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イベントレポート

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イベントレポート
公開日:2025/07/16

PAF(フォトアクセサリーフェア)2025東京〜前編〜

Photo & Text 鹿野貴司
7月11日(金)・12日(土)の2日間、東京都立産業貿易センター浜松町館で、PAF(フォトアクセサリーフェア)2025東京が行われた。レンズや照明機材を中心に20を超えるブースが並んでいたが、販路が直販や通販に限られているアイテムも多く、なかなか興味深いイベントだった。そこで各ブースから気になったアイテムを紹介していく。



なおブースやそこに並ぶアイテムからは、どちらかといえば職業写真家向けのイベントという印象だったが、ハイアマチュアとおぼしき来場者も目立った。



会場にはステージも3か所設けられ、いずれも多くの聴衆を集めていた。写真は小松文乃さん&今井しのぶさんのコンビによる「ナチュラルポージング・ライティング講座」。実際に撮影セットとモデルを使い、わかりやすくポートレートのコツを伝授していた。


●E&Iクリエイション(レンズ)





今年4月に発売された中国製ライカMマウントレンズ、MR.DINGのPactcron 35mm F1.8が。7枚玉ズミクロンの復刻レンズだが、オリジナルより半絞り明るく、外装の質感やヘリコイドの感触も上質。中華レンズはなかなか現物を見ることができないが、それを手に取って確認できるのもこうしたイベントの魅力だ。



好評を博しているというのは2023年設立の新興ブランド・SG-imageのAF 25mm F1.8。APS-CフォーマットのソニーEマウントと富士Xマウントに対応。37.5mm相当という常用に適した画角を持つ。フォーカスリングはブラック、シルバー、レッド、オレンジと4色のカラーバリエーションが存在。薄くて軽いのはもちろん、希望小売価格2万5000円という安さも魅力だ。


●suntech(ストロボ)





写真関連で勢いのある中国メーカー各社だが、とりわけ老舗といえるのがストロボのJINBEIだ。HD-200MAX(写真左)は光量200wのバッテリー式ストロボ。フル発光でも1.3秒の高速チャージを実現し、バッテリー込みで1.15kgという軽さも魅力的。兄貴分にあたるHD-400MAXは、秒60コマの高速連写や最速1/24000秒のシャッター速度に対応している。ともにアクセサリーが充実している点も見逃せない。
 

●EIZO(モニター)



Adobe RGBカバー率は99%、プロカメラマンの定番アイテムともいえる(僕も使っている…だいぶ古い型だけど…)モニターがColorEdge。25年4月に発売された最新型・CG2400Sは、WUXGA(1920x1200)の解像度を持つ24.1型だ。



筐体にキャリブレーションセンサー内蔵と聞いて、どういうこと?と思ったら、なんと上からニョキっと登場した。直販価格で19万5800円。

 

●コシナ(レンズ)





フォクトレンダーの怒濤のラインナップが目を惹くが、トピックスはなんといっても久しぶりにリリースされたカールツァイスOtusだ。待望のミラーレス版は50mm F1.4と85mm F1.4の2種類。一眼レフ用のOtusは素晴らしい描写を誇る一方、大柄で重たく、そして高価だったが、ミラーレス版は比較的コンパクト。マニュアルフォーカスではあるが、ピントの山がつかみやすいのは一眼レフ用と変わらず。そしてピントリングの滑らかさに思わずニンマリしてしまう。50mm F1.4は今年5月にソニーEとキヤノンRF、続いて7月にニコンZも発売され、実売は約26万円。一方の85mm F1.4は今年後半に発売予定だ。

 

●H&Y(フィルター)







マグネットとネジ込みのどちらでも着脱できるEVO-Seriesフィルターや、角形フィルターのK-Seriesを展開。可変NDフィルターやハーフNDフィルターの進化・普及は本当に著しい。



個人的に気になったのはストロボ用ソフトボックス「FLIP」。マグネットを多用し、広げるのも畳むのも、さらに角度を変えるのもワンタッチ。これは欲しい。


●imageVISION(カラーメーター)





光量と色を測定し、結果をBluetoothで接続したスマホでチェックできる露出計兼カラーメーター。遠隔測定ができるほか、小型でマグネットや三脚穴も内蔵している。たとえばモデルの衣装に装着し、リアルタイムで結果を確認するといったことも可能だ。
 

●浅沼商会(用品)





これだけ暑い夏が続くと、動画や長時間露光ではもはや必須ともいえるのがカメラの冷却。カメラクーラーPFH-01は、ベルチェ素子で側面のプレートを冷やし、そこをカメラの背面に密着。バリアングル式のカメラにしか装着できず、モバイルバッテリーで給電する必要があるが、冷却効果は格段に高い。8580円。







またIFOOTAGEの一脚や三脚、カメラスライダーも展示・販売していた。中国の新興メーカーだが工作精度はかなり高い印象。自立式一脚・COBRA3シリーズは立てたときの安定性も高く、十分三脚の代わりとして活用できそうだ。カーボン製のC180Fで定価4万2350円。

 

●LAOWA(レンズ)





意欲的なレンズを次々とラインナップしているLAOWA。新製品の8-15mm F2.8 FF ZOOM Fisheyeは、ミラーレス用としては世界初の魚眼ズーム。8mmでは円周魚眼、15mmでは対角線魚眼となる。ソニーE・キヤノンRF・ニコンZ・ライカLの4マウントを揃え、実売価格は15万円弱。



10mmF2.8 ZERO-D FFは、130度という超弩級の広角ながらディストーション0をうたう。またLAOWAのレンズといえばマニュアルフォーカスが基本だったが、このレンズはソニーE・ニコンZの2マウントでAFを実現。取材で使用していたソニー機で試してみたが、合焦はスムーズで速かった。こちらも実売価格は15万円弱。


●KASE(フィルター)



マグネット式のフィルターが有名だが、さらに進化したのがカメラのイメージセンサー部分に装着するClip-inフィルター。カメラごとに設計されたブラケットとフィルター本体からなり、センサーを保護する透明なタイプはもちろん、NDフィルターなどが揃う。フィルター径の異なる複数のレンズを併用したり、通常のフィルターが装着できない超広角レンズを使用するときに威力を発揮しそうだ。



なお紹介したいアイテムが多過ぎるため、記事が前後編に分かれることに。後編もお楽しみに!
鹿野貴司(しかの たかし)

1974年東京都生まれ。多摩美術大学映像コース卒業。さまざまな職業を経て、フリーの写真家に。広告や雑誌の撮影を手掛けるほか、ドキュメンタリー作品を制作している。写真集『日本一小さな町の写真館 山梨県早川町』(平凡社)ほか。著書「いい写真を撮る100の方法(玄光社)」

ウェブサイト:http://www.tokyo-03.jp/
Twitter:@ShikanoTakashi

<著書>

いい写真を撮る100の方法