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銀塩手帖

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銀塩手帖
フィルム、銀塩写真に関する情報を記録していきます。
公開日:2018/08/21

北海道・上川町にIMAI collection(今井コレクション)の新しい展示施設がオープン

photo & text 中村文夫

「横道の館」の総床面積は約300坪。2階がカメラ関係で、1階にオーディオや無線機、工作機械などを展示。
 

今井コレクションの新展示施設「横道の館」

北海道在住の今井貞男さんは、世界的に有名なニコンコレクター。カメラ第1号機であるニコンl型に始まり、最新のデジタルカメラまで、ニコン製カメラのほとんどをコンプリート。交換レンズやレアなアクセサリー類も揃うなど、その充実度たるや東京・品川のニコンミュージアムを凌ぐとも言われている。

本コンテンツでも紹介したが、昨年9月には「ニコンの100歳を祝う集い」を札幌時計台前のコレクションルームで開催。ミスターニコンこと後藤哲朗さんをはじめ、カメラ業界の有名人が駆け付け、ニコン100周年を盛大に祝福した。

 >北の大地にニコンと共に45年 札幌・IMAI collection(イマイ・コレクション)
https://camerafan.jp/cc.php?i=621


この日のイベントは、今井コレクションの新たなる船出を祝うセレモニーでもあった。というのは、コレクションの充実にともない手狭になった展示スペース拡充を図るため、今井さんは生まれ故郷である北海道・上川町に、新たなコレクションルームの建設を進めていたのだ。

そして今年の7月29日、「横道の館」と名付けられた新館がオープン。オープンニングセレモニーが盛大に行われた。「横道の館」とは、カメラ以外にも多彩な趣味を持つ今井さんの生き方を表したもの。「仕事以外の道」という意味で「横道」と名付けられた。


テープカットの様子。左から日本カメラ博物館 市川泰憲さん、今井貞男さん、上川町長 佐藤芳治さん。

敷地面積は約1200坪。カメラコレクションを中心にオーディオや無線機、工作機械などを展示する「横道の館」とクラシックカー用ガレージの2棟からなり、上川町内では町役場に次ぐ大きな建物であるという。


入口の軒に掲げられた78という数字は、今井さんの現在の年齢を表している。

 

<展示紹介>

カメラ展示フロア


札幌のショーケースの総延長が約170メートルであったのに対し「横道の館」では約200メートルに。
 

ニコンコーナー


ニコン関係のコレクションを展示するコーナー。奧には歴代のニコンカレンダーも。


レフレックス ニッコール 2000ミリ F11
市販されたニッコールレンズのなかで、いちばん焦点距離が長い超望遠レンズ。このほかに画角220度のフィッシュアイ ニッコール6ミリ F2.8、報道用に開発された超望遠ズームレンズのAi ズームニッコール ED 1200-1700ミリ F5.6-8P (IF)なども並ぶ。



ニコン101号館のコンクリート片
大井町にあった101号館は昨年、取り壊されたが、なんとそのカケラまでコレクションされていた。株式会社ニコンから寄贈されたもので、一緒に写っているのはニコンフェローの後藤哲朗さん。奧にはニコン100周年を記念限定モデルのニッコールレンズのセットが見える。



階段室に展示されたニコン100周年を記念するマリリン・モンローのボスター。ニコンから正式に寄贈されたものだ。
 

海外製カメラ・クラシックカメラ


二眼レフの展示コーナー。


外国製一眼レフやコンパクトカメラの展示コーナー。


オリーブ塗装のライカM1
ライカMシリーズの中でも製造台数が少ないことで知られるM1。オリーブ塗装の軍用モデルは、さらに希少だ。



今井コレクションは、ニコンだけでななくライカ関係が充実していることでも有名。距離計だけでも、こんなにある!!


ニコンのほか、ハッセルブラッド、リンホフ、ローライ、ディアドルフ、日本製一眼レフやコンパクトカメラなど、世界中のクラシックカメラを網羅している。
 

中国製カメラ



札幌在住の中国カメラコレクター陸田三郎さんの協力で、中国製カメラを展示するコーナーが新設された。ライカM4のコピーと言われる紅旗をはじめ、めったに見られないカメラやレンズが貴重な資料とともに展示されている。
 

無線機


一階にある無線機の展示コーナー。
 

工作機械


旋盤の最高峰と呼ばれるイギリス、マイフォード社製の小型旋盤。

 

コレクションが並びきれず、増築を計画中


約1/3のコレクションが「横道の館」に並び切れず、未開封のまま「横道の館」に隣接するクラシックカー用ガレージに保管されている。そのため今井さんは増築を計画中。満80歳の傘寿を迎える2年後の完成を目指している。


※IMAI collection(今井コレクション)は個人コレクションのため原則として非公開。



中村 文夫(なかむら ふみお)

1959年生まれ。学習院大学法学部卒業。カメラメーカー勤務を経て1996年にフォトグラファーとして独立。カメラ専門誌のハウツーやメカニズム記事の執筆を中心に、写真教室など、幅広い分野で活躍中。クラシックカメラに関する造詣も深く、所有するカメラは300台を超える。日本カメラ博物館、日本の歴史的カメラ審査委員。
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