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銀塩手帖

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銀塩手帖
フィルム、銀塩写真に関する情報を記録していきます。
公開日:2015/12/21

帰ってきたローライフィルム 3i株式会社 三島社長インタビュー

photo & text 大浦タケシ

3i株式会社代表取締役である三島拓巳さん。今回、ローライフィルムについて熱く語っていただいた。


CURA(蔵)からローライへ

「CURA(蔵)」といえばレンズクリーナーでよく知られたブランドだ。取り扱い製品はレンズクリーナーのほかエアダスター、クリーニングペーパー、カメラストラップ、ストラップリングなどカメラ関連の用品がメインだが、いずれもこだわりあるものばかりである。
そのCURAブランドの発売元である3i(サンアイ)株式会社がこの度ローライブランドフィルムの日本正規代理店となり取り扱いを開始した。今回、同社代表取締役である三島拓巳さんにその経緯と今後の展開などを訊いた。


ローライのフィルムを扱うようになったきっかけとは?


「ローライのフィルムを扱うようになったのは、CURAブランドのレンズクリーナーを東アジアで販売する香港の商社が、たまたまローライフィルムのアジア圏におけるディストリビューターであったことが始まりです。その商社から2014年の秋に日本で売ってみないかとオファーを受けました。日本を除く東アジアでの販売実績は持っていましたが、日本では商習慣の違いなどからこれまで苦労していたようでした」

たしかにローライブランドのフィルムは以前から売られていた記憶がある。実は過去に、ある写真関連の商社が日本正規代理店として扱っていたのだが、実績が芳しくなく撤退した経緯を持つ。それ故に三島さんは自社で正式に取り扱う前に、中古カメラショップなどに対して、フィルム製品の需要をリサーチしたという。


「結果はノーというところはなく、逆にウエルカムでした。以前、ローライのフィルムが国内で流通していたときは、多くの銘柄のフィルムが販売されていましたが、今は選べる時代ではありません。ショップも新しいフィルムの登場を待っていたんだと思います」

3iが取り扱うフィルム製品


ローライブランドの35mmフィルムとブローニーフィルム。
RPXシリーズおよびRETROシリーズ(モノクロネガフィルム)
INFRAED(モノクロ赤外線 )
CR(カラーポジフィルム)


シネステイル(カラーネガフィルム)
映画用のカラーネガフィルムを装填するシネステイル。青いラベルものものはデーライトタイプでISO50、赤いラベルはタングステンタイプでISO800。いずれも独特の仕上がりが特徴。


ベルガール(モノクロネガフィルム)
微粒子タイプのモノクロフィルム、ベルガール。ISO感度は400。広いラチチュードが特徴だ。DXコード非対応。


ローライ(モノクロネガフィルム)
4×5インチもライナップするRPXシリーズ(モノクロフィルム)。大判カメラユーザーもフィルムの選択肢が増えて安堵したことだろう。


3iが今回扱うローライのフィルムは、下記(ページ末)の表のように多岐に渡る。カラーポジ、カラーネガ、モノクロ、赤外線とあり、フィルムによってフォーマットは、35mmのほかブローニーや4×5インチをラインナップする。

「ブランドとしてはローライに加えシネステイル、ベルガールを揃えています。ローライはほとんどがドイツで製造されており、赤外線フィルムも用意いたしました。シネステイルはその名のとおり映画用のフィルムを詰めたもので独特の発色による仕上がりが特徴。ベルガールはモノクロフィルムです。取り扱いを始める前にこれらのフィルムで撮影した作例写真を数多く見ましたが、色調や階調再現性など従来からあるフィルムとはひと味違うなと、思いましたね」

ローライブランドのフィルムは、現在カメラショップや大手カメラ量販店、プロショップなどで販売され、目にする機会が次第に増えてきている。そのため、デジタルユーザーのなかには、その仕上がりも含めフィルムに挑戦してみたいと考えるユーザーもいるのではないだろうか。

「デジタルから写真をはじめた若い世代から、フィルムカメラをよく知る世代まで、幅広い層に使ってもらいたいですね。特にデジタルカメラのフィルター機能や、Instagramなどを楽しんでいる方々は、その仕上がりから馴染みやすいと思いますし、デジタルとは違う感動もあるかと思います。

現像プロセスはカラーネガであればC-41、リバーサルならE-6ですので、多くの現像所で対応できます。さらにモノクロの場合、現像データを公開していますので、自家現像を考えているひとにもオススメ。まだ未定ではありますが、今後はモノクロ現像用の薬品やモノクロ印画紙などの取り扱いも検討していきたいと思います」

国内外の大手感材メーカーのフィルムといえば、今や風前の灯火といっても過言ではない。ラインナップは絞りこまれ、フィルムによっては在庫が払底していることもあると聞く。かつて大手カメラ量販店のフィルム売り場といえば、ちょっとしたコンビニほどの広さのところも少なくなかったが、それがかなり縮小されていることからも、フィルムの置かれている状況は容易に理解できるだろう。

しかしながら、根強い人気があるのもまた事実。往年の写真愛好家やオールドカメラファンなどから、今もって熱く支持されている。ローライブランドのフィルムは、そのような人々の期待に応えるものであり、さらにこれからフィルムでの撮影を楽しんでみたいと考える写真愛好家の背中をぐっと押すものである。いずれにしても今こそ銀塩写真の楽しさをあらためて知る絶好のチャンスだ。



<フィルム銘柄別の作例>
写真提供:3i株式会社


Rollei RPX25 /モノクロネガフィルム









Rollei RPX 100 /モノクロネガフィルム






Rollei RPX400 /モノクロネガフィルム








Cinestill 50D/カラーネガフィルム/シネマフィルム







Cinestill 800T/カラーネガフィルム/タングステンシネマフィルム







Bergger /モノクロネガフィルム







infrared /モノクロネガフィルム /赤外線フィルム







CR200 /カラーポジフィルム /リバーサルフィルム











<製品一覧>

製品名/タイプ/フォーマット/備考/価格(税別)

RPX 25 135-36/モノクロネガフィルム/35mm/¥970

RPX 25 120/モノクロネガフィルム/ブローニー/¥1,090

RPX 25 4×5/モノクロネガフィルム/4×5//¥6,910

RPX 100 135-36/モノクロネガフィルム/35mm/¥830

RPX 100 120/モノクロネガフィルム/ブローニー//¥960

Rollei RPX400 135-36/モノクロネガフィルム/35mm/¥830

Rollei RPX400 120/モノクロネガフィルム/ブローニー/¥960

Rollei RPX400 4*5/モノクロネガフィルム/4×5/¥5,220

Rollei Retro 80s 135-36/モノクロネガフィルム/35mm/¥830

Rollei Retro 80s 120/モノクロネガフィルム/ブローニー/¥970

Rollei Retro 400s 135-36/モノクロネガフィルム/35mm/¥830

Rollei Retro 400s 120/モノクロネガフィルム/ブローニー/¥970

Superpan 200  135-36/モノクロネガフィルム/35mm/¥830

Superpan 200 120/モノクロネガフィルム/ブローニー/¥970

Cinestill 50D/カラーネガフィルム/35mm/シネマフィルム/¥1,800

Cinestill 800T/カラーネガフィルム/35mm/タングステンシネマフィルム/¥1,800

Bergger  135-36/モノクロネガフィルム/35mm/レトロ調フィルム/¥1,150

infrared  135-36/モノクロネガフィルム/35mm/赤外線フィルム/¥1,090

infrared 120/モノクロネガフィルム/ブローニー/赤外線フィルム/¥1,090

infrared 4×5/モノクロネガフィルム//赤外線フィルム/¥6,260

CR200  135-36/カラーポジフィルム/35mm/リバーサルフィルム/¥870

CR200 120/カラーポジフィルム/ブローニー/リバーサルフィルム/¥1,130



*製品ラインナップ、仕様および価格は、取材時2015年12月現在のものです。
現在の情報とは異なる場合がございます。最新の情報は、メーカーサイトにてご確認ください。


3i株式会社
http://www.cura-3i.com

フィルム製品
http://www.cura-3i.com/products/list.php?category_id=35

<カメラファンがオススメする書籍>

 
IDEA of Photography 撮影アイデアの極意」南雲暁彦・著


「個性あふれる"私らしい"写真を撮る方法」野寺治孝・著

これからフィルムカメラをはじめたい人のためのガイドブック

フィルムカメラ・スタートブック」大村祐里子・著
 
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  2014/07/04
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