イベントレポート

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イベントレポート
公開日:2025/04/16

オールドレンズが熱い!「オールドレンズフェス2025春」新宿マルイ メン イベントレポート

Photo & Text 鹿野貴司
オールドレンズの総合イベント「オールドレンズフェス」が、東京・新宿マルイ メンで4月12日から始まっている。というわけで最初の週末が過ぎ、ひと段落した平日に取材に訪れたが、11時の開店と同時にお客さんの姿がちらほら。どうやら展示をご覧になりたい方々のようだった。ここ最近はミラーレス機のファインダーがより高精細化したり、どんなレンズもAF化するマウントアダプターが発売されたり、オールドレンズを楽しむための敷居がさらに低くなっている。オールドレンズ熱はなおもアツいことを取材開始早々に感じさせた。


正面玄関から入ってすぐに1階の会場が。

そもそもこのイベントは10年ほど前、写真家・上野由日路さんが原宿・デザインフェスタギャラリーで始めたもの。現在も続いている「オールドレンズ写真学校」の受講生によるグループ展という趣旨だった。その展示で来場者から口々に言われたのは「この作品を撮ったレンズが欲しい」というもの。そこで即売会も始めた。イベントの拡大に伴い、会場も東京都心のマルイ店舗へ。前回は新宿マルイ 本館、そして今回は初めて新宿マルイ メンでの開催となった。同店は趣味性の高い尖ったテナントが多く、スペースも1階・2階・8階と3フロアにまたがってかなりの広さがある。


イベントを主宰する上野由日路さん。オールドレンズのワークショップを企画する一方、自身の仕事であるライブや人物の撮影でも積極的にオールドレンズを使っている。

取材日は8階はお休みで、東京・笹塚にある近江寫眞機店と、オールドレンズのシェアリングサービスを展開するTORUNOが1階にブースを移して営業中。TORUNOは本来レンタルを展開している会社だが、ここでは近江寫眞機店とともに販売を行っている。スーパータクマーなど1万円前後で買える定番のレンズから、僕も見たり聞いたことがない珍品まで、品揃えはバラエティ豊かだ。その一部を紹介しよう。


近江寫眞機店では比較的リーズナブルで一般的なフィルムカメラやオールドレンズを揃えている印象。


定番アイテムともいえるカールツァイスイエナのテッサー50mmF2.8。鏡筒がゼブラ柄のM42マウントで、あらゆるカメラにマッチしやすい。33,000円/近江寫眞機店


W-ニッコール・C3.5cmF2.5のL39マウント版。僕はこれのニコンSマウント版を持っているのだが、終戦直後の70年以上前に作られたとは思えないほどよく写る。味とともに描写力も欲しいという人におすすめ。66,000円/近江寫眞機店


三脚に立てられていたSMCペンタックス500mmF4.5。ピントや絞りのリングも滑らかで、ペンタキシアンはぜひいかがでしょうか? もちろんカメラ(ペンタックスME)も販売している。レンズ24,200円、カメラ16,500円/ともに近江寫眞機店


なかにはこんな珍品も。双眼鏡にハーフサイズカメラがくっついた日菱のニクノン。33,000円/近江寫眞機店


こちらはTORUNOのショーケース。レア度の高いレンズが並ぶ。


Xキヤノン100mmF1.5という、レントゲン撮影用レンズを富士GFX用に改造したもの。カリカリにシャープかと思いきや、とてもソフトな描写だとか。272,800円/TORUNO


M42マウントに改造された旧ソ連・ロモ製のシネレンズ、OKC 6-75-1(75mmF2)。ピントの合った部分はキレキレで、それでありながらボケ味も美しいという銘玉だ。162,800円/TORUNO


カールマイヤー・スピード5cmF1.0。名前はドイツ風だが、米シカゴにあったメーカー。さまざまな個性的なレンズを送り出している。748,000円/TORUNO


オールドレンズの横綱ともいえるズノー製品も。左はかなり珍しい10cmF2、お値段は1,078,000円。右手前は5cmF1.9でL39マウントへの変換アダプターが付いて195,800円/ともにTORUNO

さらに「オールドレンズフェスショップ」と銘打って上野さんも自らのコレクションを中心に販売していた。


宮崎光学でライカMマウントに改造されたリュオ・キノ50mmF2.8。上野さんに聞き忘れてしまったが、たぶん100年くらい前のレンズだと思う。275,000円/オールドレンズフェスショップ


オリンパスPEN FTと40mmF1.4のセット。65,000円/オールドレンズフェスショップ


そして僕が個人的に一番欲しかったのが、左のボワイエ・トパーズ45mmF2.8。焦点距離が好みというのもあるけど、青く光るレンズの佇まいと「PARIS」の刻印がたまらない。ライカMマウント改造品で85,000円。右のボワイエ・サフィール50mmF2.8はL39マウントで185,000円。/ともにオールドレンズフェスショップ


というわけでボワイエ・トパーズを取材カメラに装着して、上野さんをモデルに試写。こんなこともあろうかと、焦点工房のAFマウントアダプターを持参していた(のでAFで撮影)。フランス製レンズらしい繊細な描写で、ハイライトが盛大に滲む。

即売ブースは19日(土)・20日(日)にはカメラのヤマゲン、カメラのナニワ/レモン社、焦点工房も加わり、1階から8階へと移る。その8階では当サイトを運営する玄光社も、オールドレンズやポートレート撮影に関する書籍を会場限定価格で販売する。また会場内のステージでは19日(土)13〜14時にはオールドレンズに関する書籍を多数手掛ける澤村徹さんと上野さんの今話題の中華レンズに関するトークイベント「アンジェニューと球面ズミのアレ(仮)」が行われる。無料だが定員は先着20名とのこと。

さらに8階にはスタジオセットも組まれ、両日とも13〜18時のあいだ、5分間500円でモデル撮影が体験できる。モデルは19日(土)が彩夏子さん、20日(日)がMaiさん。この撮影、なんと会場で販売されているオールドレンズを借りて試写することができる(一部は対象外)。オールドレンズは好みや相性、さらに個体差もあり、使ってみないとその人にとって良し悪しがわからないもの。5分間とはいえ試写できるメリットは大きい。


試写用のマウントアダプターも各種用意されており、大半のレンズは自分のカメラに装着できるはずだ。


こちらは1階で展開していたカメラバッグ「LAUT Keiko Kaji」。展示即売は17日(木)までだが、実用性とともに日本製の品質と、既存のカメラバッグにはないファッション性を追求している。写真は超軽量なショルダータイプ「カメラバッグストラップL」で、左のDelightは32,780円、右のIgniteは35,200円。


ブランドプロデューサーの梶敬子さん。プロのカメラマンとして活躍する一方、おしゃれなカメラバッグが少ないことから、自らブランドを立ち上げた。

いろいろなアイテムを紹介してきたが、「オールドレンズフェス」のルーツは展示。1階と2階では会期中、さまざまなオールドレンズ作品を展示している。すべての作品には撮影したレンズが明示されており、興味のある人には参考になると思う。というか僕も参考になりました(笑)。


1階では「オールドレンズポートレート写真展」を展開


2階は「オールドレンズフェス写真展」。公募による参加者のほか、19日(土)のトークイベントに出演する澤村徹さんの作品を展示。


2階には前回のフェスのフォトコンで澤村徹さんによって選ばれ、グランプリを獲得した中耶莉佐さんの個展「lento」も。

即売会でも可能な限り、展示作品に使われたレンズを揃えたとのこと。買う気まんまんな人から、財布が軽くなるのが怖い人まで、それぞれの目線でイベントを楽しんでほしいと思う。


画像提供:(株)丸井グループ
会場のある新宿マルイ メン。靖国通り沿いに面しており、地下鉄新宿三丁目駅からも近い。
 

<イベント概要>

イベント名:「オールドレンズ・フェス2025春」
会期:4月12日(土)〜20日(日)
11:00 〜 20:00(営業時間は店舗と同じ)
入場料: 無料
場所:新宿マルイ メン
〒160-0022 東京都新宿区新宿5丁目16−4
フロア:1階、2階、8階特別会場
公式サイト:https://oldlensfes.com/
地図はこちら


<会期中の土日限定!中古カメラ・レンズの販売>

会場:8階イベントスペース
*近江寫真機店、TORUNO、LAUT、オールドレンズフェスショップは、平日も1階で販売する

【即売会と出店社】
2025年4月19日(土)・20日(日)8階特別会場
・TORUNO
・近江寫眞機店(カメラファン加盟店)
・カメラのヤマゲン(カメラファン加盟店)
・カメラのナニワ/レモン社(カメラファン加盟店)
・焦点工房
・オールドレンズフェスショップ
・玄光社(書籍販売)




「オールドレンズフェス2025春」 新宿マルイ メンにて開催
https://camerafan.jp/cc.php?i=1106
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鹿野貴司(しかの たかし)

1974年東京都生まれ。多摩美術大学映像コース卒業。さまざまな職業を経て、フリーの写真家に。広告や雑誌の撮影を手掛けるほか、ドキュメンタリー作品を制作している。写真集『日本一小さな町の写真館 山梨県早川町』(平凡社)ほか。著書「いい写真を撮る100の方法(玄光社)」

ウェブサイト:http://www.tokyo-03.jp/
Twitter:@ShikanoTakashi

<著書>

いい写真を撮る100の方法