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新製品レビュー

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新製品レビュー
公開日:2023/12/21

ライカ Q3 インプレッション「Not “M “but “Q”」

南雲暁彦


ライカはQというラインが続いていくんだな、と思わせる3代目のQである。
初代ライカQが2015年のデビューなのでもう8年も経っている事に驚くが、ほとんど見分けがつかない外観をキープしたデザインっぷりと、過激ともいえる中身のアップデートがおこなわれてきた。

ライカ Q3の特徴は、フルサイズセンサー搭載の単焦点コンパクトデジタルカメラ。チルト式で稼働する背面液晶、6,000万画素のフルサイズCMOSセンサー 、焦点距離28mm、開放F1.7の大口径・単焦点レンズ、像面位相差AFとコントラストAFを組み合わせた、より高速・高精度なオートフォーカスシステムがあげられる。
この絶対的解像度アップは当然のことで、クロップで擬似的に焦点距離を変えて撮影していく、その独特なユーザビリティ向上の為だ。クロップのバリエーションは35mm (約3,900万画素) 50mm (約1,900万画素) 75mm(約800万画素)90mm (約600万画素)とQ2に比べ90mmが追加された。デジタルズームすると、記録画素数は減っていくので、Q2の4,730万画素から6,000万画素にアップしたことでクロップした場合でも、より大きな画素数の画像を確保できるといえる。

デジタルズーム撮影時、ライブビュー画面にはM型のようなブライトフレームが現れて撮影範囲を示す。画面全面がクロップされる事はない。「ああ、これがやりたかったのね」とニヤリとしてしまった。
このクロップを有効的に行う為の布石として、初代Qから超高解像度のズミルックスを搭載していたわけだ。最近のレンズは超高画素センサーの登場を睨んだものが多いが、Qもしかり。つまりQがシリーズとして基本スタイルを変えずにここまで来たのはこのレンズが根幹としてあったからに他ならない。さて、吊るしの状態で使ってみよう。
 


外観で目玉の機能となるチルト液晶。Qシリーズがこうなるのは想像出来たことだが、S Lはともかく、M型はこうはならないと信じたい。利便性で独自性を壊さないように、キャラはしっかりと分けるべきである。これはこれで、いい。


Leica Q3  SUMMILUX 28mm f1.7 ASPH (以下同)
1/50秒 F1.7  ISO1250
ホワイトバランスをわざと崩して暖色を強調、ハンバーガー屋をアメリカ映画の舞台の様にしてみた。



1/50秒 F1.7  ISO6400
今回はデジタルフィルターのLEICA LOOKSは使わない吊るしの状態なので演出は自分でやるわけだ。


パッと見て、M型ライカのAF版?と感じないこともないが、いやいや全く違う。握った瞬間にこれはMではない、と指が反応する。ちょっとしたボタンやダイヤルの位置、感触の違いからかなり大きな違和感を感じ取った。それだけ手がM型に馴染んでいるからなのだろうが、SLシステムのように全く違うフォルムなのに同じようなライカの質感を感じるものではなく、なにか手が落ち着かない感覚を得てしまった。


1/40秒 F1.7  ISO6400
もうちょっと持ちやすかったらこういうのもやりやすい、グリップをつけたほうがいい。


詰まるところ、これは吊るしで使っているからだと理解した。僕の使い方だとサムレストやグリップが必須だったのだ、しまった、一緒に借りればよかった、これではちょっと印象がよろしく無い。本気でスナップシューターとして使うなら是非とも「握り」は良くしたいところだ。

さて、気を取り直して写りの話をしよう。


1/8000秒 F2.8  ISO100
逆光でガツンとシャドーを聴かせたい時はiDR(インテリジェント ダイナミックレンジ)をオフにするべし。そのままだとかなりシャドーを持ち上げきて意図通りの絵にならない。



1/4000秒 F2.8  ISO100 マクロモード

さすが、ズミルックスのキレは良い。この高画素化でその秘められた力があらためて出てきたようだ。50mmクロップぐらいまではなにも考えずに使えば良いと思う。


1/320秒 F1.7  ISO100 マクロモード


1/160秒 F2.8  ISO100 マクロモード


この絵が出てくるわけだから積極的にこのカメラを使いたくなる反面、やはりそのユーザビリティが気になってしまう。ボディ右端のダイヤルは触るなと言わんばかりに操作しづらいし、撮影画像のプレビューの遅さは軽快にスナップをキメていくには辛い、これは高画素化のデメリットなのだろう。

一方でそこまで本気で使うものではない、という思考にも及ぶ。スマホの代わりにスっと取り出してサッと撮る、首からぶら下げて歩き、軽くていいな、とお散歩を充実させるような贅沢なアイテムとして捉えればよいのだ。


1/50秒 F1.7  ISO1250


1/80秒 F1.7  ISO100


1/800秒 F1.7  ISO100


1/60秒 F5.6  ISO250(デジタルズーム 35mm)


1/50秒 F8.0  ISO125


そんな心に余裕のある撮り方がむいている。逆にQ3に余裕をもらえば良い。

画素数も36Mで使うのがいい、それでも十分以上の画素数だし、60Mでの使用はSDカードをすぐにいっぱいにしてしまう。

60Mだ、位相差AFだ、チルト液晶だとスペックを気にして頑張るカメラではない。
軽くてシンプルで写り良い贅沢なカメラ、それだけで満足するべきものだろう。

そんな中、Qシリーズの大きな美点はやはりこのマクロ機能だ。コンパクトカメラとしては当たり前だが、ライカとしては特別なことであり、その画質はご覧通りなかなかのものだ。この時、開放絞りはF1.7に設定していても自動的にF2.8に切り替わる。だからと言って絵には大きな影響はない。


1/80秒 F2.8  ISO100
大口径ワイドマクロの被写体を見失わずにスッとボケていく絵作りは気持ちが良い。



1/100秒 F2.8  ISO6400(デジタルズーム 50mm)
レコード針の先端と、それが走るレコードの一本の溝にピントが合っている。このシズル感はすごい。


そうそう、今回のアップデートで一番気に入ったのはEVFだ、単純に576万ドットという解像度になったというだけではなくてチューニングがよいのだと思うが、やはり目と直結する部分だからカメラとしては最も大事な器官だと思う。人とカメラの間を取り持つフィーリングに関係した部分では一番気にして欲しい部分なのだ。暗くべたっとした光の中でもシャドーの中のディティールがちゃんと立体的に見える。
グリップやダイヤル、シャッターのフィーリングはさておき、ここは本当に気持ちがよい。


1/50秒 F3.2  ISO100
大口径ワイドレンズならではの芸当。



1/50秒 F5.6  ISO6400(デジタルズーム 50mm)


1/50秒 F1.7  ISO640
手ぶれ補正が付いているとはいえ高画素化でブレにはシビアだが、そんなことは気にせず撮れば良いと思う。チルト液晶はハインアングルも絵作りが楽になる。



1/50秒 F1.7  ISO800


1/50秒 F1.7  ISO1600

このカメラのMとは異なる部分、僕が一番違和感を覚えたダイヤルの配置や操作性についてだが、これは「もっとカメラにまかせろ」というQの哲学だと捉えることにした。撮影という操作自体に大きな美学を持つM型はやはりそこに敷居の高さを持っているのだが、このQは「被写体を感じシャッターチャンスに集中しろ、あとはQに任せればいい。」ということなのだと思う。その為の素晴らしいファインダーとレンズ、ライカを感じさせてくれる風貌を纏っているのだ。


1/50秒 F1.7  ISO640

カメラを持ってしまうと写真が言葉と同じレベルか、それ以上のコミュニケーションツールとして機能してしまう体になってしまっているので、あんまりズボラに撮っていくことができないのだが、カメラがこのレベルの絵を出してくれるのなら、少し任せてもいいのだろうと思う。ズボラで失礼な物言いにはならないだろう。
ファーストライカとしてもサイドアームとしてもQ3が魅力的な要素を持っていることがわかってきた。もっとこうしたら、もっとこんなふうに、と要望も湧いてくるがそれを言うのも無粋なことなのかもしれない。


1/50秒 F1.8  ISO1250
新宿は絶賛工事中であり、今だけそういう時代性のあるスナップが撮れる。



1/250秒 F1.7  ISO100


1/50秒 F17  ISO500

Qシリーズはライカのラインナップの中では日が浅い、故にまだまだ荒削りだが、良い部分や独自の哲学が生まれ始めている。これはSLシステムもそうなのだが時代に流される事なく、逆に時代を作ってきたライカらしさをもって進化継続して欲しいものだと切に願う。


1/50秒 F2.8  ISO5000

さて...
色々とあったが、2023年もあっという間だった。ちょっと人生を考えてしまうようなこともあったり、まあ、みんなそうやって生きているのだと思う。僕と同じように空を仰ぐすべての人々へ。

メリークリスマス


1/500秒 F2.8  ISO100

メーカーサイト
ライカ Q3
https://leica-camera.com/ja-JP/photography/cameras/q/q3-black
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<プロフィール>


南雲 暁彦(なぐも あきひこ)
1970年 神奈川県出身 幼少期をブラジル・サンパウロで育つ。日本大学芸術学部写真学科卒業。凸版印刷株式会社、ビジュアルクリエイティブ部所属 チーフフォトグラファー。世界中300を超える都市での撮影実績を持ち、風景から人物、スチルライフとフィールドは選ばない。近著「IDEA of Photography 撮影アイデアの極意(玄光社刊)」。APA会員。長岡造形大学、多摩美術大学非常勤講師。コマーシャル・フォト「IDEA of Photography 撮影アイデアの極意」を連載中
 

<著書>


IDEA of Photography 撮影アイデアの極意



Still Life Imaging スタジオ撮影の極意
 
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