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オールドレンズ・ポートレート

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オールドレンズ・ポートレート
公開日:2020/08/27

オールドレンズの定番Super Takumar 50mm F1.4 前期8枚玉と後期7枚玉の比較レビュー

photo & text上野由日路(ZENI)/ モデル:Arly
ペンタックス Super Takumar 50mm F1.4 の前期8枚玉と後期7枚玉を撮り比べる!


最前期にあたるシリアルナンバー765647のレンズ。レンズとボディーとのバランスも良い。カメラケースはRecoil 1969製。

Pentax Super Takumar 50mm F1.4は1964年に発売されたAsahi Pentax SP用の標準レンズだ。Pentax SPは旭光学の大ヒットカメラで発売の1964年といえば東京オリンピックが開催された年にあたる。1960年のフォトキナで発表していたSPを旭光学は満を持してオリンピックイヤーに発売したのだ。標準レンズであるSuper Takumar 50mm F1.4も旭光学としては初めてのF1.4クラスのレンズだ。


ペンタックスSP。一眼レフの傑作機だ。

 1960年代、一眼レフ用標準レンズでF1.4クラスは各社のフラッグシップレンズといえるものだったがその多くは50mmを少し超える52mmや55mm、58mmといったもので50?ちょうどのものは少なかった。国内で50mm F1.4に一番乗りしたのはNikkor-S  Auto 50mm F1.4で1962年のことであった。Super Takumar 50mm F1.4は50?レンズとしては最初期のレンズであるといえる。それゆえこのレンズは6群8枚という複雑な設計を持っている。しかしごく短い期間のうちに再設計されて7枚玉に変更されている。
標準レンズのスペックとレンズ枚数は不文律的なものがある。例えば50mmF2クラスだと6枚、50mmF1.4クラスだと7枚という感じだ。もちろん例外もあり50mmF2クラスだと初代ズミクロンやフォクトレンダーのゼプトンなどは7枚構成でどちらも銘玉として知られている。しかし50mmF1.4で8枚構成は珍しく数えるほどしか存在していない。一般的にレンズ枚数は増えれば増えるほど修正できる収差も増える為、高性能になる傾向がある。その反面、生産コストが上がってしまうため技術革新に合わせて枚数を減らすケースも多い。前述のズミクロンも後の世代のものは6枚構成になっている。


写真のレンズ上から後期7枚玉、左が前期8枚玉、右が最前期8枚玉。

SuperTakumar50mmF1.4の場合どうだろうか?写りに反映されるほどの差があるか試してみた。ちなみに今回前期型の中でもさらに初期の76.5万番台の個体と149万番台の前期最終型、172万番台の後期型の3本を撮り比べた。今回は区別を分かりやすくするために最前期、前期、後期と呼ぶこととする。


Super Takumar 50mm F1.4  NO.765647 最前期8枚玉
8枚玉の中でも非常に古くシリアルが飛んでいる(通常の前期は96万番台から)為サンプル版やβ版ともいわれている。距離指標の形が異なる。



Super Takumar 50mm F1.4  NO.1492329 前期8枚玉
外観上の特徴は後期型に近いが赤外線指標がF4より開放側にあるため8枚玉であることがわかる。



Super Takumar 50mm F1.4  NO.1724832 後期7枚玉
通常の7枚玉。赤外線の指標がF4とF8の間にあることから7枚玉であることがわかる。7枚玉としてはかなり初期のタイプになる。次の世代よりマルチコーティング化されたスーパー・マルチコーテッド・タクマーとなる。



指標部分の比較。最前期だけ距離計表示のマークが違う。また前期7枚玉と後期8枚玉で赤外線指標の位置が違うことがわかる。

続いて写りを見ていく。


SONY α7R 1/800秒 開放 ISO125  WB:マニュアル RAW
最前期8枚玉の写りは発色も解像力もやや控えめでクラシカルな印象だ。



SONY α7R 1/800秒 開放 ISO125  WB:マニュアル RAW
前期8枚玉は解像力も高く、発色も良い。ヌケもよく立体感を感じられる。



SONY α7R 1/1000秒 開放 ISO250  WB:マニュアル RAW
後期7枚玉は解像力はほどほどだが発色や諧調などのバランスが良くオールマイティーなレンズといえる。


まず最前期は発色が淡いのが見て取れる。前期と後期の発色が近いのはシリアルからわかるように生産時期が近いせいだと推測される。全般的に見ていくと前期と最前期はやや歪曲収差が樽型に強く出ている。ポートレートでは樽型の歪曲収差はモデルの顔が丸く言える傾向にある。後期型は歪曲収差がかなり補正されていてかなり弱い樽型だ。モデルの顔が3枚の中で最もスマートに見える。
解像度の面では前期が最も良いようだ。洋服のハイライト部の模様を見ると後期が諧調もありバランスが良い。
まとめると最前期はクラシカルな写り、前期が解像度と発色に優れている。最後期がディストーションが少なく諧調の豊かなポートレート向きの写りであるといえる。さすが人気のあるレンズだけあってオールドレンズの良いところを持っている。

作例(後期型)

SONY α7R 1/1000秒 開放 ISO400  WB:マニュアル RAW
柔らかさとオールドレンズらしい特徴が共存するボケが美しい。 人気の理由がわかる。



SONY α7R 1/1000秒 開放 ISO400  WB:マニュアル RAW
最短距離付近の描写は柔らかく肌の質感も美しく表現する。



SONY α7R 1/1000秒 開放 ISO400  WB:マニュアル RAW
少しフレアを帯びたアンニュイな写り。レンズの高い表現力がわかる。
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上野由日路(うえの よしひろ)
山口県出身 1976年生まれ。六本木スタジオを経て独立。オールドレンズポートレートカメラマンとしてレンズごとのテイストを生かした表現を得意とする。オールドレンズの魅力を発信するためにワークショップ『オールドレンズ写真学校』やイベント『オールドレンズフェス』を主宰している。主な著書に『オールドレンズ×美少女』(玄光社)、『オールドレンズで撮るポートレート写真の本』(ホビージャパン)がある。

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上野由日路
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