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中古カメラ 一期一会

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中古カメラ 一期一会
ショップのショーケースにならぶ中古カメラたち。中古カメラは1点モノで、同じ物は2つと無い。。。
いまこの時を逃したら、目の前のカメラとは2度と出会えないかもしれない。写真家が、ショップを彷徨いながら出合ったお得なカメラたちを紹介する。
公開日:2013/09/09

オールドレンズ特集 @フォトベルゼ

photo & text 大浦タケシ
取材協力:フォトベルゼ

今月は、玄光社の新刊「オールドレンズ・ライフ Vol.3」の発売に合わせて、オールドレンズ特集です。国内外のレンズを豊富に取り揃えたお店「フォトベルゼ」で珍品、銘品レンズを見つけてきました。オールドレンズってなに?という初心者の方は、ぜひ本をご覧になって勉強してみてください。(CAMERA fan編)



PORST/AUTO135mmF1.8 MC (M42マウント)
PORST(ポルスト)は旧西ドイツ時代に存在したカメラ関連の販売会社。同名のカメラやレンズなども販売していた。本レンズは日本製で、そのつくりから恐らく1970年代から80年代初頭につくられたもののようである。当時このスペックのレンズが国内に存在しないことを考えると、PORSTオリジナルか輸出専用だったのだろう。近年、このようなレンズが日本に戻ってくる機会が増え、ときとして我々を驚かせることがあるが、本レンズもそのような1本といえる。ボケをはじめ描写がとても気になるレンズだ。


Kilfitt/Makro-Kilar90mmF2.8(M42マウント)
主にマクロレンズとズームレンズを製造していたKilfitt(キルフィット)は1941年、ドイツ・ミュンヘンでスタートしたレンズメーカー。創業者のHeinz Kilfitt はカメラ設計者としても名を挙げた人物で、ロボットやコーワシックスなどの設計にも携わった。Kilfitt からは、55年には世界発となる35mm判用のマクロレンズを、59年には同じく世界発となる35mm判用ズームレンズ(フォクトレンダーブランドによるOEM)を発売している。幾度となく社名を変更しているが、写真のレンズはHeinz Kilfittの銘があることから、50年代後半頃のものと思われる。



トミオカ/COSINON AUTO 55mmF1.2(M42マウント)
富岡光学(現 京セラオプテック)は1932年に創業したレンズメーカー。優れた描写特性や仕上がりのよさなどから、50年代半ばからその頭角を現し、広く欧米でも知られるようになった。本レンズはM42マウントの大口径標準レンズ。COSINONブランドであるが、そのほかにもREVUENONブランドなど様々な名前で市場に出回っている。製造年は不明だが、鏡筒のつくりなどから60年代から70年代中頃のもののようだ。写真では分からないが、絞り連動ピンを避けるため大胆に削られている後玉も特徴としている。


Schneider/Edixa-Xenar 50mmF2.8(M42マウント)
Schneider-Kreuznach(シュナイダー・クロイツナッハ)は、1890年に写真用レンズの製造を開始したドイツの歴史あるレンズメーカー。ライツにレンズを供給していたことでも知られる。M42マウントのレンズもいくつか供給しているが、本レンズは開放値を抑えた標準レンズとして広く人気のあった1本。後玉が突出しているため、ミラーレスでの使用が適している。比較的廉価なので、これからマウントアダプターを使った撮影に挑戦してみたいデジタルユーザーにも最適なオールドレンズだ。



Schacht/Makro-Travenar R 50mmF2.8 (M42マウント)
Schacht(シャハト)社は大戦後すぐに設立された旧西ドイツのレンズメーカー。「A. Schacht」とレンズに記されているが、これは創業者のAlfred Schacht(アルフレッド・シャハト)のことである。本レンズはそのマクロレンズとして3群4枚の構成を持ち、最短撮影距離は8cmとする。先に紹介したSchneider・Edixa-Xenar 50mmF2.8とスペック、外観ともよく似ているが、一説によるとサプラヤーはこのSchacht社であったといわれている。そのような関係からか、同社は1970年頃Schneider社に吸収されている。


PORST/MC AUTO 40mmF2.5(ペンタックスKマウント)
PORSTのパンケーキレンズ。焦点距離はフルサイズ判では使いやすい40mmとしている。通常、この焦点距離のパンケーキレンズの場合開放値はF2.8であることが多いが、それよりもわずかに明るいF2.5としているのは、オリジナリティを大切にしていたPORSTらしいところ。製造は日本。詳細については不明なところも多いレンズだが、1970年代後半から80年代にかけて発売されたもののようである。


ニコン/NIKKOR-N 50mmF1.1(外爪)(ニコンSマウント)
ニッコールの中では、一眼レフ用も含め最高の明るさを誇るレンズ。写真の外爪タイプのほか内爪タイプがあるが、合計の製造本数は一説によると1500本とも2500本ともいわれるほど少ない。手にしたときの重量感は見た目以上で、レンジファインダー用の標準レンズとは思えないほどである。外爪タイプの製造初年は1959年。写真の個体は距離目盛りをFeet表示としているので、北米に輸出されたものであろう。押しが強く迫力あるスタイルとは裏腹に、繊細で緻密な描写が印象的なレンズである。


ZOOMAR/Makro-Zoomatar A 40mmF2.8(ニコンFマウント)
幾度となく社名変更を行った西ドイツKilfitt社だが、本レンズは1960年半ばにZOOMAR(ズーマー)と名乗った時代のレンズ。Kilfitt社時代のMakro-Kilar 40mmF2.8の後継モデルといってよい。ちなみに、Kilfittはこのレンズをリリースした後、71年に写真用レンズの開発製造を終了している。コンパクトなレンズであるが、ヘリコイドを最短撮影距離まで回転させると思いのほか全長が伸びる。ひととは違ったレンズで、マクロ撮影を楽しみたいユーザーに使ってみてほしい。



TAYLOR HOBSON/ANASTIGMAT 50mmF2(ライカLマウント)
イギリスの精密機器メーカーであるTAYLOR HOBSON(テーラーホブソン)がかつて製造していたレンズである。当時、同社は光学機器メーカーとして写真用レンズのほか映画用レンズなどを製造していた。大戦後、敗戦国であるドイツの特許が無効となったことにより、イギリスでもバルナックカメラを模したリードが製造されたが、写真の個体もそれに装着されて販売されていたものと思われる。上質なつくりはライカを上回るもので、優れた描写とともに同社の名前を広く世界に知らしめるものであった。


JUPITER-8 50mmF2(ライカLマウント)
Carl Zeiss Jena Sonnar 50mmF2を模した旧ソビエト連邦製のレンズ。キエフマウント、いわゆるコンタックスマウントが歴史からいえば本来であるが、人気のあったフェドやゾルキー用のLマウントのほうが中古市場では広く流通している。ちなみにJUPITERの製造年はわかりやすい。レンズに打刻されたシリアルナンバーの最初の2文字が西暦の後2文字であるからだ。従ってピックアップしたレンズは1954年製ということになる。なお、本レンズの製造初年は54年といわれているので、写真の個体は最初機モデルとなる。



宮崎光学/HologonT*16mmF8G(ライカMマウント)
京セラコンタックスGシリーズ用のHologon T*16mmF8Gを宮崎光学でMマウント改造を行ったレンズ。宮崎光学は千葉県にあるファクトリーで、このようなMマウントへの改造や独自のレンズをリリースしている。現在、ライカブランドのHologon15mmF8の中古相場は高騰の一途を辿るが、Gシリーズ用のHologonを改造したものならば、リーズナブルな価格で手に入れることができる。しかも比較的新しい光学設計なので、描写もオリジナルHologonを凌ぐはずだ。



Kern/SWITAR AR DV 16mmF1.8(Cマウント)
Kern(ケルン)はスイスのレンズメーカー。16mmや8mm用などのシネレンズをメインとしていたほか、同じスイス製の35mm一眼レフALPA用のレンズも製造していた。ピントの合った部分のシャープネスの高さと、ボケの妖艶さは本レンズの特徴といってよく、さらにSWITARでもAR、RX、DVといくつか種類ありそれぞれ描写が異なっていた。写真はCマウントタイプだが、マイクロフォーサーズだとケラレが発生する。被写界深度表示がオレンジ色の点で表示されるのはSWITARの持つ楽しいギミックだ。


取材協力:フォトベルゼ

地下鉄大江戸線、若松河田町駅から徒歩5分ほどのところに「フォトベルゼ」はショップを構える。大型のショーケースが両脇に並ぶ店内に入ると、整然と隙間なく陳列されたレンズの種類の多さにまず驚かされるはずだ。ちなみにフォトベルゼは基本的にオールドレンズを扱うショップ。カメラも陳列されていないわけでもないが、その数は少ない。レンズはメーカー別ではなく、マウント別に陳列されており、自分の所有するアダプターに応じてレンズを探すことも容易である。フォトベルゼの隣りにあるコンタックス専門店「極楽堂」とともにチェックしてみてほしい。
ショップウェブサイト
ショップ紹介ページ

スタッフさんインタビュー
「フォトベルゼは元々ネットショップで展開していたものをリアルショップとしたものです。オープンは2012年の5月22日。スカイツリーの一般開業日と同じといたしました。ショップとしましては、マウントアダプターで楽しめる国内外のレンズを広く集めるようにしており、それが当店のコンセプトにもなっております。デモ用のマウントアダプターも用意しておりますので、ぜひご自身のミラーレスモデルをお持ちいただき、お気に入りのレンズを見つけていただければと思います」


姉妹店:カメラの極楽堂

フォトベルゼは、カメラの極楽堂の姉妹店。
フォトベルゼのすぐ隣りのビルの1Fにある。コンタックス製品に特化した品揃えは、国内随一。
ショップウェブサイト

番外編 カメラの極楽堂の商品で気になるアイテムをピックアップ!

コンタックス645
京セラが1999年に発売したAF中判カメラ。クラスとしては最速となる1/4000秒のシャッター速度を誇り、AF駆動には超音波モーターを採用。220フィルム用のインサートには高い平面性を確保するリアルタイムバキュームシステムを搭載するなど、現在においても十分通用するカメラである。発売当時、テレコンバーターを含む計8本の645用カールツァイスT*レンズも同時に発表され、京セラ/コンタックスは正にイケイケの時代であった。


コンタックスRTSIII
1990年に発売された3代目“RTS”。視野率100%のファインダー、最高1/8000秒のシャッター、京セラならではのセラミック圧板にフィルムを吸着させ平面性を確保するリアルタイムバキュームシステム、正確なTTLダイレクト調光などなど、当時としては考えられる技術の全てを惜しみなく注入したモデルである。定価も35万円とたいへん高価であった。未使用品。

(取材日:2013年8月27日)
 著者プロフィール
  大浦タケシ(おおうら・たけし)

宮崎県都城市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。紆余曲折した後、フリーカメラマンとなり、カメラ誌、Webマガジン等でカメラおよび写真に関する記事を執筆する。中古カメラ店巡りは大切な日課となっており、”一期一会”と称して衝動買いした中古カメラは数知れず。この企画を機に、さらに拍車がかかる模様。2006年よりカメラグランプリ選考委員。
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