EOS 620+ベルビアとともに、デジタルカメラも2台持っていった。ひとつは昭和27(1952)年製のWニッコールC3.5cmF2.5を着けたソニーα7R III。最近はマイブームがやや落ち着いたが、ソニーα7 IIを購入してからオールドレンズにハマり、安いものや珍しいものをあれこれ買った。オールドレンズというとボケを追い求める人が多いが、僕は街角のスナップを撮るので、好きなのは「よく写るけど、どこかクセのあるレンズ」。現代のレンズはきれいに写りすぎて、フィルムから紙焼きしたときのようなノイズや温もり、それらが生み出す奥行きがないのが物足りなかった。それで作品はハッセルブラッドとネガフィルムで撮ったりもしたのだが、オールドレンズの方がより自分のイメージに近かったのだ。今回選んだニッコールはもうすぐ古希とは思えないほど解像力が高く、一方で今どきのレンズにはない渋みもある。