「GR」といえばフィルムの時代から独自の路線と立ち位置を持ったコンパクトカメラの雄である。シンプルで小型なボディにちょっと驚くぐらいの高性能レンズが搭載された通好みのカメラ、というのが共通認識ではないだろうか。35mmフィルムカメラの初代GR1が1996年に登場し、このGR IIIxの登場が2021年なのでもう27年も経つのだが、そういうシンプルで本質をついたコンセプトから生まれた物だからこそコンパクトカメラ受難の時代にも生き抜いているのだと思う。存在にブレがない。 デザインに目を向けると初代からのテイストをキープしつつ光学ファインダーやフラッシュなどがなくなったスペースをレンズの鏡筒が埋め尽くしている。GR(2013年)でセンサーがAPS-Cになってからはそれが顕著で、まあシンプルでいいのかもしれないけれど、レンズは小さいのに鏡筒ばかりが大きく、そのスペースに間延びを感じた。個人的にはGR DIGITAL III(2009年)のデザインはその辺のバランスが取れていて良かったなあと思う。