オールドレンズ・ポートレート
公開日:2020/06/12
コニカ KONISHIROKU HEXANON 52mm F1.4 大口径オールドレンズで撮るポートレート
photo & text上野由日路(ZENI)/ モデル:彩夏子
コニカのFマウントというとなじみがないかもしれないが、1960年発売された小西六写真工業初の一眼レフである『Konica F』のレンズマウントである。コニカFは本格的に国内で発売されることはなかったが金属製の縦走り1/2000秒シャッターを採用したり、内臓連動露出計を搭載したりかなり先進的なカメラであった。しかし、構造が複雑だったために量産されるには至らなかった。同年このコニカFを簡略化して量産できる形にしたコニカ FSが発売された。今回紹介するKONISHIROKU HEXANON 52mm F1.4はこのFSの標準レンズだ。レンズ構成は先行のコニカFの52mmF1.4と同じだと思われるがレンズ鏡胴の作りが異なる。
レンズのデザインはモダンで古さを感じないヘキサノン52mm F1.4は一眼レフ黎明期の大口径レンズらしく非常に面白い描写が楽しめる。1960年、当時ドイツが先行していたレンジファインダーカメラ用のレンズは完成の域にあった。一方黎明期にあった一眼レフ用のレンズはドイツでも設計例が少なく、各社が知恵を絞って設計している段階であった。特に標準レンズではフランジバック(マウント面からフィルム面までの距離)が伸びたことで設計が難しくなり50mmジャストだと十分な性能が得られず、52mmや55mmや58mmといった端数のレンズが多数発売された。手探りで設計されたレンズ達は、いずれも短所を持ちながら圧倒的な個性を持っていて面白い。しかし、この時代のレンズやマウントは日進月歩でわずか数年でモデルチェンジされることも多く流通量は限られる。ちなみにコニカFマウントは、1965年に発売されたコニカオートレックスで採用されたARマウントの登場で廃止される。わずか5年ほどしか採用されなかった短命なマウントになる。
1964年に発売されたコニカFM。CdSメーターを搭載したコニカFマウント最後のカメラになるコニカFS以降のFマウントカメラは金属製縦走りシャッター「コパルスケヤ」を採用している。いわゆる「コパルスクエア」シャッターで現代も多くのカメラで採用されている。コニカFマウント。絞り連動レバーを引っかけて動かす独特の形状。Hexanon 52mm F1.4の写りの特徴を一言で表すのは難しい。というのも予想外の描写を見せるからだ。フレア、ゴーズト、色転びすべてが予想外なのだ。ピント部分の描写はやや甘め。ボケは硬めでざわざわしている。
SONY α7R 1/400秒 開放 ISO250 WB:マニュアル RAW
背景の光の粒と独特なボケがあいまって存在感のあるポートレートになっているSONY α7R 1/200秒 開放 ISO160 WB:マニュアル RAW
ゴーストが日差しを柔らかく表現しているSONY α7R 1/200秒 開放 ISO200 WB:マニュアル RAW
逆光で虹状のゴーストも発生する。SONY α7R 1/800秒 開放 ISO250 WB:マニュアル RAW
柔らかい前ボケとエッジのある玉ボケの共演。ピント面がやや滲むので水彩画のようなテイストになるSONY α7R 1/800秒 開放 ISO250 WB:マニュアル RAW
硬めのボケだが嫌なところがないSONY α7R 1/800秒 開放 ISO320 WB:マニュアル RAW
ここまで寄ると背景が落ち着いてかなり柔らかくぼける 後ボケは硬めであるが全体的に柔らかい印象の為か嫌な感じは受けない。日差しを感じることが出来る写りはライトトーンポートレートに最適なレンズといえる。使うたびに新しい表情を見せてくれる飽きないレンズだ。
生産期間が短く中古市場でもやや珍しいヘキサノン 52mmF1.4だが海外製のマウントアダプターも存在するのでソニーαシリーズやフジFXシリーズ、マイクロフォーサーズ、EOS Mなどのミラーレスカメラで使用することが出来る。純正のコニカFマウント-ARマウントの変換アダプターが存在するが、極めてまれなアイテムだ。
RareAdapters.com製のEマウントレンズアダプターモダンなデザインのせいかα7Rによく似合う カメラケースとストラップはRecoil1969製RareAdapters: https://www.ebay.com/str/rareadapters コンテンツ記事関連商品Konica[コニカ]
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