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銀塩手帖

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銀塩手帖
フィルム、銀塩写真に関する情報を記録していきます。
公開日:2020/03/20

モノクロフィルムを簡単にスキャンする方法

CAMERA fan編集部


フィルムカメラは楽しいですね。機械としての魅力だけでなく、一枚一枚撮るときのわくわく感は、デジタルカメラやスマートフォンとは、まったく違う喜びがあります。そして、フィルム写真の表現もまた、デジタルとは異なり、味わいのあるものです。
デジタルから写真の世界に入って、フィルムカメラを始める方も多いと聞いています。当サイトカメラファンにも多くのフィルムカメラが掲載されています。




編集部チワワがCP+中古カメラフェア2019で我が家に迎えた、ミノルタ ミノルチナ-S シルバー。う〜ん、美しい。そして、撮っていてすこぶる楽しいカメラです。

さて、みなさんはフィルムカメラで写真を撮ったあとに、どうされますか?

・自分でフィルム現像から、プリントまで暗室でやってしまう
・プリントで残したいので、DPEショップにお願いして、現像と同時プリントして焼き増しする
・写真展を開催するために、プロラボにお願いして大きく引き伸ばしてもらう
・DPEショップでフィルム現像と、データ作成(CD-RやUSBメモリーなど)をお願いする

アウトプットは人それぞれですが、SNS全盛のいま、フィルム写真をデジタル化をしたいという人は多いはずです。しかし、手軽にオーダーできるDPEショップのデータ作成サービスは、画像サイズが200万画素程度と、決して高画質ではありません。スマートフォンでみても粗が目立ちます。

フィルムスキャナーってどうなの?


フィルムを高画質でデジタル化する方法といえば、フィルムスキャナーでスキャンする方法があります。これは間違いありません。非常に精度が高く、高画質で情報量の多い画像を得ることができます。
しかし、フィルムスキャンはなかなか厄介です、まずスキャナーの置き場所がない。スキャンのみの単機能の機材にそれほど予算をかけられない。スキャナーを買ってみたものの、使い方が難しくて、思うようにデジタル化できない、などなど。私自身ハイエンドのスキャナーを買いましたが、すっかりデスクの上の物置になってしまいました。(悲)

 

<もっとカンタンにスピーディーにフィルムをデジタル化したい!>

そこで本記事では、スライドコピーアダプターとミラーレスカメラを使ってカンタンにスピーディーに、しかもできるだけ予算をかけず安い機材で、35ミリフィルムをデジタル化する方法をご紹介します。

ざっくり手順をまとめますと、

1:ニコンのスライドコピーアダプター ES-1をマクロレンズにつけて、オリンパス OM-D E-M1 Mark IIで撮影します。
2:撮影後、PCにデータをコピー、Photoshop Camera Rawを使ってネガポジ反転、RAWファイルを現像して画像を完成させます。


試してみると、フィルムスキャナーを使用するよりも手順がカンタンで、ホコリが付きにくく、非常にスピーディーでした。それでは、機材と手順を解説します。

 

【今回使用した機材】


カメラ:オリンパス OM-D E-M1 Mark II
レンズ:オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro
ケンコー フィルター径変換アダプター ステップアップリングN 46-52mm
ニコン スライドコピーアダプター ES-1




ニコン スライドコピーアダプター ES-1
実勢価格:3,100円〜(2019年3月現在)
フィルターサイズ(レンズ側の口径):52mm

ニコンからは、後継機としてES-2が発売されていますが、実勢価格17,000円となかなか高価です。ES-1は、マウントされたフィルムしか使用できませんが、ES-2は、スリーブフィルムも使用可能です。予算がある人はES-2を選ぶとよいでしょう。今回、ES-1を選んだ理由は、とにかくリーズナブルなためです。

この製品の対応レンズは、ニコン AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G
AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED、AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8Dですが、下記の変換アダプターを使用することで、フィルターサイズが異なるオリンパスのマクロレンズでも使用可能になります。



ケンコー フィルター径変換アダプター ステップアップリングN 46-52mm
実勢価格:1,300円(2019年3月現在)

今回使用するオリンパスのレンズは、フィルターサイズが46mmのため、フィルターサイズ52mmのニコン ES-1を装着するためには、ステップアップリングが必要です。




オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro

焦点距離:35mm判換算60mm相当
最短撮影距離:0.095m
最大撮影倍率 :1.25倍(35mm判換算 2.5倍相当)
質量 :128g
実勢価格:26,500円〜
フィルターサイズ:46mm

小さい、軽い、リーズナブル、マクロ撮影可能、もちろんフィルム撮影だけでなく、通常マクロレンズとしてネイチャーフォトなどにも使用できます。もちろん写りには定評があります。ちなみに私は、カメラファンで中古を検索して、23,000円で買いました。お得!!

以上のカメラボディをのぞくキットを、私は27,400円で揃えました!(・∀・)キリッ




オリンパス OM-D E-M1 MarkIIに、スライドコピーアダプター ES-1と、30mm F3.5 Macroを装着したところ。非常にコンパクトです。ストロボは、カメラに付属している FL-LM3をコマンダーとして使用します。



スライドコピーアダプター ES-1は、前後にスライドさせて撮影画像のサイズを調整できます。
今回は、35mm換算60mm相当のレンズを使用したので、ステップアップリング1つのみで装着できました。もっと焦点距離の長いレンズを使用する場合は、レンズとES-1の間に中間リングをかませて、もっと距離を伸ばす必要があります。そうしないとピントがフィルム面に合焦しません。




ニコン ES-1の鏡胴をもっとも伸長したところ。

最短に収納したところ
 

【スライドマウントの処理】


ニコン ES-1は、スライドマウント専用のため、スリーブフィルム(6カット連続で切っていない状態)は、使用できません。今回は、とにかく手元にあるもので揃えようと生き急いでしまったので、スライドマウントを加工して、スリーブフィルムを挿入できるようにしました。これでES-1への装着が可能になります。

マウントの左右の突起とフレームをカッターで切り落とします(赤枠部分)
*切り落としの際に、バリが残っていると、フィルムを傷つける可能性があります。注意して行いましょう。心配な人は、スキャナーやプロジェクターで使用するスリーブ用のフィルムホルダーを使用することをオススメします。




スライドマウントは、若干トリミングされてしまうため、内枠を2mmほど切り落として、ノートリミングで撮影できるようにしました。これもバリが残らないようにすることが大切です。



加工したスライドマウントに、スリーブフィルムを挿入したところ。内枠をカットしたので、パーフォレーションギリギリまでマウント内に収まっています。
*フィルムは傷つきやすいものです。作業時には、フィルム取扱用の手袋を使用しましょう。


 

【撮影〜フィルムをデジタル化する】


スライドマウントに入れたフィルムを、ニコンES-1に挿入します。


カメラの背面液晶画面でみると、しっかりとフレームも確認できました。あとで角度調整の必要がないように、マウントを調整して平行を取ります。カメラの表示設定でガイド線を表示しておくと良いでしょう。
 

【光源を準備する】


ストロボ:Nissin ニッシンデジタル i40 オリンパス/パナソニック用

フィルムを撮影するには、光が必要です。蛍光灯などの環境光で撮る方法もありますが、環境に左右されず、常に同じ光源と色温度で設定したいため、PENTAX FILM DUPLICATOR(フィルムデュプリケーター)を参考に、ストロボを光源にすることにしました。ニッシンジャパンのi40は、オリンパスカメラのRCモードに対応しており、オフカメラライディングが容易に可能です。

ストロボを持っていない人は、背景紙を貼ってLEDライト等で光を反射させて撮る方法もあります。その際には、フィルム面に均一に光が当たるようにすることが必要です。


 

【セッティング】





RCモードで、ワイヤレスでストロボの光量をコントロールします。


【撮影時のカメラの設定】

撮影モード:M(マニュアル)
絞り:F8
シャッタースピード:1/60
ホワイトバランス:オート
フォーカスモード:シングルAF
ストロボ:RCモード カメラ付属のストロボ FL-LM3をコマンダーとして、ニッシンジャパン i40をオフカメラでコントロール
記録モード:RAW+JPEG




 

【撮影後の画像処理】


Adobe Bridge サムネイル表示
パソコンにSDカードから取り込んで、RAW現像します。RAW+JPEGで記録しておけば、サムネイルで絵柄がわかりやすくなります。

 

【RAW現像&色調補正】

Adobe Photoshop Camera RAWでRAWファイルを現像する手順を動画で解説します。




Adobe Photoshop Camera RAWでRAWファイルを開きます。



メニュー「トーンカーブ」で、ハイライトとシャドーの端を上下反転させます。




次に、ヒストグラムをみて、山のない部分(データのない部分)を追い込みます。



メリハリのついた写真になりました。




最後にメニュー「基本補正」に戻り、プレビューを見ながら、露出量、コントラストなどを調整します。この時点での写真のカラーモードは、「Adobe カラー」です。カラー情報を破棄して、完全にモノクロにして書き出す場合には、「プロファイル」から「Adobe モノクロ」を選びます。Camera Rawでの作業は完了。「画像を開く」からPhotoshopに送ります。



Photoshopで開き、ガイドを引いて、余分な周辺部分をトリミングします。




JPEGで書き出して完了。
 

【完成】



 

モノクロフィルム「BERGGER Pancro 400」をデジタル化した写真


モデル:大村祐里子


モデル:赤城耕一










以上、モノクロフィルムをマクロレンズとミラーレスカメラで撮影して、デジタル化する方法を解説しました。次回は、カラーネガ編をお送りします。

最後に重要なことをお伝えします。

くれぐれもスキャンやデジタル化したあと、フィルムは捨てないでください。

フィルムは原版です。デジタルデータにしたからといって、不要になるものではありません。


また新たな機材でデジタル化することも可能ですし、ラボにオーダーしてフィルムから直接プリントすることもあるでしょう。フィルムは、専用のファイルなどに入れて大切に保管しましょう。


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<カメラファンがオススメする書籍>


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これからフィルムカメラをはじめたい人のためのガイドブック


フィルムカメラ・スタートブック」大村祐里子・著
 
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