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カメラアーカイブ

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カメラアーカイブ
巷に溢れる新製品情報。そんな情報の波に埋もれてしまっている魅力的なカメラたちがある。メーカー開発者たちが、心血を注いで創りだした名機の魅力を蓄積していく。
公開日:2012/06/22

ライカ M5 / M6 / M7 / M4-2 /M4-P

Photo & text 中村文夫
機材協力:松坂屋カメラ(東京・品川)

ライカM5(1971年)

M型ライカで初めて露出計を内蔵
M5はM型ライカとして初めて露出計を内蔵。フィルムを巻き上げると、先端に受光部を備えた腕木がフィルム面直前に飛び出し露出を測り、シャッターを切ると露光直前にこれが引っ込む。また巻き上げレバーの同軸上にシャッターダイヤルを配置。カメラを構えたまま右手の人差し指一本でシャッタースピードの変更ができる。

 

ライカCL(1972年)

M5と同様のTTL露出計を内蔵。従来のM型に比べるとボディがコンパクトだ。標準レンズとして、ズミクロンC40ミリF2をセットで販売。日本国内の名称はライツミノルタCLで、こちらはロッコールレンズ付きだった。

M5の派生モデルには、M5と同様の測光方式を採用するとともに各機能の簡略化を図ったCLがある。このカメラはライカが設計したものだが、コストダウンを図るため日本のミノルタが製造。日本国内ではライツミノルタCLの名前で販売された。
 

ライカM4-2(1977年)

M4からセルフタイマーを省き、ワインダーが装着可能になった。カナダ工場で製造された。
 

ライカM4-P(1981年)

M4-Pのファインダーに28ミリと75ミリ用フレームを追加。ボディ前面に赤いライツのロゴマークが付いた。

M5はカメラの構造が複雑だったことに加え、ライカ社の経営不振の時期に発売が重なったため短期間で姿を消す。これに代わって登場したのが、M4に改良を加えたM4-2やM4-Pだ。その名が示す通りM4がベースで、ワインダー対応になったほかファインダーに改良が加えられた。
 

ライカM6(1984年)

M6にはさまざまなバージョンがある。写真のカメラは、シルバーボディにブラックの巻き上げレバーと巻き戻しクランクが付いた俗称パンダと呼ばれるタイプ。

M6は、M4ベースのボディに露出計を搭載したカメラだ。シャッターの先幕中央が白く塗られ、撮影用レンズから入った光はここに反射。ボディ底部にある受光部でこれを受け露出を測る。露出計を内蔵したM型ライカとして長期間製造が続けられので製造台数が多く、中古市場に多くの商品が出回っている。当然値段も手頃。使いやすさとコストパフォーマンスの高さから、M型ライカ入門に最適なモデルだ。またファインダーはM4-Pと基本的に同じだが、倍率を高めると同時に28ミリ用フレームを省いた高倍率ファインダーモデルやTTLオートストロボに対応したM6TTLもある。

 
ライカM6正面
反射率を高めるためシャッター先幕の中央が白く塗られている。
ライカM6上面
ライカM6背面
裏ぶた中央のダイヤルでISO感度をセットする。
スプールは固定式で、スリットの間にリーダー部を差し込んでフィルムを装填。M4から始まった方式だ。中央にある銀色の丸い部品はワインダー用カプラー
ライカM6高倍率ファインダー
M6発売時のファインダーは0.72倍だったが、後に0.85倍に倍率を上げた製品も登場した。  
 

ライカM7(2002年)

ライカ初の自動露出機。ライカ最後のフィルムカメラになることが予想される。

M7はM型ライカとして初めて電子制御式シャッターを採用。絞り優先AEを実現した製品である。外観はM6とほとんど変わらないが、それまで機械式のシャッタースピート制御機構があったスペースに電子回路が組み込んである。
M7を最後にライカはデジタルに移行。現在M8とM9がレンジファインダー式デジタルカメラとして販売中だ。



ムービーギャラリー
 ライカ M6フィルムの入れ方
*BGM、音声が含まれます。
機材協力:松坂屋カメラ(東京・品川)

関連ページ:「ライカ M3 / M2 / M1 /M4」

※小改良を施した機種や限定モデルなど、ライカのカメラには、同じ機種でもさまざまなバージョンが存在するが本稿では省いてある。







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中村 文夫(なかむら ふみお)

1959年生まれ。学習院大学法学部卒業。カメラメーカー勤務を経て1996年にフォトグラファーとして独立。カメラ専門誌のハウツーやメカニズム記事の執筆を中心に、写真教室など、幅広い分野で活躍中。クラシックカメラに関する造詣も深く、所有するカメラは300台を超える。日本カメラ博物館、日本の歴史的カメラ審査委員。