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イベントレポート

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イベントレポート
公開日:2025/07/16

PAF(フォトアクセサリーフェア)2025東京〜後編〜

Photo & Text 鹿野貴司
前編に続き、7月11日(金)・12日(土)に東京都立産業貿易センター浜松町館で行われたPAF(フォトアクセサリーフェア)2025東京から、注目のアイテムを取り上げる。


焦点工房(レンズ)





レンズのデパートといっても過言ではない焦点工房。ブースにはあらゆるレンズやマウントアダプターが所狭しと並べられていたが、注目の新製品はMegadap ETZ21 Pro+(写真左)。ソニーEマウントレンズをニコンZマウントのボディに装着し、オートフォーカスで絞りも連動。ソニーEからニコンZへ移行したいユーザーはもちろん、買い足しでニコンZfなどを考えているソニーEユーザーも見逃せない存在だ。前型から「+」で進化した主なポイントは、カメラへの装着部分にゴムシーリングを採用したことや、MF時のフォーカスエイドに対応したこと。またソニー製マウントアダプターLA-EA5を介して、ソニー/ミノルタAマウントレンズが使えるようになった。

 

Evoto(レタッチソフト)







大量の人物撮影をこなすカメラマンに向けて、AIを駆使したレタッチを提供するサービス。人物に特化した機能が目立つが、肌の処理はもちろんのこと、背景の塗り足しや衣装のシワ取りなどもAIで簡単。月間の処理枚数に応じて価格が変わるが、写真館やブライダルなど大量の撮影をこなすカメラマンなら費用対効果は高いはずだ。

 

NiSi(フィルター)





今回はマグネット式フィルターの出展が目立ったが、各社似ているようで微妙に違う。NiSiのJetMag Proは独自のロック機構を採用。装着したフィルターを指標まで回転させると強力なロックがかかり、再び少し回せば簡単に外すことができる。スチールグレーの枠やキャップも高級感がある。

 

UNPLUGGED STUDIO(ストロボ用品)





写真家である細野晃義さんが、アンブレラやソフトライトボックス、レフ板といった照明の周辺アイテムを実用性第一で開発。主にAmazonで販売している。個人で展開しているので知る人ぞ知る存在だが、そうした商品を実際に手に取ったり、関係者の話を聞けるのもこうしたイベントの利点だ。

 

アガイ商事(照明)





大小さまざまな照明機材を展示。タブレットサイズのLEDパネルライト、amaranのPano 60cは、ソフトボックスやディフューザー、ライトコントロールグリッド、ケースなども付属して2万6400円のお買い得モデル。出力も60wあり、動画はもちろんスチールでも重宝しそうだ。



AputureのSTORM 80cは80wのLEDスポットライト。1800kから20000kまでの色温度調整と、グリーン/マゼンタ補正が可能。さらにIP65の防塵防滴を備えており、プロユースにも対応する。7万9750円。

 

ケンコー・トキナー(用品)





ありとあらゆる撮影関連のアイテムを扱う“ケントキさん”ことケンコー・トキナー。読者の皆さんにもなじみが深いのはフィルターかと思うが、最近のヒット作はレインボーハロ。中心部は素通しでシャープに写るが、周辺に渦巻き状のハロが発生。焦点距離や絞りで効果が変わり、逆光では虹色にも輝く。使いこなしが難しいが、ハマるとかなりおもしろそうだ。ちなみにフィルター径は82mmのみで、希望小売価格は1万5500円。



ステージではチーフデモンストレーター・田原栄一さんによるセミナーも。

 

セコニック(露出計)



ズラリと並ぶ露出計やカラーメーター。僕も高校生だった30ン年前に購入し、今も所有しているスタジオデラックスが今もなお現行品なのが個人的にはうれしい。





その中で注目は、今年3月に発売されたばかりのスペクトロメーターC-4000。照度や色温度、演色評価指数など、光を多角的に測定。Bluetoothでスマホやタブレットに結果を送信できるだけでなく、有償版のアプリを利用すればデータ管理やレポート作成などもできる。照明のプロフェッショナル向きで、撮影で使うにはややオーバースペックだが、触れる機会があればぜひ。光の見え方が少し変わってくる(かも)。実売価格は20万円弱。

 

ズノン(レンズ)





カテゴリーとしてはレンズにせざるをえないのだが、レンズを使わない“レンズレス”という、唯一無二のコンセプトを掲げている。ピンホールレンズの穴にあたる部分を、緻密な印刷により製作。光学的に意味のある隙間を印刷することで、ソフトながら芯のある像を結ぶ。ピンホールに近い描写をする振幅型のIと、やや解像感の高い位相型のIIがあり、どちらも描写の異なる4種類のプレートをターレット状に内蔵。素早く切り替えることができる。画角はおよそ28mm相当。ライカMマウントを採用し、マウントアダプターでさまざまなカメラに装着できる。



今回のPAF2025では湯本好英社長が自ら解説をするセミナーを実施。多くの来場者が興味津々の様子だった。

 

映像嵐(レンズ)





中国・深圳のレンズメーカー・Viltroxの日本正規代理店。最近は大口径AFレンズを拡充しているが、とりわけ注目は同社のフラッグシップライン・LABシリーズ。高い光学性能はもちろん、LEDの距離表示などを備えている。左端のAF 35mm F1.2 LABはソニーEマウントで希望小売価格20万3000円、左から2本目のAF 135mm F1.8 LABはソニーE・ニコンZの2マウントで同18万8000円。



気になったのは小型ストロボのVintage Z1。レトロ調のデザインもさることながら、116gの軽さとガイドナンバー12という実用性も魅力。ホットシューを備えていればどのカメラでも対応し、一部専用シューを持つカメラ向けにアダプターも用意されている。

 

レモン社(中古カメラ)





レンズを中心に、中古品を即売。実用品がほとんどだったが、その中で異彩を放っていたのがポラロイド・ランドカメラ モデル95。1948年に発売された世界初のインスタントカメラだ。現状渡しで状態は不明だが、よく考えれば対応するフィルムが入手できないので関係ないのだった。ちなみに外装自体はかなりきれいで、元箱と取扱説明書も付いている。2000円也。その後売れたのかが気になる。


最後ややネタっぽいアイテムで締めてしまったが、「こんなものもあったのか」というアイテムもあり、とても刺激になる取材だった。最近はリアルに触れることが難しいブランドやアイテムも多く、こうしたイベントがあればぜひ足を運んでほしいと思う。
鹿野貴司(しかの たかし)

1974年東京都生まれ。多摩美術大学映像コース卒業。さまざまな職業を経て、フリーの写真家に。広告や雑誌の撮影を手掛けるほか、ドキュメンタリー作品を制作している。写真集『日本一小さな町の写真館 山梨県早川町』(平凡社)ほか。著書「いい写真を撮る100の方法(玄光社)」

ウェブサイト:http://www.tokyo-03.jp/
Twitter:@ShikanoTakashi

<著書>

いい写真を撮る100の方法