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オールドレンズ・ライフ

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オールドレンズ・ライフ
公開日:2012/08/17

Q&A・その3 オールドレンズのトラブルシューティング

photo & text 澤村 徹

マウントアダプターを使ったオールドレンズ撮影は、自己責任下で楽しむホビーだ。

そのため少々のトラブルは、自力で乗り越えなくはならない。



Question  9

レンズ指標が真上にこない


マウントアダプター経由でレンズを装着すると、レンズ指標が左右にズレることがある。バヨネット式マウントの場合は若干のズレで済むが、スクリュー式マウントの場合は真横や真下を向いてしまうことも。スクリュー式マウントはユニバーサルマウントという側面があり、長年にわたり様々なメーカーがレンズを発売してきた。年代やメーカーによってバラつきがあり、そのため指標がズレてしまうのだ。撮影自体は可能だが、絞り値やピントリングを確認するたびにカメラを傾けるのはちょっとした手間だろう。ライカLやM42マウントアダプターの一部は、レンズ指標調整機能を搭載している。マウントアダプターの外周に数ヵ所のネジがあり、これをゆるめるとフランジバックをキープしたままレンズの位置を調整できるというものだ。勝負レンズに合わせ、マウントアダプターを微調整しておこう。



LMリングで指標を合わせる
ライカLレンズは、LMリング経由でライカMマウントアダプターに装着できる。こうすると、レンズ指標がズレずにほぼ真上にくる。
調整ネジで真上に
一部のライカLおよびM42マウントアダプターは、指標調節ネジがある。レンズ装着後にこのネジをゆるめ、指標位置を調整する。



Question  10

LMリングが外れない

LMリングは、ライカLマウントレンズをライカMマウント化するマウントアダプターの一種だ。ミラーレス機で使う際は、ライカLレンズにねじ込み、その上でライカMマウントアダプターに装着する。古くからある便利なアイテムだが、取り外しの際にライカLレンズだけが回ってしまい、LMリングがライカMマウントアダプターに残ってしまうことがある。ライカMマウントアダプターの着脱がきついと発生しやすいトラブルだ。このような場合、フォクトレンダー製のライカM互換マウント用レンズリアキャップが役に立つ。このリアキャップは同社LMリングに合わせて凸部があり、これをLMリングにかませて回転する。こうするとライカMマウントアダプターからLMリングを取り外せるという仕組みだ。汎用性のあるテクニックではないが、頭の片隅においておくと役立つ場面があるかもしれない。



LMリングが残った状態
ライカMマウントアダプターの取り付けがきついと、LMリングが残ってしまうことも。これを素手で取り外すのは難しい。
リアキャップに爪がある
フォクトレンダー製レンズリアキャップには、LMリング取り外し用の爪がある。この爪をLMリングに噛み合わせて取り外そう。



Question  11

絞りリングで絞り調節できない

一眼レフ用レンズの多くは、自動絞り機能に対応している。レンズが自動絞りの状態では、絞り羽根が常時開放となり、絞りリングを回しても絞り込めない。典型的な例はM42マウントやローライQBMのレンズだ。これらのレンズは後玉近辺に自動絞りピンがあり、このピンを押し込まないと実絞りで撮影できない。ピン押しタイプのマウントアダプターを組み合わせるか、レンズ側のA/Mスイッチを「M(手動)」にして、実絞りで撮影できる状態にしておこう。エキザクタマウントやアルパマウントのレリーズ付きレンズも注意が必要だ。レンズ側のレリーズボタンは自動絞り切り換えスイッチを兼ねており、ここが自動絞りになっていると常時開放のままだ。操作方法はレンズによって異なるが、レンズのレリーズボタンで実絞りモードに切り換えて撮影しよう。



レリーズで実絞りに
アルパマウントレンズはレリーズ付きのものが多い。レリーズわきのダイヤルで、自動絞りと実絞りの切り換えが行える。
A/Mスイッチを切り換える
M42マウントレンズはA/Mスイッチを搭載したものが多い。ピン押ししないアダプターを使うときは、「M」に設定して実絞りで撮影する。  



Question  12

屋外で液晶が見づらい

ミラーレス機はライブビュー画面でピント合わせや構図決定を行う。現在の液晶モニターは高輝度広視野角のものが増えているが、逆光シーンなどでは液晶画面が暗くなり、ピント合わせが難しいこともしばしばだ。液晶画面の見え具合が気になるときは、純正オプションのEVF(電子ビューファインダー)を活用しよう。外光の状態を問わず、常に明るいファインダーで撮影でき、視認性が向上する。EVF上でも拡大表示が可能で、昨今はEVFの解像度が上がっていることもあり、ディテールチェックも問題ない。一方、液晶フードを付けるという対処法もある。これは液晶モニター全体を覆う遮光フードだ。逆光下でも液晶面が明るく見えるため、快適な環境で撮影できる。液晶フードは汎用タイプのものがカメラアクセサリーメーカー各社から発売されているので、好みのタイプを選んで装着しよう。




EVFなら逆光も安心
オリンパスとパナソニックは、ミラーレス機向けに外付けEVF(エレクトリック・ビュー・ファインダー)をラインナップしている。チルト機能も備え、快適な撮影が可能だ。
液晶フードで視認性アップ
ハッセルブラッドのファインダーフードを用いた個性的な液晶フードだ。muk select製のアダプター(製品終了品)で取り付けている。

<プロフィール>


澤村 徹(さわむら てつ)
1968年生まれ。法政大学経済学部卒業。オールドレンズ撮影、デジカメドレスアップ、デジタル赤外線写真など、こだわり派向けのカメラホビーを得意とする。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線写真、オールドレンズ撮影にて作品を制作。近著は玄光社「アジアンMFレンズ・ベストセレクション」「オールドレンズを快適に使うためのマウントアダプター活用ガイド」、ホビージャパン「デジタル赤外線写真マスターブック」他多数。

 

<著書>


アジアンMFレンズ・ベストセレクション



オールドレンズを快適に使うためのマウントアダプター活用ガイド



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